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召喚

 短編としていたモノを、中身を変更など加えては続けて[カクのヨム]に上げていた代物を、さらに加筆や、その他もろもろしてもってきた作品になります。




「ようこそ"勇者様"。我らの召喚に応じて頂き、誠に感謝いたします」





 目の前にいる綺麗な身なりの女性と思われるNPC(キャラクター)から、そんな言葉を投げかけられていた。



 "これが新章の始まり方なのか?"という興味と、予め情報提供で前出しされていた内容と異なっている出だしに、多少なりとも疑問を持ちながらも視線を、NPCとその周囲へと動かしていく。



 動かした視線の先に入ってきたモノといえば、リアルな世界でいうところの、ありふれた学生服を来ている男女四人の集まりと、初々しい感じのリクルートスーツ姿の女性が一人、そして頭部に手拭い(てぬぐい)を巻いては、板前風の白い割烹着を着込んでいる男性が一人といったところであった。



 しかしながら、それ以外にも視界に入ってくる"気になるモノ"があった。



 その"気になるモノ"とは、よくある中世でいう所の西洋の全身鎧(プレートアーマー)姿のNPC(キャラクター)たち、それらからは物々しい視線で自分たちの周囲を取り囲むように立ち並んでいたりし、他にも、その輪の一部には床にまで垂れさがっている祭服の様なストールをかけたNPC(キャラクター)たちが存在している事だった。



 そのNPC(キャラクター)たちが、先ほどの声をかけてきた身なりの整っている女性の周囲に、まるで壁になるべく様に並び立っていては、その存在を護っているという感じだった。



「勇者?」

「召喚とか言ってなかった?」

「言ってた」

「マヂかよ・・・」



 ふいに学生服を着ている四人の集まりから、静まり返っていた空間を打破するかの様に、それでもはっきりと聞き取れる声で会話をしているのが聞こえてきたのだが、自分としてその学生服の集まりを見て思う所があるとするならば、"結構現代風なアバターとして作りこんでるなぁ"と関心したりしていた。



 それと同時に、現実と同じ恰好の人間(ヒューマン)タイプの生物(ナマモノ)を作成するのはどうなのか?という感じの"もったいない"的な個人的な感想も出てきた程度であった。



 なにしろ、このVRMMOというゲームの中なのだから、他にも選べる種族が多種多様に存在する仕様という代物なのに、わざわざリアルとまったく同じという設定の人間(ヒューマン)タイプの生物(ナマモノ)を選択する事がもったいなさすぎるとしか言えなかった。




 そんな考えをしていたら



「おひとり、立派な鎧姿の騎士(・・・・・)様もおられる様で‥‥」



 先ほど、言葉を投げかけていた身なりの良い女性が、にこりとした表情でこちらへと視線を向けてはそう伝えてきていた。



 というか、()だって?ちょっと待ってもらおうか。



 このアバターとして作ったのは、メーカーが配布しているアバター製作専用ツールを使って、わざわざゼロから外観を自作し、ベースとしたのは重兵装を基調としながらも、各部の構造部は考えに考え抜いて関節駆動と共に可動までする様にしか製作した自慢の装甲なんだが?"鎧"と一言でまとめられた感じで言われるのはちょっっっっと心外だ。まず、この光沢は追加パッチで登場した"エネルギーシールド"をより効率的に展開する為、耐エネルギー兵装の潤滑添加物を転用してようやく作り出した対コーティング材を材料としているし、さらにこの装甲のエッジの角度の追及は曲線よりも直線的なデザインをベースとしながら、物理的な直撃をそらすための傾斜装甲を要所要所に組み合わせている。そして、それらに干渉しないように兵装のマウント機能を増設させては最低限の範囲を設定しながらも、各部位にもしっかりとマウントできる箇所を網羅し、さらに背面にはバックパックを換装する事により多種多様の戦局に合わせ、より多方面に対応できる様に兵装が換装パックで対応できる仕様にもしてあり、例を挙げるなら支援火砲といわれる重兵装を取付けたとしても、活動に制限が加わらない様にと余剰出力をも十二分確保し、さらにその重兵装からくる超質量による機動力の阻害を、脚部の内臓装備に反重力ユニットで補助させ、戦線の変化に伴う前線の変動にも遅れる事もなく対処できる様に創意工夫を少なくともしており、それでこのサイズ、2m50cmの高さに収めきったというのが奇蹟ともいえるという代物なのだが・・・これだから女って奴は、ロボ道の一つである重兵装という区分ってモノをわかってない。その高出力によってアーマーパージなんてした日には、自分でもまともに操作なんてできそうもない、超ピーキーなスピードキングにもなれるのでは?という夢も託せれる、この素晴らしい機能に溢れ・・・




 ・・・ん?



 頭の中で自身のロボ道(重兵装の章)という"ロマン"という名の蘊蓄(うんちく)をタレ流れしている時、周囲からの視線が次々と自分へと集まっている事にようやく気づき



「ロボだ」

「ロボットだよね」

「ロボだね」

「ロボだよな・・・アレ」



 こちらを観察するかの様に見ていた学生さんたちが、自分の姿を上から下へと、下から上へと見わたしてから、それぞれに見た感想をそのまま言葉にしていた。



 が、その内容に少し違和感を覚える。



 普通にゲーム内にいる人なら、この身体の事をロボなんて言わない、機械生命体とストレートに種族名を言うか、ほとんどは別称(蔑称も含む)の役立たず(ジャンク)とか呼ぶはずなのに・・・




 いや、そんな事よりもだ。




 "あぁ、ロボと呼称される事が、なんて甘美な響き"に聞こえるのだろうか・・・






重量型のアーマーパージは(ロマン)だと思います。

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