こんなはずじゃなかった。
今日は社長を殺すという依頼だ。いつもなら人がいないところで、殺すのだが、今回はパーティーに参加しているターゲットを殺せという変わった内容だった。そんな依頼でも、俺にとっては朝飯前だ。パーティー会場から離れたビルからスナイパーを使って頭を打つだけだ。ターゲットは片手にグラスを持ち、もう一方はポケットの中だ。下腹が出て、頭は皮膚がたくさん見えている。ひとまず、ターゲットで間違いないと確認をして、スコープの十字の真ん中に頭を合わせる。あとは簡単。引き金を引くだけ。3、2、1。
にゃー、、、ドン。猫の鳴き声で少しズレた気がしたがターゲットが倒れていることと大勢の人がパニックになっていることを考えると命中したと判断できる。仕事はこれで終わり。1億円ゲットだ。
今日は社長を守るという依頼だ。いつもなら人を探すという依頼なのだが、今回はパーティーに参加するターゲットを守るという変わった内容だった。そんな依頼、僕にとっては難しすぎる。殺し屋から守るためには探偵を動くことは普通ないがせっかくきた仕事を断るわけにもいかない。だが、守り切れるかがとても不安だ。そこで思いついたのが自分が社長になりすませばいいということだった。パーティーでは、社長に変装をしているから誰も自分を疑っていない。これでどんなことがあっても社長は死なない。できれば、僕も死にたくないけど。どこから来るのだろう。怪しい人はいない。参加者は全員確認済みで残りは外からの暗殺しか考えられ、、、ドンと小さい音が鳴って、振り向くと同時にバリンと大きい音が響く。動体視力はいい方である。自分に近づいてくる弾がスローモーションになっている。眉間ぐらいの高さなら避けることができたかもしれないが、口の高さだったので避けることができなかった。倒れたと同時に多くの人が悲鳴をあげていた。
1億円を手に入れたということで、今日は少し高めのワインとおつまみを買って帰ってきた。テレビをつけて、ニュースを確認する。それが俺の習慣だ。自分の仕事がテレビに取り上げられているととても達成感があるから仕事終わりはすぐにテレビをつけて、酒と肴で一人打ち上げだ。ところが今日の仕事がどこにも取り上げられていない。と思っていると速報が入ってきた、、、あの殺したはずの社長が結婚したという内容だった。理解はできるが理解ができない。ボーっと魂が抜けたように祝コメントを読み上げるアナウンサーを見ていた。
「そんな一点を、見つめてどうしたんですか?その顔ってもしかして、『え、この人結婚できるんだーとか思ってます?』失礼ですよ、」
「誰だ、お前。人の家に勝手に上がってきて、出て行け!」
「それとも、なんで死んだやつが結婚報告なんてやっているだとか思ってます?」
「、、、」
「驚いて声も出ないですか、僕はあなたが撃った人ですよ。殺し屋さん。」
「何を言っているんだ。お前があの社長に変装とかでなりすましていたなら、なぜ死んでいない?」
「確かに、それは気になりますよね。あの時、咄嗟に行動できたんですよ。あなたの銃弾が口元に流れてきたから歯で噛んで止めました。」
あり得ないことを言っているが、こいつは馬鹿なやつだ。殺し屋の家に一人で来るとはな。殺してしまえば、全てなかったことにできる。焦る必要も焦ることもない。
「もしかして、僕を殺そうとか考えてます?それは無理だと思いますよ。よく考えてください。銃弾を目視することができるんですよ。あなたはそんな人を殺せますか?リベンジしますか?」
「ああ、やってやるよ。2度なんて失敗はしない。」
「殺し屋さん、外になんかいますよ。」
振り向くとドンと小さい音が聞こえた。その瞬間バリンと大きい音が響いた。と同時に自分から赤い液体が飛び出ていることに気がついた。警察に言ってあったのか。抜かりないやつ目。銃弾を止めるなんてできるわけないだろ。見ることさえできないのに。一瞬のうちに床に倒れていた。ああ、こんなはずじゃなかった。
あーほんとに怖かった。結構犯人を追い詰める探偵っぽかった気がする。警察に連絡して正解だった。もしあそこで警察が狙撃しなければ、僕死んでたな。今回、凶悪な殺し屋を逮捕できたということで、懸賞金と謝礼金合わせて1億円もらえるらしいから今日は自分の活躍をニュースで見ながら、酒と肴で、一人と一匹の打ち上げでもするか!ついでに猫の餌切らしてたからちょっと高めのものでも買って帰ろう。あ、帰る前に歯医者寄らないといけなかった。




