2 校長室前の肖像画
「智博」
スレッド上で一頻り報告した後、割り込んできたコメントに、誠次郎が珍しく動揺した。
智博だ。彼が消息を絶ってから、初めて書き込みをした。
そして、不意に作業台に突っ伏すのに、理和は驚いて声を掛ける。
「竹崎君……?」
「……良かった、無事、だった……」
絞り出す様な声が、胸に刺さる。
水野に襲われたかもしれない智博を、理和を水野の傍にやれない、危険な目に合わせられないという理由で助けに行けなかったのだ。
大切な、何ものにも代えられない友達なのに、だ。
「……ごめんね」
小さく呟けば、そろそろと誠次郎が顔を上げ、目を見開いた。
「……田中さん」
「私のせいで、心配、ばっかりしてたよね。本当にごめんなさい」
「君のせいじゃない。俺が自分で決めた事だ。智博に荷を背負わせたのも、俺に責任がある」
だから、決して君のせいではない。
手を伸ばし、固く握り締められている拳に触れた。理和が微かに震え、顔を上げた。
鋭く、しかし優しい視線が、交わった。その時だった。
「!?」
「!!」
下から突き上げるような揺れが二人を襲った。
倒れそうになった理和を咄嗟に支え、誠次郎は周りを見回した。
「地震か?」
「違う気がする……竹崎君、寒気がすごい……」
触れている理和の腕に、鳥肌が一気に現れるのが分かった。
異変が起きている。
二人はすぐに荷物を脇に抱え、美術棟から飛び出した。
「田中さん……外に出られるようだ」
「え、あ、ほんとだ」
美術棟から本校舎へ向かう渡り廊下から、外へと一歩踏み出せる。
状況をスレッドに書き込み、誠次郎はモップを片手に持つ理和に振り返った。
「肖像画を探しに行こう。ここからだと、『一生』が近い」
「いいけど、外に出なくてもいいの?」
「多分、スレッドでも早稲が言ってる通り学校の敷地内からは出られないだろう。なら、中で出来る事をした方がいい……」
理和の問いに答えながら、スレッドを更新し、誠次郎が目を見開いた。
「竹崎君?」
「田中さん、すまない……予定変更だ、少し待っていてくれ」
中庭へ行く。
そう呟いて、渡り廊下から外へ走り出した。
「え、竹崎君!?」
理和も急いで追いかけながら、スレッドを開く。
顔が、真っ青だった。一体、何が。
「!!」
理和は言葉を失う。スレッド上に表示されている写真に、目が釘づけになりかけるがすぐに誠次郎を追う事に専念し始めた。
写真は、白い無数の手が撮影者に迫ってくる気味の悪いものだった。迫りくる手の向こうには、髪を逆立てた少女の後ろ姿と教室棟と特別教室棟を繋ぐ渡り廊下が見える。
彼は、今度こそ智博を助けに行くつもりだ。
□□□にげろ ころされる
智博が撮影した写真と、書き込み。この三文字分の文字化けは、きっと誠次郎の名前が入る。
友の警告すら振り切って、助けに。
「待って竹崎君!」
彼は竹刀しか対抗する手段を持っていない。少なくとも、多少なりとも、塩を渡したい。
中庭に辿り着き、足を止めている誠次郎の隣に立って絶句した。
中庭には、芝生が敷き詰められているはずだ。サツキの生垣が渡り廊下に面して植えられており、真ん中には陶器で作られたモニュメントが飾られている。
その芝生は、一面真っ白な手で覆われていた。大きさは様々で指が蠢き、まるで誘うように揺らめいている。
「……これは、強行突破、突っ切るしかないか」
誠次郎が一点を凝視して不穏な事を呟く。彼の視線を追えば、腕が一箇所、覆い被さるように膨らみを作っている場所があった。
すぐに、智博があの腕の塊に包まれている事に気が付く。そこに、誠次郎は突っ込んでいこうと言うのだ。
明らかに冷静じゃない。理和は竹刀を握り締める拳を見た後、彼の横顔を見上げた。
「君は、危ないからここで」
「竹崎君、塩持って」
言葉を遮り、理和はあらかじめ袋に小分けしていた塩を、誠次郎の腕を掴んで無理矢理渡した。
誠次郎は目を瞠って、理和を見返す。
「田中さん、これは」
「いいの。これで、少しは助けになると思う。私も出来る事があるなら、竹崎君の手伝いをするよ」
真剣な理和の瞳を、我に返ったように誠次郎が同じく真剣な瞳で見返し、首を横に振った。
「手伝いは不要だ。危険すぎる」
「それは竹崎君一人でも同じでしょ、竹崎君だって、危ないよ」
「違う。君を危険な目に遭わせたくないと言っている」
一瞬、言葉に詰まった。熱を帯びる眼差しに、言葉を継げられなくなりそうになる。
しかし、理和はすぐに首を横に振って再び誠次郎を見詰め返した。
「竹崎君、私を頼ってくれるって言った」
今度は、誠次郎が言葉を止めた。機会を逃さず、理和は一気に畳みかける。
「仮にあそこに辿り着けたとして、帰りはどうするの。あの手が通った後が消えたままだとは思えない。きっとまた生えて来るよ。本宮君に意識があるとは限らないし、帰り道を確保しないと二人とも帰ってこられない」
現実的な話をしている。誠次郎にもそれは分かった。
理和が言いたい事に気が付いて、誠次郎は顔を顰める。
「……まさか」
「私が残りの塩を使って、帰り道を作ります」
真っ直ぐと、凛とした瞳だ。きっと、何を言っても、決して折れないだろうとすぐに誠次郎でも察した。
「……ありがとうなんて、言うんじゃなかった」
「もう遅いよー。もっと近くに行こう」
「……ああ」
直線距離で最も近い場所。目測を付け、教室棟に近い場所へ走る。
竹刀に塩袋を括りつけ、小さな穴を開けた。
「俺があそこまでたどり着いて、大体半分くらいまで手を剥がせたら、田中さんも手を蹴散らし始めてくれ」
「分かった」
気を付けて。
激励を背中に受け、誠次郎は下段から竹刀を振るった。
腕が、指が、赤く引き千切れ突破口が出来る。その隙を逃さず立て続けに竹刀で打ち払って行った。
はらはらと不安を募らせながら、理和はその背中を一心に見守る。
いくら剣道で全国トップクラスの実力を持つと言っても、それは競技としての剣道の世界においてだ。
先ほど水野を退けようと対峙した時に繰り出していた剣技は、型に則ったものだったように思える。
こんな、対多数の、しかも得体の知れないもの相手に無事でいられるのか。
彼女の心配に反して、誠次郎の剣筋に一切の迷いは無かった。どこを抉り掃えば腕がより多く退くのか、すべて分かっているかのように一直線に智博の元へ向かっていく。
膨らみに到着すると、誠次郎は一つ肩で息をして、纏わりついてくる腕を振り払いながら塩袋から塩を一掴みすると自分の両手に揉みこんだ。
ひりひりと肌が痛い気がしたが、そんな事は気にしていられない。
竹刀はベルトに差し込み、おもむろに膨らみを形成している腕を引き剥がし始めた。
「智博……っ」
手に揉みこまれた塩に反応したのか、腕の力が弱くなる。
不自然に白い腕の塊の中に、健康的な色の肌が、見えた。
『おまえ。こんなとこでなにしてんの?』
『!!』
俺はあの時、智博に見付かった。智博が、見付けてくれたのだ。
『なんだよー、どうしたんだよ。おなかいたいの?』
『ち……ちがうっ』
ごしごしと目元を擦る俺を見てきょとんと眼を瞬かせて、おもむろにポケットを漁って何かを差し出した。
アニメのキャラクターがプリントされた、ガーゼのハンカチだった。
『とりあえず、これ。……なぁ、おまえ、いまひま?』
『……ひ、ま、だけど』
『じゃあ、いっしょにあそぼう!』
俺とは違う、健康的に日に焼けた少年が俺の白い腕を掴んで引っ張る。
俺を見て笑うその姿が、何よりも眩しかった。
「智博を……っ返せええぇぇ!」
怒号と共に、幼馴染の腕を掴んで引っ張り上げた。
智博の上体が起こされる。首や肩、顔にへばり付いてくる手をはらい落とす。
首には手形の痣が見え、誠次郎は状況を察して青くなった。
首を絞められていたのだ。
しかし、この場で応急処置などできなかった。誠次郎が切り拓いてきた道は理和の予想通り、消し去った腕に変わって新たな白い腕が生えてきている。
「竹崎君!」
理和が作戦通り、道を作ってモップを打ち振るいながら二人の傍に走って来た。
誠次郎はぐったりとして意識が無い智博を背負い、理和が作ってきた道を見返した。
「脱出だ!」
「! あっ」
一瞬声を上げた理和が、すぐに踵を返して智博を背負う誠次郎の腕を引っ張り走り始めた。
「田中さん」
「来てるっ走って!」
何が、と、聞く必要もなかった。
道の淵で蠢いている腕が一層早く動き始めていた。黒い影の霊が、ぞろりと現れ活発に行き来し始める。
仁美だ。
「竹崎君、どこに行く」
「校長室だ。その前の廊下に、『一生』がある」
中庭の手の草原から脱出し、左へと体を向ける。
教室棟の校舎裏から、昇降口の前、弓道場の横、体育館の脇を通り過ぎ、本校舎へ向かう。
道順は、決まった。
ちらりと振り返れば、仁美の姿が確認出来た。
髪を逆立て、全身血だらけの姿に息を飲む。すぐに、校舎裏へと回った。
仁美はそれほど、移動が速くないらしい。理和は二人分の鞄とモップを持ちながら、誠次郎は智博を背負いながら走ったが、追いつかれるという事は無かった。
灯りも点かない、真っ暗な道を走り抜け、本校舎に辿り着いた。
校長室には、外から入る為の非常用の扉がある。
そこの鍵を再びヘアピンで開き、中に入った。
カーテンが閉められ、一層暗い室内を手探りと記憶を頼りに二人は進んだ。
途中、点かないかと思いながら試したスタンドライトが点灯することが分かった。その明かりを頼りに、誠次郎はソファに智博を寝かせ、呼吸を確かめた。
小さい呼吸が、規則的に繰り返されている。
間に合ったようだ。
「良かった。それほど時間は経ってなかったみたい……」
「ああ……」
誠次郎が大きく息を吐いて智博の手を握っている。智博と誠次郎の顔や腕は、白い手に付けられたのだろう引っ掻き傷や打ち身の痣だらけだ。
緊張が緩んだのを感じる。
二人の様子に理和が一息つくと、廊下へ続く扉を見た。
理和は扉の外の廊下を窺い、何もいないことを確認すると絵の前まで走り寄った。
鉛筆の素描が立派な額縁に入れられて飾られている。
「『一生』 竹崎和太郎……」
理和は呟き、薄暗い中ピアノを弾いている少女を見詰めた。
不意に、脇から手が伸びてきて、壁から絵が取り外された。
「!!」
理和は驚き、隣を見れば、誠次郎が『一生』を持って立っている。
理和はほっとして、差し出されている『一生』を受け取った。
「あ、ありがとう。びっくりした。一声掛けてくれてもいいのに」
小さな非難を含んだ言葉に、誠次郎は小さく笑って校長室へ向かう。
「それにしても、不思議だね。竹崎君は肖像画だって言ってたけど……」
これ、風景画の一種だよね。
言いながら、前を行くはずの誠次郎へ視線を戻すと彼の姿は無かった。
「あれ……」
もう戻ったのだろうか。しかし、扉を開閉する音などしなかった。
疑問に思いながら扉を開くと、誠次郎は理和が校長室から出て行った時と変わらない体勢で智博の様子を見守っていた。
「あれ……?」
「田中さん……! すまない。絵を取りに行ってくれてたのか。何もなかったか?」
慌てた様子の誠次郎が立ち上がって走り寄って来た。理和は怪訝な表情をしながら絵を彼に手渡した。
「……どうかしたのか?」
「うん……特に何も……なかったよ」
理和は小さく、呟くのだった。
「あの子は、昔から体が弱くてね。私と兄さんで、よくこっそりと入院していた仁美の見舞いに行っていた」
凛太郎と瑞穂は、目の前でぽつりぽつりと語られていく言葉を一言も聞き漏らすまいと耳を傾けた。
瑞穂はスレッドの様子を観察しながら、凛太郎は完全なる聞き役である。
仁美の見舞い。それは竹崎家の兄弟にとって、数少ない家の訓戒を破った出来事の一つだった。
稽古事を日々熟さなくてはならなかった二人は、限られた時間の中で親から妹の見舞い時間を厳密に決められていた。それを二人は、大きく破っていたのだ。
「先生に呼び出された。友達の委員会の手伝いをしていた。クラブ活動が遅くなった。買わなくてはならないものがあった。そう言い訳をして、小学校のすぐ近くの病院に入院していた彼女に会いに行っていたよ」
仁美に付いていた使用人には、口止めをした。仁美も兄が来れば喜ぶから、使用人も喜んで協力してくれた。
「その見舞いに、時折私の友も同席していた」
「それが、水野先生だったんですね」
凛太郎の言葉に、光次郎は頷いた。
彼は、光次郎の保育園からの同級だった。
誠次郎にとっての智博君だと考えてくれればいい、と、凛太郎と瑞穂に説明する。
彼は昔から、心優しい穏やかな男だった。
家柄のせいか敬遠されがちだった私や兄と、すぐに打ち解けた。昔から頭のいい男で、私や兄が知らないような本や面白い雑誌をよく紹介してくれた。
機知に富んで、物知りで、話していて楽しい男だった。
『兄さん、今日は、りょうたお兄さんは、いらっしゃらないの?』
『? 今日は、りょーたは委員会なんだよ』
詰まらなさそうに頬を膨らませて不貞腐れた彼女の事は、よく覚えている。
彼女は、すぐに彼に懐いた。
彼も、学校に行けない彼女を気遣ってか何くれと世話をし、話をしてくれた。
実の妹のように、大切にしてくれた。
「私や兄は、そう思っていたんだ」
「それが実は、いつの間にか恋愛感情になっていたという事ですか」
瑞穂が唸りながら呟く。
「諒太の……水野の気持ちは正確には分からない。あれは、私たちと同じく、心を悟らせない術に長けていた。私たちと、共にいたせいかな」
どこか遠くを見詰めるように目を細め、光次郎が呟いた。
「反して、許婚だった士君は離れた場所に住んでいたこともあって、それ程見舞いには来られなかった。仁美も、士君の事を嫌っていたわけではなかったが、やはり身近な水野に心惹かれたんだろうな」
見ていて痛ましかったと思う。
仁美が、水野に惹かれている事は和太郎にも、光次郎にもすぐに分かった。
三人ともども許婚がいる身だ。自分でしたものではないとは言え、約束を蔑ろにするのは不道徳であるし、下手をすると、不義の過ちになりかねない。
しかし、彼女は止めた所で心を殺すような事は決してしない娘だと知っていた。
ましてや、三人とも英才教育を受けていたとは言え、まだ幼かったのだ。
それに、和太郎も光次郎は、水野と仁美が恋人同士になればいいと、無責任にも思っていた節があった。
だから、敢えて止めなかったし、両親にも言わなかった。
仁美も、賢い女だったから決して自分の想いを兄弟以外に悟らせることはしなかった。
「彼女が物憂げに溜息を吐けば、使用人たちは皆、士君を想って物思いに耽っているのだと思っていたようだ」
実際は違うのに。
彼女の彼への想いは、閉じられた世界の秘密だった。
「本当に、ずっと上手く隠していたよ。学校へまともに行けず、家庭教師付で勉強していた小中学生時代、そして、体力がついてとうとう外を自由に出歩けるようになった、高校生になるまで」
小中学生の時も、体調がいい時は勿論外出していたが、限られた場所だけだった。
高校生になって、体力の限界を考えながら、二人は放課後に一緒に帰ったりしていたらしい。
「商店街をぶらついたり、たまに買い物をしたり。まるでデートのようだったよ」
「仁美叔母さんにとって、まさにデートだったんでしょうね」
凛太郎がどこか吐き捨てるように言った。
凛太郎の様子を、光次郎は微笑んで見詰める。
「私や君の父親が、どこかで彼女の気持ちを止めていれば、彼女を諦めさせていれば、彼女が死ぬ事はなかったと思っているんだね」
凛太郎は答えない。しかし、叔父を真っ直ぐと射抜く強い光を宿した瞳が光次郎の言葉を肯定していると語っていた。
「……君が思っている通り、私や兄は、仁美は諒太に受け入れられなかったから死んだと思っている」
真相は、本人しか分からないが。
しかし、少し考え脚色すれば分かるのではないか。
彼女が死んだ次の日には、彼女は誰かのものになる予定だった。
それが嫌で、水野に縋って、拒絶されて、自ら死んだ。
「あの子はどこか、夢見がちな性質だった。ずっと学校にも通えず、ある意味世間知らずでもあった。しかし、分別のある子だったから、自分が彼に受け入れられる事はないと気付いてはいたはずだ」
それでも、我慢ならなかったのだろうな。
一言添えて、光次郎から見た仁美の話は終わった。
和太郎と光次郎はその後、仁美が亡くなる以前と変わらず水野と付き合いを続けた。
水野も普段と変わらない様子で過ごしていたが、時折、声を掛けるのが憚られるほど暗い雰囲気を纏う事があった。
それがどういう時なのか、光次郎はよく覚えていないが、大分昔の事でそれも近年改善されてきていたのだが。
ここ一年で、再び物思いに耽る機会が増えたように思う。
スレッドに載っていた、理和に対する妙な態度が明らかになった時期とほぼ同時期だと瑞穂は思い、スレッドを再び見詰めた。
「水野先生が仁美叔母さんの事をどう思っていたのか聞いた事は無いのですか」
凛太郎が聞く。光次郎は頷いて背凭れに背を預けて向かいの壁に視線を向けた。
「あるさ。私たちも、当時は思春期真っ只中の男子高校生だからな。そういう好奇心は、強かったよ」
聞いたら、彼は顔から表情を失くして首を横に振った。
その時点で、追究は止めた。唯一、彼が隠し切れなかった心の姿だと気付いたからだ。
「私は、直接聞いた事はないが、彼も仁美の事を憎からず想ってくれていたようだと思ったよ」
「二人とも、惹かれ合ってたという事ですね」
「確証はないが」
瑞穂の言葉に光次郎が重ねて言う。
仁美の命日に、仁美の肖像画『不変』の前で、自ら命を絶った水野。
仁美に特別な感情を抱いていたことは間違いない。凛太郎はふと考え込んで俯く。
「いくつか不思議な点がある」
「うん」
凛太郎の呟きに、瑞穂も同意するように頷いた。
「どうして、水野先生は死ななくてはならなかったのか」
凛太郎が発した疑問は、光次郎の瞳を揺らした。