第6章 王乃 潤弥
ついに準々決勝が始まろうとしていた。真たちの相手、王乃、J、Oの情報はまだ何一つ無い。特にJとOに関しては初めてその存在を知った。どんな特性を持っているか検討もつかない。真は二人に作戦を告げた。
「相手は何をしてくるか全く分からない。ここは俺の特性で一気に片を着ける。二人は相手の攻撃に注意するんだ。」
二人は静かに頷いた。
「それでは両チーム位置に着いてください。」
審判の男が大きな声で言う。準々決勝だけあって見物客もかなり集まっている。皆がそろって気になっているのは十中八九王乃だろう。それほど王乃という男は謎に包まれている。今位置に着いて二人の間に立っている王乃らしき人物はフードを被っていて顔を確認出来ない。
「それでは両チーム準備は良いですね?では、レディー···ファイ!」
合図と同時に、真は走り出していた。そして圧縮した空気を一気に相手の棒に放つ。と同時に気付く。
(ん···王乃がいない···何かヤバイ気がする!)
その直後、予感は的中。真は強烈な力に弾き飛ばされていた。そして真は飛ばされながら違和感を感じた。
(俺を弾き飛ばした物体···何か···)
ズダーンッ!!と激しい音をたてて真は倒れた。真は慌てて辺りを見渡す。どうやら4~5メートルほど後ろに飛ばされた様だった。真には一瞬状況が理解出来なかった。
(そうだ!俺たちの棒!)
「流!ユイネ!」
真は叫んだ。
「任せろ!」
流が答える。流が両手を自分の体の前で包み込むように構えて、両手の間に水の塊を作り出す。そしてその塊から圧力を加えた鋭い水の槍が高速で噴出された。噴出された水の槍は、一直線に相手の棒目掛けて飛んでいった。しかし、JとOは一歩も動かない。水の槍が相手の棒に当たると思われたその時、棒の前に突如王乃が現れた。
「!!」
さっきまで姿が見えなかった王乃が、何の前触れも無く現れた。まるで「瞬間移動」でもしたかの様だった。しかし、次の出来事で、王乃は瞬間移動したのでは無いと三人は理解した。棒の前に現れた王乃に向かって水の槍は進み続ける。そして王乃に当たると思った時、王乃はおもむろに右手を前に伸ばし、左から右にスライドさせた。すると、その手の軌道に沿って「何か」が出現し、その出現した「何か」に水の槍が吸い込まれていった。そして、吸い込まれると同時に、入れ違う様に今吸い込まれた水の槍が「何か」から噴出された。噴出された水の槍は、高速のまま流に帰って来た。
「なっ!」
流は自分の技に吹き飛ばされた。そして激しい音をたて、床を転がる。自分の技を受けた流は苦痛の顔をして言った。
「どういう···事だ···?」
「その質問に答えてあげよう。」
Jが言った。
「王乃君の特性は攻撃を吸収し、反射する。もう分かったかな?」
Jが挑発するように言った。
「···」
真たちは何も答えない。
「<鏡>だよ、王乃君の特性は。王乃君は空気中の物質を鏡の物質に変えられるんだ。」
Jが言った。