7 変わらず愛している
第一部完結、のような感じ。起承の半ばまでで一度区切ります。
鉄の扉を開けば、重く強い風が智博を包んだ。
前髪と眼鏡を庇い、風が吹き抜ける音を聞いて、これは電話を掛けようとした時に、受話器越しに聞こえてきた音だと気が付く。
彼女はずっとここで、自分たちを外に出さないようにしていたんだろう。
たった一人で。
風は夏にしては涼しく、空を見上げれば満月がぽっかりと浮かんでいる。その輝きは、星の瞬きすらもかき消してしまう程に明るい。
視線を落とすと、扉からまっすぐ歩いた先、特別教室棟に向き合っている屋上の縁に、人影が立っているのが見えた。
逆光ではっきりと見えない。しかし、風に靡く長い髪が、彼女だと言っている。
智博は、彼女が死んだ理由など知らない。
だから、ここに到着しても何が出来るとも思っていない。
しかし、一つ言わなくてはならない事があると決意していた。
保健室で、彼女を初めて間近で見た時、嫌悪感よりも何か他の感情が胸の内からせり上がってきた。
どうして、彼女が死ななくてはならないのか。もし自殺だとしたら、智博はその行為に至るのにどんな理由があろうと、決して許容することは出来なかった。
「……あんたは、馬鹿だ」
靡く髪に月光が反射して、彼女が振り返る。
屋上から落ちる前の姿だ。黒目がちの瞳が、今度ははっきりと見える。
智博は息を小さく呑み込んで、一歩彼女の元へ踏み出した。
あと数歩で低い柵の向こう側に立つ彼女に届くと言う距離で、智博は足を止めた。
元々、業者以外の人が来ることを想定していない屋上だったらしい。今と違って柵などあってないようなものだったようだ。
恐らく、彼女が落ちてから取り付けられたから、彼女が作り出したこの世界の高校は当時のままの姿を保っている。
近くに寄って、智博は再び息を飲むことになる。
肖像画と、印象が違う。まるで誠次郎が、目の前に立っているようだ。
この世には、自分にそっくりな人間が三人いると言うが、誠次郎にとってきっとその内の一人が彼女だったんだろう。
「あんた、自分からここから、落ちたんだろ」
連れて行って。
その言葉からは、胸に迫るほどの願いが溢れていた。
それが叶わなかったから、彼女は死ぬしかなかったのだと智博は思っている。
瞬きを繰り返し、静かに目の前の少女は智博を見詰めている。
「何があったのか、どこから連れて行って欲しかったのかなんて知らない。でも、自分から死ぬなんて、そんなのはダメだ」
もう、過ぎ去ってしまった事だ。しかし、目の前の少女はその時を、今この瞬間もずっと繰り返している。
それが許せなくて、やりきれない。
「家族の事、考えた事あるのかよ。あんたの兄さんとか両親とか、残された人の気持ちは? 友達だって、大切な人だって、いただろ。一人の生きている人間が、自分の命と繋がってる絆をないがしろにしちゃダメだった」
彼女を目の前にして、改めて身につまされる。
彼女に、生きていてほしかった。
誠次郎の話によれば、彼女は病弱であったらしい。それでも、いつか元気になったかもしれないし、現に高校に通えるほどには回復の兆しがあったのだ。
勉強に励んで、夢をかなえて、恋をして。そんな未来が、彼女にはあったはずだ。
幸せになれる、未来が。
「……あなた、優しいのね」
耳触りのいい声が、鼓膜を打った。智博は瞬間、びくりと肩を揺らす。
これは、良くない傾向だ。
この世のものではないものと会話を成立させる。それは、彼女の世界に取り込まれる第一歩だ。
まさか、彼女に理性が存在するとは思っていなかった。
愚痴でもぶちまけた後、どうにか彼女をその地獄への縁から引き摺り下ろしてやろうと思っていたが、計画が狂ってしまった。
智博は竹刀を握り直し、腹を括って少女を強く見返した。
「俺は、あんたの自分勝手さに腹立ててるだけなんだけど」
「それが、優しいのよ。人は他人の為に、そこまで腹を立てて物を言ってくれない」
落ち着いた理知的な声音が、高低は違うが一層誠次郎を思わせる。
これは、ダメだ。
このままでは、心を寄せすぎてしまう。
それに、なお一層困惑してしまう。
これほど知性と分別のある女性が、ここから身を投じるほどの事態に陥ってしまうのか。
「……それで、あんたはその優しい俺をここに呼んで何させようっていうんだ。特別棟に行こうとしたら痣が痛くなったんだ、あんたの仕業なんだろ」
智博が、睨み付けるようにして少女を詰る。少女はこくりと一つ頷いた。
「あなたに、助けて欲しかった」
「助ける?」
「私をこの場から、連れて行って欲しい」
少女が言い終わると同時だった。
勢いよく、鉄の扉が開かれた。
今この校舎で、扉を開けられる存在を智博は一人しか知らない。
「……!!」
なんでよりにもよってこんな時に。
水野が、包丁を握ったまま呆然とこちらを見ているようだった。
しかし、すぐにこちらへと走り出す。
その表情は般若のように怒りに染まっている。
まずい、やばい。このままでは、殺される。
すべては、一瞬だった。
少女が柵の向こうで揺れるのが目の端に映り振り返った。
「!! おい!」
屋上から、身を躍らせる。それを、智博は手を伸ばし、止めようと身を乗り出した。
「!!」
体を支える感覚が、ない。その代わりに、針の筵で包まれたような寒気と、心臓が止まったかのような痛みが全身を襲う。
落ちる
伸ばした手を、落ちていく少女がしっかりと掴んでいた。
「私を、連れて行って」
浮かされた声が、智博の耳に届き、世界が反転する。
それが、最後だった。
しばらくの沈黙を、理和は気まずげに過ごしていた。
聞いたのは自分とは言え、本当に気まずい。
隣の誠次郎は、どこか思案するように口を噤み、作業台の木目を見詰めている。
やっぱり、前言を撤回しようかと口を開きかけた時だった。
「和太郎伯父さんの、話はしたかな」
「え?」
理和が顔を上げれば、誠次郎が理和を見詰めていて視線が交わる。
その瞳の色に何故か胸が苦しくなって、理和は視線を逸らし首をふるふると横に振った。
「凛太郎君のお父さんで、その、肖像画を描いたってくらい」
「そうか」
誠次郎も視線を伏せ、口元を歪めた。
「俺は、実の父親でも母親でもなく、和太郎伯父さんに瓜二つだった」
理和は静かに、誠次郎の言葉を聞く。
親族から、よく和太郎に似ていると言われた。
和太郎に似ている事。まさかそれが、光次郎、千尋、誠次郎の関係に、暗い影を落とすことになるとは家族の誰も、思いもしなかっただろう。
一族中で、一つの疑惑が渦巻くことになったのだ。
和太郎と、千尋が、不義を犯したのではないか。
真偽の程は分からない。何故、人格者だと誠次郎は認識している和太郎に、そんな疑惑が浮上したのかも理解できない。
しかし、十数年前、確かにそんな不名誉な心証が、親族の中に在ったのだ。
当然、和太郎が次期当主という立場から表立って言われる事はなかったが、どういった経緯か祖母の耳に入り、千尋は義母と会うたびに嫌味まがいの事を言われ、いびられるという生活が始まった。
それは、当時五つにも満たなかった幼い誠次郎の窺い知れないところで、母親と父親、自分の間に溝が作られていった大事件だった。
「母は、だんだんと塞ぎ込むようになった。それに対して、父は何も言わなかったようだ」
いつの間にか、三人は顔を合わせないようになっていた。母は部屋から出てこなくなり、父も仕事で家に帰ってくるのは夜遅く。
幼い頃から聞き分けの良かった誠次郎は一人で、我儘も言わず日々黙々と厳しい稽古事に取り組んでいた。
そして、五歳の時、事は起こった。
「俺の、誕生日だった。母はいつも体調が悪くて普段なかなか会えなかったんだが、その日は会いたいと、言ってくれた。すごく、嬉しかったのを覚えてる」
喜んで欲しくて、ただ、笑って欲しくて、花を持って行った。
薄い青と桃色の、庭に咲いていた花だ。
誠次郎が扉から部屋の中を覗けば、千尋はベッドで上体を起こして、窓から外を眺めていた。
その日は天気が良くて、暖かい日の光が部屋の中にもさんさんと降り注いでいて、千尋の美しく、病的なまでに白い肌を照らしていた。
誠次郎は母に、声を掛けた。
「母は……俺を視界に入れた途端、表情を引き攣らせた」
「え……」
「きっと、笑おうとしてくれたんだろう。でも、それよりも、負わされた心の傷の方が、深かったんだろうな」
しかし、そんな事は今だから言える事だ。当時の誠次郎が、その表情を見てどう思ったのか。
その瞬間、光に満たされていた部屋は真っ暗になった。
気付いたら摘んだ花を傍らに立っていた使用人に押し付け、屋敷から飛び出していた。
当時、光次郎一家は花霧町の東側、本家と離れた場所に建てられている別邸に住んでいた。
誠次郎は花霧大社の近くの、公園の遊具の中に隠れた。
心臓の鼓動ばかりがうるさくて、目の奥が熱くて瞬きも出来なかった。
「その時、笑い声が聞こえて来たんだ」
子供の、楽しそうな笑い声だ。
誠次郎は、そっと、遊具から外を覗いた。
そこには、両親と遊ぶ少年の姿があった。
眩しい笑顔。
地面に落書きしたり、ブランコを揺らしたり。忙しなく走り回り、時折両親に視線を遣って、本当に楽しそうに、笑う。
それを、父親と母親は優しく見守って、時折父親も一緒になって遊ぶ。
親子とは、こういうものなのだろうか。
誠次郎は知らない。顔を合わせる事も稀な、父や母の笑顔など、見た事が、ない。
物心ついた時から、どこかに一緒に出かけた事も、こんな風に、一緒に遊んだ事も。
少年が、父親にねだって腕を伸ばす。
父親が、甘えん坊だなぁと、少し笑って彼の体を腕で包み込み立ち上がった。
ああやって、抱きしめられた事もない。
視界が歪んだ。三人をずっと見ていたいのに、何かが邪魔して見えない。
目を擦っても、擦っても、どうしても滲んでしまって、その姿しか、心に留めておく事が出来なかった。
「俺の中での、原風景、というのかな。それの一つなんだ」
ずっと木目を見詰めて話していた誠次郎が、ふと顔を上げ理和を見て小さく苦笑した。
理和は俯き、ぎゅっと膝の上のスカートを握っている。
作業台の上に、濡れた痕が見えた。
「……君は、優しいんだな」
ポケットから新しいハンカチを取り出し、理和に差し出す。理和は素直にありがとうと、ハンカチを受け取って目元を押さえた。
「私は……ただ勝手に竹崎君に同情して、悲しくなってるだけだよ」
そして、羨ましいと思っているだけ。
理和は生まれた時から、『奇跡』の光景が完成することは決してない運命だった。
誠次郎がその光景を『奇跡』と名付けるのなら、理和にとっても、まさしく『奇跡』だ。
彼の過去や心の内などまったく知らなかったが、自分があの絵を気に入ったのは、必然だったのかもしれないと思う。
「それから、どうしたの?」
「……その後、俺はその子供に見つかって、今の今まで一緒に遊んでるよ」
「……それってもしかして、本宮君?」
肯定するように誠次郎がにやっと笑えば、つられるように理和も目元を拭いながら小さく笑う。
あれから家に帰り、使用人から連絡を受けて帰宅していた父親に叱られた。
初めて父親に叱られた出来事でもあり、それから徐々に父親との溝は埋まって行っているように思う。
その後、母は更に塞ぎ込むようになり、まるで、魂をすり減らすように、弱りながら亡くなった。
母が亡くなった日の事は、『奇跡』の光景と同様、誠次郎にとって忘れられない出来事になった。
「ああ。……もう、大丈夫か。すまなかった、泣かせるつもりは無かったんだが」
「ううん。ごめんね、ありがとう」
誠次郎は首を横に振る。理和は、ハンカチは洗って返すと言い、鞄にしまった。
「本当に、ごめんね。変な事聞いて」
「いや、俺が話したかったから、良いんだ」
理和は、え、と声を漏らして目の前の彼を不思議そうに見る。
誠次郎が首を小さく傾げ、目を細め、理和を見詰め返した。
「君に、俺の事を知って欲しかった」
どんな姿であろうと。
理和はしばらく口を小さく開けて放心していたが、彼の真摯な瞳の熱に気が付いて頬が熱くなったのが分かった。
すぐに視線を逸らして、頬に手を当てた。
今の言葉は、どういう意味だろう。
ちらりと誠次郎を見れば、すでに目を肖像画に向けている。
漏れ入る月の光に端整な横顔が照らされていて、やはりすぐに目を逸らした。
「あの、えっと」
きっと、意味などないのだ。
「和太郎さんって、どんな人だったの?」
話を逸らさなくては。
視線を動かし、彼が見詰めている肖像画を見て咄嗟に聞いていた。
「和太郎伯父さん?」
肖像画から理和に視線を移した誠次郎が、若干訝し気に彼女の言葉を反復した。
まずった。
理和は振った話題に後悔する。さっき和太郎に似て家族崩壊の危機に陥ったという話を聞いたばかりだと言うのに、私は馬鹿か。
「和太郎伯父さんは、寡黙で怜悧、玲瓏としていた。姿形も凛として立派な人だったよ。顔が似てるって言う俺が言うのも、アレなんだけどな」
理和の困惑に笑いながら、誠次郎が答えた。
「立派な人……」
「ああ。判断力行動力に富んだ人だった。冷徹に物事を決断できる器量を持っていたよ。立場のある人ではあったが、使用人一人一人にも立場は弁えつつ気遣いは忘れないし、子供への教育も、それなりに厳しかった」
和太郎と凛太郎と一緒に、トリックアートの本を読んだことがある。
和太郎は絵の中に潜む秘密を明らかにするまで、決して次のページへ進まなかった。
滅多に笑わない伯父だったが、その時は楽しそうにページをめくっていた。
「なんだかんだと、優しい人だったな」
「伯父さんの事、好きだったんだね」
誠次郎は頷き、再び肖像画に向き合った。
『誠次郎、凛太郎』
呼び声は涼やかで、表情は穏やかだった。
「よく、口癖のように言っていた」
『この世の全ての物事は、絵のように単純な平面ではない。勿論、表と裏だけでも成り立っていない。様々な角度、視点から見て、初めて形が分かる。この世界は、立体的に出来ているんだ。それでも、全貌を理解するのは不可能だと、覚えておきなさい』
つまり、物事を多角的に見なさいと言いたかったのだと誠次郎は思っている。
いつも端的に物を言う伯父にしては、妙に回りくどい言い方をするなと、印象に残っていた。
「………多角的、と」
ぽつりと、誠次郎は呟くと、急に立ち上がった。
理和も目を見開いて、彼が向かう先へ付き添う。
壁に立てかけてある肖像画へ、真っ直ぐと向かった。
「どうしたの」
「いや……確証はないが」
絵をそっと持ち上げ、作業台へと移動する。
棚から工具を持ってくると、誠次郎は額縁を外しにかかった。
「こうなる事は、知らなかったと思うが」
額縁を完全に外し、額縁が覆っていた部分の白い帆布を探っていく。
この怪現象のヒントがあるとは、思っていない。むしろ、あるはずがない。
先ほどは絵画の表と裏だけしか見なかった。それを思い出したら、急に伯父の言葉が気になってしまった。
誠次郎の指先が、絵画の底面を辿ったところで、止まった。
「……何かあった?」
「どうやらこの肖像画は、三点の内の一つらしい」
誠次郎は、傍らの理和を見返して再び側面の一点に視線を移した。
その時だ。突然、がらがらと美術室の扉が開いた。
二人はびくりと肩を震わせ、振り返った。誠次郎は瞬時に竹刀を構えて理和を背後に庇い、開いた扉を睨み付ける。
しかし、誰かが入ってくる様子もなく、しばらく沈黙が続く。
「……ただ、開いただけのようだな」
血の川や水野が現れた時のような、妙な気配は感じない。誠次郎が念の為扉の外を確認して呟いた。
理和は、絵画の底面に書かれていたメッセージを見る。
『私の愛する人へ
不変 一生 永遠 を捧げる』
『不変』は、和太郎の妹、仁美が描かれている。という事は、あと二つの『一生』と『永遠』も、何らかの絵画なのだろうと、理和でも分かった。
「恐らく、肖像画なんだろうな」
愛する人へと書いてある。いつの間にか隣へと戻って来ていた誠次郎が言う。
多分、三点の絵は和太郎の“愛する人”の肖像画なのだろう。
「……っ竹崎君!」
理和は叫んで、思わず絵画から手を離していた。誠次郎も、ぎょっとして絵画から離れた。
いつの間についていたのか、肖像画の少女の頬から、胸元、上半身に掛けてなぞるように、血の手形が流れていた。
「田中さん、怪我はないよな」
「竹崎君こそ」
お互いに掌を確認し合い、ほっとしたところで背後を振り返って更にぎょっとする。
丁度肖像画が掛けられていたスペースの前の床に、大きな血だまりと、血の足跡が一筋廊下まで続いていたのだ。血塗れの包丁も一本、落ちている。
こんなもの、さっきまでなかった。
「た、竹崎君、これって……」
「もしかしたら……諒太おじさんは、ここで死んだのかもしれない」
この血の量は、素人目に見ても重傷、もしくは血の持ち主が死んでいるだろうことが分かる程の量だ。
そして、この状況で分かる事がある。
眉間の皺を深くした誠次郎に、理和が心配そうに声を掛けた。
「あの、大丈夫……?」
「ああ、どうやらおじさんは、自分で死んだみたいだ」
足跡が、一人分しかない。
誠次郎が言って一足分の足跡を指差して示した。理和も、納得したのか頷いた。
「でも、どうして突然血痕が現れたんだろう。それに突然扉も開いたし」
誠次郎は考え込みながら血痕を見詰める。この血痕は、教室の花瓶から溢れてきた血の川よりも、生々しい。それに、本当に突然、予兆もなく現れた。
「分からないな……ただ、言えることは、おじさんは仁美叔母さんと何か深い関係があるんだろう」
肖像画の前で、わざわざ首を掻き切るほどだ。
間違いない、水野は昼間、美術室に来ていた。
そして、夕方、首を掻き切り亡者となった後、職員室へ戻り包丁を手にして理和を襲いに来た。
その様が脳裏をよぎって、理和がふるりと体を震わせた。
「……大丈夫か」
「うん……これからどうする?」
理和の問いに、誠次郎は携帯電話を開いた。
「とりあえず、スレッドに報告しよう。智博もどうなったか、分かるかもしれない」
スレッドを開きながら、誠次郎は再び『不変』へと視線を走らせる。
『私の愛する人へ
不変 一生 永遠 を捧げる』
『不変』は、仁美。あとの『一生』と『永遠』には、誰が描かれているのだろうか。
肖像画『不変』 完 肖像画『一生』へ続く
『不変』の後は、『一生』となります。
予定では、諒太と仁美の関係と、二人に過去から現在まで何があったのかを書きます。
よろしければ、ぜひ『一生』も読んでやって下さい。