第12話 ケイラ=クシュラ
「おっ?あれじゃねぇか……?」
近づいてみるとなぜかそこには神話に出てくる教会の様な場所だというのが分かった。
「シャル、ここじゃねぇみてぇなんだが驚くことに看板がここを差してる。こう言うの本当困るよな?」
蓮二はここまで現実世界の小説などで出てくる様な物のオンパレードだったので、これは何かの間違いだと気づく。
やれやれだぜと言う風に肩をすくめながらシャルに同意を得ようと顔を向けるとシャルが言った。
「いえ、ここがギルドですよ?」
「からの?」
「いや、あのここが依頼を受けたりする場所で」
「ウソやん、皆で俺を嵌めようとしてるんでしょ?」
それからしばらく蓮二はシャルの説明を受け、この世界に初めて裏切られる経験をした。
「嘘だ!俺の知ってるギルドは愛と勇気と漢気溢れる場所なんだッ!こんな慈愛と清純が集まる所がギルドのはずがねぇ」
「どこですか?そんな気持ち悪い場所。そんなことより行きますよ?サッサと登録しちゃいましょう」
生気を失った様な蓮二をシャルに引きずりながら中の受付に向かう。
中に入るとそこには広いロビーにある木製のテーブルに男たちが酒を片手に話している姿だった、どうやら酒場がある様だ。
「おっおいシャル、ここは教会の中だよな?」
「ギルドの中ですレンジ。」
余りの外とのギャップにほうけている蓮二。
シャルはそんな男たちなど気に求めずにどんどん奥の受付に蓮二を連れて行き受付の女性に声を掛ける。
「あの!この人の登録お願いします。」
「いらっしゃいませ、登録ですね?ではこちらに手をお出しになってお待ちください。専門の者を読んでまいります。」
「はい。ほらレンジ手を出して」
「わかってるって、お前は保護者か」
「まあ夫婦って意味では保護者かな?」
「ちげぇよ?」
3分ほど待っていると眼鏡をかけ、黒と言うより青に近い髪を上げている社長秘書の様な美しい女性が蓮二の前に立った。
「こんにちは。私はケイラ、ケイラ=クシュラだ。ケイラと読んでくれ。で?貴方が登録希望者?」
ケイラの凛とした声に聞き惚れていて反応が遅れている蓮二。
「あっはい。レンジ=キサラギと言います。17歳です。」
「んぇ?…ゴホン。すまん、もっと年上かと思ってな。私は18歳だ。以外と歳が近いんだな?」
「…それは老けてるって事ですか?」
「あっ!いや、そう言うわけではなくてな…その…カッコ良かったから」
「なんですか?」
最後の方は声が小さくて聞こえず聞き返すがうやむやにされ、心なしかケイラの顔が赤くなっているのに蓮二は不思議に思ったのだった。