第2話 昔の事?しょっちゅう思い出してますがなにか?改
『あなたは選ばれました』
『VR版【ALL GATHERED】正式サービス開始に伴い、近日終了予定の旧【ALL GATHERED】をお楽しみいただいている方の中から無作為抽選により新型VR接続機器をお送りさせていただいております。これを機会にVR版にご参加いただき、【ALL GATHERED】世界をお楽しみいただければと、弊社社員一同心よりお待ち申し上げております』
なんか当たったらしい。
☆
近所にブクオフあると便利で良いねwww
いやー、まさか現行機種のプレミア価格の更に3割増で売れるとは。
さすが新型www
悪いね、運営の中の人、せっかくのお心遣いを無碍にしちゃって。
ちゅーか、欲しくなったら自分で買います。
懸賞で当たった物は基本売却、家計の足しです。
社会人とゲーム廃人の二足の草鞋は結構金がかかるのですから当然なのです。
ていうか、旧版【ALL GATHERED】が終了とか、噂はあったが本決まりとか聞いてないぞ。
運営の中の奴、ちゃんと仕事しろ。
くそう、課金は出来るだけ避けてのんびりやろうと思ってたのに、このママじゃ間に合わん。
という事で、売った金で課金アイテムその他諸々買い込んで、っと。
レッツログイン!!旧【ALL GATHERED】!!
それから3週間!そんでとうとうやりました!
苦節通算4年www死亡回数0回、寿命がくる前にレベルカンスト、寿命がきたら転生の繰り返して全種族転生全スキルコンプリートwwww。
って、誰もほめてくれないorz
みんなどこにも居ねー。
せっかく全種族転生してスキルも全取得して無死のままでココまできたのに、自慢できる奴らが居ねー。
誰もいねー。
きっとVR版に移ったんだろうなー、ギルメンみんな廃人だったし。
せっかく育てきった最後のキャラ、見せたかったのにー。
悔しいからスクショ撮っといて次の機会に見せよう。
えっと、ステータス画面開いてと…。
種族 ハイエストエルフ
職業 光の神 魔神 騎士王 女帝
Level 1000
HP 65000/65000
MP 65535/65535
STR 999
VIT 999
DEX 999
AGI 999
INT 999
スキル コンプリート
どうよ、この麗しの無敵キャラwwww
って何この職業。
騎士王とか女帝はともかく光の神とか魔神て。
せっかく筋力上げても腕とか足とか太くならないように課金してスリムアップポーション飲ませまくって、すっきりスリムキャラのエルフにしてるってのに、魔神て。
ていうか神様って職業なんか?
つか女帝とかないわ。
国民居ないしwww
ひとりぼっちの女帝陛下は一人寂しく国家の繁栄に従事しましたとかw
支配者も国民も部下も全部私で一人何役?wwww
……。
つかれた。
取りあえず、落ちよう。
(´・ω・`)ショボーン
☆
「阿多楽さん!?なにやってんですか!!」
「はい?」
翌日、出社していきなり絡まれた。例のアレに。
「はい?じゃないでしょ!?せっかく『ALL GATHERED』本体贈って差し上げたのに、なかなか来ないと思ったら、何売り払ってるんですか!!アレですか?せっかくの僕の心遣い無駄にして嬉しいんですか?」
…えと。
おまえかーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
何?運営を騙って送りつけてなんぞするつもりだったとか?
ストーカーですか?ストーカーですね?
もしくは貧乏な私だったら垂涎のだろう的な高価なゲーム機恵んで悦に入ってるのか?
そんで軽くスルーどころか売り払ったら逆切れか!
しらんがな!
ちゅうか、お前から贈られたってわかってたら、売り払う以前にたたき壊してぶち捨てるわっ!!
「せっかく、せっかく僕が…本当に、あなたときたら…」
あ、嫌な感じ。
記憶がよみがえる。
『ネットで男を漁ってたりするんだろう?オフ会とかでさぁ』
するか馬鹿。まだ処女だっつのorz。
30過ぎても処女だとなんかになれるのかな。
男はいいよね!30過ぎても童貞だと魔法使いになれるんだし!童帝の称号も貰えるんでしょ!!なんかむかつく。
『あんた、うちの人に色目使わないでよね。なに?ちょっと男に声かけられたらほいほいついてくんじゃないの?だったら他の男にしてくれない?』
しらんがな。お前の男とか誰だよ。
声かけられる事くらいしょっちゅうあるわ!
ホストクラブの兄ちゃんとかにだけどな!よっぽど喪女オーラ漂わせてたのか知らんが。
あ、うちのお店に務めない?ってスカウトされた事も何回かはあるぞ!SM倶楽部だったけどな!
夜のお仕事してたらイベント消化できないじゃん!突発イベントとか、夜のが多いんだよ!
なんか知らんが逆恨みされた事とか。
『貴女ね?貴女のせいで彼が…。あんたのせいよ、あんたがいなければ!!』
まてや。
お前の彼氏がネトゲにハマったのは私のせいなのか?
たしかに初心者ん時にギルメンと一緒にあっちこっち引っ張り回してパゥワァレベリングとかして遊んだけど、精々ベテランに毛が生えた程度に留めといたわ。
それ以降はそいつ自身の責任で。
ネトゲのご利用は、容量用法を守って正しくお取り扱いくださいますよう。
とか言ってやったら、実力行使されますた。
ひゅんって目の前を銀光が閃いたのです。
はっ!刃物とか!コロスキか!
『死ね、馬鹿女』
ひゅん、って前髪が切れた。
よく避けた!私よく避けたよ!
ていうか殺す気満々マンだぁーーーーー!?
『よけんなぁ―――――――!』
よけるわーーーーーーー!!!
「ちょっと、阿多楽さん?阿多楽さんって、大丈夫ですか?顔色真っ青ですよ!?」
そんな風に嫌な記憶が蘇る私に、目の前の男が一応気を使ってくれてるようである。
「ごめ、あんま大丈夫じゃない。ちょっとやな事思い出した」
ちゅうか、今回の原因は貴様だがな!
薬のも。
「状態異常ですか、仕方ありませんね。ちょっとすいません、じっとしててください」
そう言って奴は私の額に向け、手のひらをかざした。
「ん、と。…混乱+3、ですか。キツいですねぇ」
は?ああ、ほんとキツいのよ。
だからちょっと薬飲ませてくんないかな?
早い話がどいてくれ。人前でお薬飲みたくは無いのだ。
って声にはしないが全身全霊雰囲気で言ってんのに!
無視か、このやろう。
「仕方ありません。話を聞いてもらうためです、本当は駄目なんですけど。今回は特例という事で、許していただけるでしょう。“ピースフルスピリチア”」
はい?
なにそれ