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泊まれたがどうしよう

 部屋として準備された馬房の部屋、その中には白いシーツで覆われた代物が主張していた。


「あ、あれ、干し草のベッドですよ~ちょぉ~と大変でしたよ」


 と、説明を受けた干し草ベッドがそこに鎮座していたのである。

 確認するかの様に、その出来上がっている代物をマジマジと観察し、そのサイズは自身が横になっても十分すぎるほどのスペースを確保してあることにも驚きである。

 なかなかにその存在主張が大きく、少し関心してふたたびそちらに向いてみれば、それを作成したモノは、"エッヘン"とでもいう効果音が聞こえてきそうな態度で答えるのは、宿を案内してくれた少女である。

 えーっと、確か名前は…名前は……なんだっけか・・・


 ・・・


 まぁいい、宿の少女でいいだろう。生物(ナマモノ)なのだから。

 ついでに食事の説明をうけたが、朝だけは標準でついており、昼・夕食は予約制との事であった。


 現状、活動用エネルギーはとりあえず賄えているので、夕食は疲れたからと辞退する形としている。

 なにせ、食事に対する対策を練る必要があるわけで、そのままの食事となると、あぁ・・・あの嫌悪感の塊的な行動をとらなきゃならないのかと思えば、気が重たくもなる。

 現在、それをふたたび体験する気にもならない。というか、したくない。


 あと、説明ついでに馬房に関してもうけたが、今現在、他の馬房に動物がいなかったことが悔やまれるが、馬で来る人もいるとの事で、この宿のアピールポイントとしているというものでもあったため、これから入ってくる場合もあるとのことだった。




 さてはて、準備された部屋に入り簡易というか一応はそれらしい扉を閉めた後、その設置された干し草の寝具へと腰かけてみると確かにふわふわとした感触である。

 うむ、これなら、バックパックのジョイント部が痛むこともないだろう。


 まずは、明日から本格的な仕事を始めるのだから、倉庫(デポット)から今後利用できる物を区分けしておく必要がある。


 倉庫(でポット)内部のリストを見てみると、まずは火器兵装として、突撃銃があるだろ、狙撃銃があるだろ、臼砲(きゅうほう)があるし、火砲もあるし、迫撃砲もあれば、榴弾砲もあるし、カノン砲もあれば、対要塞用の重砲もある。

 ランチャー系も単発連発もそろってはあるし、惑星間弾道味噌(ミサイル)もあるし、その他、銃器重火器と呼べる代物がほぼ網羅されている状態であり、ここらはVRMMOで集めつくした火器内容がそのまま残っているという感じであった。


 そういえば、重火器を使用し続けての雑魚(エネミー)相手に殲滅戦を行っていた時、生物(ナマモノ)フレンドが"ワンマンアーミーでもするつもりか?"というツッコミが入れられていた事もあったな。

 ただ、そう言っていた生物(ナマモノ)フレンド達は、魔力比例型のバフを受け、火力特化のカスタム近接武器を持ち出し一騎当千で万を軽く超える雑魚(エネミー)を単騎で吹っ飛ばしていってたという、正直あの時ほど”お前がいうか?""それ何て無双?"と思った事はないし、それにつけてもインフレ状態って怖いなと思ったぐらいだ。


 つづいて衣装となる代物をみてみるが、追加装甲系にオプションユニットなどなど、1stキャラに対応した種々様々な代物が、使われることもなく倉庫の肥やしとして残ったままであった。

 ここら辺も、なんら変わる事もないアイテム群が雑多にひしめき合っているというか、区分わけもされずに存在しているというか、ほとんど肥やしだし整理とかはとりあえずはいいか。



 一応、倉庫(デポット)の中身が、ほとんど変わっていないという事が確認でき、それならばと試しに突撃銃を取り出してみると、普通に取り出せれたというか、目の前にいきなり現れる的な恰好で自分の手元に登場してくる。


 うーん、ここらはゲームと同等といったところだろうか。


 実際にふれてみると、金属だなという感覚であり、装弾されている状態はどうなっているのかと、その表示部を確認してみれば、弾薬エネルギー残量が心もとないときていた。


 となると、これはノーマルよりもカスタム銃の方が良いかもしれない。


 ノーマルタイプを格納という意識をすると手元から消えてしまい、次にカスタム銃を意識すると、先ほどの様に取り出すことに成功する。


 見た目といえば直線的なフォルムで、余分な部品的な凹凸が少なく、ベースを白色で統一されており、ある意味白磁品的な芸術要素がみえそうな代物である。


 カスタム系武器群は、各人がその性能を変更できるという特徴を持たせた武器群であり、よくある武器強化品の一環として追加パッチで増えた物である。

 そのカスタム内容によっては、出力ともいえる火力特化型にして一撃必殺型にする事もできるが、自分がいま取り出したカスタムした例は、弾薬の消費エネルギーを抑えるというカスタマイズを施した物である。



 弾薬の消費エネルギーを抑えたこの武器は、その特徴の反面として火力がカスタム前と同じという事で、火力特化型と比べれば大きく見劣りするという欠点を持つ。

 他にも射程に関しても標準型よりもやや短くなってしまっているが、その点に関しては銃器はロングレンジ用のオプションパーツでカバーする事が可能な為、弾薬エネルギー加速部となる銃身(バレル)を変更してやれば通常の消費量で長距離(ロングレンジ)狙撃(ライフル)としても運用が可能になるという恰好にもなっており、またオールラウンドに対応するためにグリップ部分から最小構成部分だけ取り外せば、ハンドガンにもなるという優れものでもある。



 だが、ゲーム内では基本的に銃器を選ぶ人は少ない。

 なぜって?それは、弾補給に費用が毎回かかってしまうからだ。


 その点、打撃系武器はその様な補給がほぼ不要のため、一点特化というカスタムが施しやすい。

 また、魔法系を媒体とする代物も同等な出力型のカスタムが人気であった。

 いうなれば、火力があればあるほどバフによる恩恵が顕著にあらわれ、そして敵を倒す時間が短くなり受けるダメージが少なくて済むという理論で、みながみなそっち方面に突き進んだ結果ともいう。


 さて、先ほど弾薬の費用というのもバカにならないと言っていたが、機械生命体に関してはその点を補える方法がある。

 それは、弾補充として、この機械生命体の身体からチューブ接続によってエネルギーを受け渡し作業で供給する事が可能であり、本体の活動エネルギーを銃器の弾薬エネルギーへと変換する事が可能な点である。

 その効率は弾薬エネルギーパックを購入するよりもコスト面において有利になる価格にもなっていた。

 これは機械生命体における特権かもしれない供給方法である。


 他の生物(ナマモノ)種族では、専用のパックを持ち続ける必要もあるのだが、機械生命体であるならば、戦闘時にもこうやって直接補給が出来る代物なのである。

 さっそくとばかりに、本体の腰部にある接続元からそのカスタム銃へと供給チューブを接続し、立射や腰だめなどで構えて確認してみたりする。

 照準も普通に視界にあらわれるし、ここらへんも何ら変わったところはなしと。



 あと、やはり武器と本体とがチューブ接続とか、これだけの内容で御飯三杯はイケるな。



 とりあえずの武器はこれで良いとして、仮札は…キャラ専用倉庫(デポット)はそれぞれのキャラ専用に分けた兵装で埋め尽くされているから、空きに余裕のあるID共通倉庫(デポット)にしまっておいてと、



 あとは、時間がたつのを待つだけなのだが。



 普通ならログアウトで良いのだが、そんな項目を一切見かけない。代わりにスリープモードというものが存在しているのが確認できた。

 というか、ログアウトがあったとして実行し、これが夢でしたという夢おちは勘弁願いたいものである。



 そうして、干し草の寝具の上に仰向けになり、夢でないことを祈りながもスリープモードを起動させると、意識が徐々に遠退いていった。




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