囚われの心
彼の激情は彼女の底に。
彼女の願いは彼の心に。
ずっとずっと眠ったまんま
月日は流れ、時は過ぎ去る。
そしてまた、春は彼らを迎えに来た。
彼を縛る枷は、彼の何よりも大切な人。
そんな枷をムリヤリ壊せるはずもなく、彼の心は閉ざされたまま。
冷たい冬は終わり、命の芽吹く春は訪れる。
野原に咲く可憐な花を見ても、
静寂な森に木霊する美しい野鳥の鳴き声にも、
彼の心臓が早鐘を打ち鳴らすことはない。
彼の心を縛るのは、彼が本当に愛せる人。
そんな彼女を壊せるはずもなく、彼の心は真冬の如く冷え切ったまま。
だから............
雪が去り、春風が吹き抜けても、
彼の鼓動が乱れる余地は無い。
ただそこに、ただそこにいるだけ。
彼を縛る彼女を、絶対の力で守るために......
読んでいただきありがとうございました。
短いお粗末な文章でしたがどうだったでしょうか?
もしよろしければ、感想など頂けると幸いです。