現場に行ってみるは
元文だった代物の区切りを変えています。
「おい、お前ら!こっち来てみろ!美人さんが来てるぜ!」
「え?白昼夢ですか?飲み過ぎたんですか?」
「ちげぇよ!ほら、こっちきて見てみろって!」
「えぇ?って、うぉ、すっげぇ美人さんだ」
「マジじゃん!うひょぉ!!」
「しっかも、スタイルもバツグンときてる!」
「お近づきになれねぇかな?」
「バッカ、お前じゃ無理だろ!」
「お前だって無理だろうが!」
「ならオレだな!」
「「「それは絶対ない!」」」
「んだとぉ!?」
ようやく辿り着いた港湾工事の作業現場の、その入り口近くに存在していた事務所と思わしき建物の入り口で、親方を呼んできますのでと待たされている事しばらく。
その間に少し先の壁の向こう側では、この現場の労働者たちなのか、こちらを覗き見ては何かしらの感想や仲間内のからかいや殴り合いなど、喧騒というのを作り出していたりする。
いや、まぁ、内容がはっきり聞こえてるんだけどさ・・・。
この現場のこの場所においても、生物的な女性というのが先ほどから見かけ無い為、場違いとでもいうぐらいというか、珍しさという状況がこういった野次馬を集めているんだろうなぁと、推測はする・・・のだが、お前らもう少し隠れてやれよ、下心丸だしだぞ?と思う次第である。
「お待たせしました」
「フン」
そんな喧騒をどこ吹く風というくらいに、呼びに行った助手的な人と一緒に、この現場の責任者といわれる人物と共に現れた。
その親方なる人物は、背格好は170台といった所で筋骨隆々といったところであり、その露出させている肌の部分には、何気に切り傷やらが無数に刻まれていたりしており、さらにその立派な髭面といい、まさに海の男という表現がピッタリな人物であった。
が、その生物がこちらを上から下へと首と視線を一巡したと思えば
「帰ぇんな」
これである。
「親方一応募集をかけたのですから、一度は話だけで「必要ない、コイツは違うだろ」」
助手的な人の言葉に被せるかの様、親方と呼ばれる人はそう言い切ってくる。
なんというか、天然記念物的な、まさに頑固親父という印象。もう希少種で保護対象にでもなれるんじゃないか?
「フン…」
「落ち着いてください、親方…」
「それにだ、海の力仕事にゃ、普通の女子供は不要なんだよ!なんでそう書いとかねーんだ!」
「職業差別がありまして、その事を書いてはいけない規則がですね…」
「知るか!そんな事!!」
Oh、そうだったのデスか、こんな所でもそういった事情があるんですね・・・なだめる助手の方、ご苦労様です。
「一応、素潜りなど潜水は得意なので、作業的を行うにも、大丈夫だとは思うんですが・・・」
まぁ、それでも一応募集要項の件と、潜水作業においては自身がある事を伝えてはみたものの、取り付く島もないというぐらいに、「ケッ」という言葉と視線をこちらにあわせようとしない人物が一人。
ただ、その一人をよそに、「潜水が得意・・・ですか?」と、その説明に関しての部分を確認してくる助手と思しき生物がいたりする。
「ええ、本当に潜水とか泳ぎとか、得意なんですよ」
いや、ほんとに得意というか、自分のフォールドとでもいうぐらい、2ndの機能を使えば、よほどの事がなければ、大丈夫なんだが・・・どうすりゃ解ってくれるのだろうか
「・・・そこまで言うなら、おい、コレをよぉく見ろ」
と、無造作ともいえるぐらいに、その資材置き場と思われる場所に落ちていた少し角ばった黄色の石ともブロックともいえる代物だった。
何かあるのか?とジーっとみてみるが、やはり何の変哲もない石というかブロックとしか表現が出来ない。長方体というにはちょっと歪ではあるのだが、まぁそれぐらいのブロックみたいな物といった所で、
「よく見たな?」
その問に対し頷くことで返すと、何を思ったか沖合に向かって投げ込んだ。
きれいな投擲、というわけでもないが、力任せの投擲だったのか、かなり遠めに飛んで行っているきがしないでもない、というか、100m以上ゆうに超えてね?遠投というレベルじゃないと思うんだが・・・
「アレを夕刻までに見つけてこい。見つけたら採用は考えてやる」
「「えっ!?」」
と、助手の人と声がハモる。
っていうか、ちょとそれ、早く言ってよ!!と思いながら、急ぎ飛んで行った方向にむかい、そのままの格好で海へと急ぎ飛び込む。
飛び込んだ後、すぐさま2ndの機能を起動させていく。
まずは、脚部内蔵装備の一つである推進機の準備状態へと起動させる。
ウォータージェット推進とでもいうべき代物が内蔵してあり、水中における機動力用にと内蔵させていた機能を起動させる。
マリンユニットをそのまま内包させただけともいう代物だが、これはこれでこだわりの逸品とでもいう。
なにせ、推力吐出口と吸入口を使用するために、その取り込み口をあらわにさせるため、脚部が変形して開口部が露出するのである。
そうして潜水行動状態にし、水中移動の準備状態が完了となる。
しかし、これだけでは、先ほどのあの石を探す手の一つでしかない。
次の手として、潜水ならばと艤装してあるアクティブソナーをすぐに発生させる。
オプションとして出回っていたセンサーで、ゲーム上では文字表記でしか見たことがないが、どこから音が出ているのかがよくわからない代物だったが、今回、初めて頭部に振動を感じた事から、ソコに内蔵されてるのかコレ・・・という衝撃な事実を感じつつも、ソナー感知にしばらくその場で待機する。
あの物体は音を発しないからパッシブじゃ解らないはず。
あとは時間との勝負ではあるが、海底へ着底してしまったら見つかる物も見つからなくなる。
まずは大雑把でもいいから、場所を特定させるのが先決である。
最初の反応は魚群らしき集団、それ以外にも大小さまざまな遊泳物を感知をするものの、今はそれらを求めている訳じゃない。
続けた際に、先ほど感知したものを除外・・・先ほどの大小さまざまな代物を感知情報から除外していくと、沖合方向で下に向かってゆらゆらと沈降いる物体を確認、大きさ的にいうなればたぶんあれだ!
狭域にして確認してみると、まだ海底に着底はしてはいないが、ゆっくりとではあるが沈降しているアレで確定だろう。
標準レーダーマップにターゲットとしてマークをほどこし、その情報をマップに登録しなおしてわかった事といえば、今いる位置からいうとかなり遠いと感じる距離であった。
というか、4、500mぐらい離れてないか?あのオッサン、けっこう遠くまで投げやがるのな。
そんな愚痴的な内容を思いながら、推進器を微速動作させ、ゆっくりとその場所へと近づいて行った。
「親方……断るにしても、もう少しうまく断らないと…」
「フン、そんな丁寧な方法は知らんわ。それにだ。確認する意味もある」
「いつもの確認ですか?他にも何か方法がなかったんですか?」
「ほかの方法は儂はしらん。それとだ・・・おめぇら!何ボサッとしてやがる!さっさと仕事に戻れ!!」
「「「アイサー」」」