第3話 世界の仕組み
その後のことは良く覚えていない。
呆然と立ち尽くして居ると突然、立ちくらみの様に視界が真っ暗になるといつの間にか全く別の場所に立っていた。
「しっかし、三ヶ月か…多少はこの世界に慣れたかな?」
蓮二はジンの家兼、パン屋から外に出る。
そこには、現実の世界中を探しても絶対に見つからない景色があった。
この世界、先も書いたとおり異世界アンヴェール。
イツワリの世界。
現実の世界が科学を中心に発展したとされるならこの世界はさしずめ
魔法の世界。
この世界には現実世界には無いモノがあり、逆にこの世界アンヴェールにはないものが現実世界にはある。
例えば普通に地表が宙を漂って居たり、伝説上の怪物が平気でいたりする。
まるでコインの裏と表、空想の反転の様に。
そしてまたこのアンヴェールと現実の世界は密接に関係している。
現実世界で死ぬとアンヴェールに行きこの世界で目覚める。その時、通常ならば現実世界のことを覚えていない。
例外がある。それは現実世界で死なずにこの世界に来た場合だ。それは竜二の様に突然だったり、神隠しにあったものだったりなどだ。
そして本来ならばアンヴェールでも終わりを迎えると記憶を失い光になり、現実世界で生を受ける。その繰り返しがアンヴェールと現実世界の関係だ。
だが、死なずにここへ来たものは違う。現実世界で死なずに来たのだからアンヴェールで終わりを迎えることはできない。そのかわり、アンヴェールで死んでしまうと永遠の消滅。つまり輪廻の輪から外れるのだ。
「はぁぁ、この世界で死んだら本当に終わりなんて…本当俺なんで来たんだろ」
蓮二はため息をつきながらぼやく。
「まっ、それをどうにかする方法はある訳だし!現実世界の知識フル活用してやってやるぜ!」
蓮二は意気込みながら言う。
『現実世界で忘れている大切なモノを見つける』
これが先ほど蓮二が言っていたどうにかする方法である。