03 教育開始!念話魔法
『いいか、頭の中で言いたいことと伝えたい相手を念じるんだ。』
念じる。念じる。
ただひたすらに、念じる。
でも念じるってどういうことなんだろう?
念話魔法の学習。
その時に私が思ったことだった。
当然である。念じろ念じろと言うのに、念じるとはどういうことかを教えてくれないのだ。
今でもあの対応はどういうことかと思う。
ちなみに竜の頭は相当学習能力が高いらしく、この頃にはほとんどの言葉を覚えていた。
何せ五年間施設の中にいても外から念話の声が聞こえるのだ。
魔法、内密な話に使えるのだろうか。
学習能力の高さだが、前に人の教育を見たときには驚いた。
人基準だと竜の学習能力は異常だと思われる。
わからない言葉を聞くも何も、言葉が分からないということがわからない。
竜の場合わからない言葉は使われていない言葉なわけだ。
つまり覚える必要がない。
さて、記憶力のいい竜の頭ではあったが私は他の竜より頭が悪かったようだ。
念話魔法は、できるようになるのが一番遅かった。
魔法適正、ではないと思う。
余計なことばかり考えているからである。
時間が経つにつれ他の竜は念話ができるようになっていっているらしく、色々な念話が聞こえる。
が、私はできない。
戦闘訓練だと悪くない成績だったのだが。
念話はことごとくだめだった。
どんどん時間が過ぎてゆく。
ほとんど全員が念話魔法を使えるようになった頃。
『会話ができるって便利だな!』
話しかけられた。
苦笑。こっちはまだできないんだよわかってくれよ。
『お?まさかまだ念話魔法使えてないのか?』
ええそうですよ。
悪かったねできなくて。
『コツ教えてやろうか?』
あ、お願いしますお願いします。
願ってもないことです。
『お前が終わらなかったら俺たちも終われないからな……』
ですよねーそういう理由ですよねー。
わかってた。私のためじゃないってわかってた。
まあありがたく教わりますけど。
といった具合だ。当時の私の性格は今とだいぶ違ったが、それはどうでもいい。
で、結局彼の説明
教師の説明よりよっぽどわかりやすかった。
そんなこともあり、どうにか私も念話魔法が使えるようになった。
使いこなせてはいないから特定の人だけに聞こえる念話はできなかったが。
あ、当然今はできる。数千年前とは違うのだよ。
竜は記憶力と学習能力が高いから基本的にすべての座学は一度で終わる。
そのぶん徐々に模擬戦の休憩が減っていく。
実に厳しい教育方法だ、などと人ならば言うであろうが、竜ではこれが普通だ。
むしろ休憩があるだけまし。最終的には休憩がなくなる。
そんなこんなで厳しい訓練は続く。
次は闇魔法だそうだ。
時間があったら試し打ちまで。
試し打ちっていうか打ち合い?
2016/04/02 22:37 本文を微修正