第1章 落ちこぼれ
「はぁぁぁぁぁぁぁ…。」
久良影 真は落ち込んでいた。…かなり
真は強化人間育成高校の1年生で、今年入学したばかりだった。顔は中の上、成績も中の上、まあまあ普通にいる16歳で、ペッタンヘアー。悪い所と言えばたまに遅刻してくるぐらいだ。今回真が落ち込んでいるのは遅刻のせいでは無かった。
この高校は、入学してすぐ「物体」と「人間」の融合、「強化人間プログラム」を入学生全員に行って、物体の「特性」を人間に融合させるのだが、真の融合の時だけ融合装置が誤作動を起こしてしまい、「物体」をスキャンする前に装置が作動したことで、物体との融合に失敗してしまったのだ。このプログラムは、人体に強い影響を及ぼす為、たとえ失敗しても1回しか受ける事ができない。つまり、真は強化人間育成高校の生徒でありながら、強化人間「ハイスペック・ヒューマン」になれなかったのだ。この時点で真は、この高校の落ちこぼれになり下がったも同然。落ち込むのも無理はない。
今日は体育の実戦授業で、日本の凶悪な強化人間が暴れているという設定で授業を行ったのだが、他の生徒は自分の特性を駆使して授業に励んでいたが、真は自力で何とかしなければならない。
「こうなったらやってやる!もう意地だ意地!」
と立ち向かって3秒後、撥ね飛ばされ元に戻ってきた。
「おいおい…、あんま無理すんなよ。」
ボロボロの真に声を掛けてきたのは幼馴染みの天野 流だった。
彼は「水」と融合していて、体を液体にできたり、水圧を大きくして噴射することができる。美形な顔立ちだが成績はいまいち。ツンツンヘアー…彼女募集中
「邪魔、どいて。」
と冷たく真に言い放ったのは、伊賀 ユイネ(いが ゆいね)。彼女も幼馴染みだ。
彼女は「鋼」と融合して、体から鋼を生み出し、色々な形に変形させる。実は流のことが好き…これ禁句
どこか大人の雰囲気で、髪は肩ぐらいまで伸ばして、前髪にピンクのメッシュが入っている。色白で、誰から見ても美人だ…優しければモテる(断言)
彼女はそう言ってさっさと行ってしまった。すると流が
「あんな言い方無いよなぁー…でもお前真面目にこれからどうすんの?特性が無いんじゃ何もできないぜ。」
「…。」
黙るしかなかった。
そう、このままでは真は卒業できずに退学になってしまうのだ。
「まあ…何とかするよ。」
と答えたが、真には何も考えは無かった。
そんな真に転機が訪れたのは、夏の水泳の授業の時だった。




