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Chapter1:ファルフォークの旅

 「人はそれを星影、そして、その花を星影の花と呼んだ……か」

十六、七歳くらいの青年は、片手に持っていた本をパタンと閉め、続けて言った。

「どこの文献も書いてることは同じ……これ以上調べても無駄かもしれないな……」


 彼の名はファルフォーク・シルヴィノーツ。16歳で、声変わりがちょうど終わったくらいのクールな男の子。顔立ちはよく、目は少し細く、紅色あかいろをしている。髪は茶髪で耳が隠れるほどで、長くもなければ短くもない。また、滑らかでゆったりとしている。身長は170cm弱。服装は青の麻でつくられた服(旅人の服)と、ところどころ破けているのが印象的な青いマント。そして胸のペンダントと、理由ワケありで左手につけている黒い革製の手袋。また、左腰に掛けた剣(鞘に収められている)や、ウエストポーチが特徴である。


 ファルフォークは城の図書室で調べものをしていた。図書室は左右本棚の通路がたくさんあり、総計9000冊ほどの本が納められている。当時の図書館というのは小説にしても論説文にしても難しいものばかりで、コミックや漫画といったものはまだ一冊も出版されていなかった。それが原因なのか、城の図書室の利用客は非常に少なく、今手にしている本を見つけるまでたった一人も人と会っていない。


 ファルフォークは苦笑すると、「星影の花」という題名の本を本棚に直した。そしてくるりと振り向くと、図書館の係員のところへと向かっていった。

「ありがとう。はい、これ」

彼は入場券(といっても小さな紙切れ)をカウンターに置いた。

「またいつでも利用してくれていいよ」

係員はそういって、紙切れをファルフォークに返した。

「え?」

「いやなんていうか、この図書館さ、知っての通り城内にあるから利用者が全然いないんだ。だから暇でねえ……。もしよかったら、今度オススメの本紹介するよ」

そういうと係員は、オススメの本があるだろう通路のほうに目をやった。しかしあいにくのこと、ファルフォークの中ではこの図書館はもう用済みなので、「悪いね」と申し訳なさそうに言った。

「そうか……残念だよ」

係員は苦笑いを浮かべ、さぞ退屈そうにため息をついた。


 ファルフォークは立ち去る際にこう言い残していった。

「あいにく、俺は放浪者なんで」

そして図書館の扉を閉めた。


 放浪者……彼はある目的のために、放浪者として各地を徘徊しているのだ。そして服装からわかるように、彼は剣士である。また、魔法使いでもある。ただ、誰でも練習すれば魔法を使えたり魔法使いになれたりするわけでもないし、教える人もいないので、人々にはあまりその存在が知られていない。


 ファルフォークは廊下に出た。幅が広く、左側は全面窓の、紅い絨毯が敷き詰められた弧状の廊下である。全面窓からは光が入り込んでおり、城内を明るく照らす。また、その窓から一望できる景色は雄大で活気に溢れていた。右側は廊下の形に沿った壁があり、ところどころに扉がついている。それは格納庫であったり、王の書斎であったりするのだ。ちなみに図書室はこの廊下の突き当たりにある。


 ファルフォークは窓に向かい、外の景色を眺めた。空、草原、城下町、地平線に連なる山々、自然と活気に満ちた大地がそこにはある。彼は遠くを見つめながら、わざとらしく変な顔をして言った。

「あーあ、次はどこ行くっかな〜」



さっそく一話目です。頑張って更新していくのでよろしくお願いします。

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