仕事を探して
一応、これで就労証明書というのが出来上がる形となり、その斡旋している仕事に関して掲示されている内容とやらが張り出されている掲示板を眺めに向かっては確認してみる。
確認してみる・・・のだが、その内容といえば、資材の荷運び、郵便物の配送、公園の清掃、公共施設の清掃、外壁の補修、道路の補修工事、河川工事、販売店員の募集、接客募集、エトセトラ、etc...
何というか、以前の生活でみかけたところの、リクルート誌とかがあげている"バイト"とか"パートタイム"とか、なんかそういうべき日雇いや期間業務を、そのままを現したかの様なそんな内容ばかりの募集が掲示されていた。
こういうファンタジーっぽい世界によくある、薬草の採取?とか、ゴブリンとかの魔物退治?とか、懸賞金の盗賊退治?とか、そういう類があるのかなぁとは、多少なりとも期待してみたのだが、それらがまったくもってありそうにない。
どれもこれもが、完全に人夫募集が多いというか、ほぼそれらしか存在していない。
例えば、その一つをあげてみると……
【鉱山夫募集】
寝食付き!経験不問!未経験者歓迎!実力成果主義!家庭的な職場です!
と記載されている始末。
というかこれ、絶対ブラックだろう?いや、ブラック以上のブラックだろ?
もうなんだ、ダークマターとでもいうレベルで自身の危険センサーが「危険!これ危険!」と反応してしまうぐらい、危ない語呂がバシバシと記載されているのが読めた。
その記載されている文の一つ、"家庭的な職場"を考えてみても、そんなものは期間工や日雇いなどには絶対にないと想像がつく。
もし、あったとしても、親族で経営しています的な要素があるところだろう。
それなのに鉱山夫という、ヘビー級を通り越してスーパーヘビー級的な肉体労働内容が想定できる場所が丸わかりという。
さらに付け加えるなら、寝食付きなんて現場近くの雑魚寝部屋というタコ部屋で、ほぼ軟禁される恰好だろうと妄想という妄想がはかどるレベルである。
まぁ、ある種こういうハードな作業に機械というのは"有り"だろう、なにせ重機という立ち位置を不動の物にしている一種のファクターにもなる。
それに元は作業用から始まって~というのが機械のセオリーな仕様というのもアリな発展であると思うわけだが、いかんせんあの募集文句ではメンタル的な不安要素が往々にして発生するだろう、という予想しか思い浮かばない。
偶然なのか必然なのか、この場に残ってる他の掲示物を探ってはみているが、賃金的に高い物はブルーカラー系の募集であり、そのほとんどは似たり寄ったりの文面になっているというか、世界が変わろうとも、こうも似たような募集文面内容になるという事に、別の意味での興味が出てはきたが……今はそういうのはおいておいて、危険な香りを醸し出している文面があるのは敬遠しておくに限る。
それからさらに各種いろいろとある中で、最善というのは元より諦め、最適となる物がなかろうかと貼り出されているモノを探してみたのだが、金額的に高そうな物はあからさまに"怪しい"という物ばかりしかみあたらず"もう世の中は真っ黒しかないのか?‥‥‥世知辛いな‥‥‥"と、眺めていくしかない状況だった。
しかし、そうはいっていられない、そうなってくると食事事情が10人前x3食とした計算で予想金額を立て、月々の活動資金をみつもっては、ギリギリ賄えそうな賃金を決めてから、それに近い募集を選択するしかないともいえたが、それらすら怪しいものばかり。
それならばその賃金ラインよりのも低いので数で補えば・・・という事でと、その中から怪しい文面が"無いモノ"を探して見てはいるのだが、それがもう賃金的には二回り三回りほど少ないものが横ばいとでも言うぐらいの物ばかりで、なおかつ内容に関してもどれが"良い物"かすらわからない代物ばかりであった。
うーん・・・と悩みながら一通り軽く見て回ったが、コレといった物が見当たらず、再び最初の方からと見ていくかと、隅の方から丁寧に見ていくかと手にかけた矢先、そこに新しい依頼表が重なる様に貼られてては、その下に隠される様に存在する代物があるのに気がついた。
何でわざわざそういう掲示の仕方になっているんだ?という疑問が、その依頼票に興味を惹かれる形になり、それを手に取って内容をみてみると
【港湾工事行員募集】
賄い付き。危険作業には手当て保証。1日8時間とする。
潜水作業できるものはさらに上乗せ有り。
賃金は先ほどのブラック並みなのだが、危険極まりない語呂が並んでいる物よりも、多少なりとも好感が持てる内容だった。
そして最後の行に記載されている"潜水作業できるものはさらに上乗せ有り"ときている。
ふむ、たしか2ndキャラは"潜水ができる"仕様だし、これは上乗せで稼ぐチャンスか?
よし、そう思ったのなら吉日。
時間も日が出ている昼をちょっと過ぎたあたりである。
こういうのは直感にしたがう恰好で"とりあえずはコレだ!"とさっそくその票を手に持ち、受付にて受理をとりにいった。
「本当に大丈夫なのですか?」と念には念をおされたが、素潜りでも3分以上は余裕だ(というか呼吸する必要はないし、活動エネルギーがあるならば1日以上潜ってられる身体だし嘘は言っていない)という説明を自身ありげに伝え、ようやく納得してもらい手続きが完了し、早速とばかりにその工事事務所がある場所へと向かった。
目的地がさっぱりわからずに聞きに戻ったのは、ご愛敬としておこう。