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不死となった少年は抗う為に剣を握る  作者: マジュルーム
復讐を目指す少年と全てに絶望した少女
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少年 戦の準備をする

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汚水まみれになった翌日から、祐樹の日常は一変した。以前はボンリスに言われるがままに鍛錬をしていたが、仙台での戦闘を経て、彼は自己の致命的な欠陥を理解した。


――単純な戦闘能力の皆無。


彼は不死者である。斬られても撃たれても即座に再生する。だが、普通に傷を負ったら痛いし、死なないからと言って負けないわけではない。あの絶望屋の女の猛攻に対し、彼は終始防御と回避に徹し、最後にたまたま二式が使えなかったら勝利はなかっただろう。


「もっと、速く動け。お前の動きは、まるで油が切れたロボットのようだ。」


「うるせえな!」


金属の軋む音が響く廃工場の一角で、ボンリスと祐樹は組手をしていた。ボンリスは黒一色の防弾チョッキを装備しながらも、その動きは超一流の武術家すら凌駕している。彼の拳は常に祐樹の再生が間に合うギリギリの場所を掠め、または急所を正確に突いてくる。


祐樹は一式で手袋から黄色い拳を伸ばし、殴ろうとするが、ボンリスはそれをギリギリで避け、間合いを詰める。


「一式は、確かに強力な武器だが、使用者が弱ければ意味がない。あの拳も、普通にパンチをしても当たらない距離から拳を構えてるから、来るのがバレバレだ。」


「わかってるけど、ちょっとは厳しそうな顔をしろや!」


祐樹は悔しさを滲ませながら、ボンリスの動きを読もうと妖力を目に集中させる。ボンリスの動きは独特だ。蝶のように舞い蜂のように刺すような戦い方であり、祐樹の攻撃は全く当たらない。


組手は十回行われ、祐樹は十回全て敗北した。勝利どころか、一度たりともボンリスに有効打を与えることすらできなかった。


「大抵負けてるのは内緒な」などという悠長なことを言ってるレベルではないような完敗だった。


鍛錬の合間、祐樹は今回の報酬金を使って、ノートパソコンと高速回線、そして大量の専門書を購入した。


「今からハッキングを学ぶのか。 まあ別にいいが。」ボンリスは、パソコンに向かう祐樹を見て、わずかに不思議そうな表情を見せた。


「まあな。今はいらないだろうが、ちょっとやりたいことがあってな。」


祐樹の動機は極めてシンプルだった。白竜会に狙われたりして忙しかったことが多いが、彼は家族への復讐を忘れたことはなかった。

そのためにはあの家族が今どうしているのかを知らなければいけない。そこで祐樹がたどり着いたのがハッキングなどをすることだった。 .................まあ、あの家族あんなこと続けてたら、十中八九ばれて大炎上するだろうが、そんなニュースはまだないので、そんなことがないと信じて祐樹はハッキングを学ぶのだった。


別に自滅してても裏社会で生きてくなら使うだろうし。


ある日の深夜、祐樹がグリム・エンドの新しい技を開発していると、背後からボンリスの声がした。


「そろそろだ、祐樹。」


祐樹は剣を鞘にしまい、ボンリスの方を向いた。ボンリスの顔は真剣だ。


「何を?」


「白竜会への本格的な抗争開始だ。お前は名古屋支部を壊滅させたが、奴らは我々の予想以上に、警備を固めている。」


ボンリスはタブレットの画面を祐樹に向けた。そこには、白竜会系列の複数の事務所や、裏金が流れる非合法カジノのセキュリティ映像が表示されていた。


「これまでの防衛レベルの三倍だ。特に重要な拠点は、妖術科の監視や攻撃すら防げる特殊な防御術を導入している。流石の俺らでも攻めるのは難しいだろうな。長期戦に持ち込まれる。」


「で、どうするんだ?」祐樹は冷静に問いかけた。


ボンリスはニヤリと笑った。


「攻めにくいなら相手を誘き出せばいい。我々は、愛知県内にある白竜会関連の施設を襲撃をし続ける。」


祐樹の眉が跳ね上がった。


「どういうことだ?流石に俺だけじゃあ無理だぞ。」


「我々だ、祐樹。そして、全てを壊滅させる必要はない。おびき寄せるだけだ。祐樹、俺らの目的を覚えてるか?」


ボンリスは地図上の愛知県を指差した。


「俺らの目的は、白竜会そのものの壊滅ではない。依頼で頼まれた『鎖哭』という武器の破壊、そして、その破壊証拠のために持っていく破片の入手だ。」


ボンリスの言葉には、一切の感情がこもっていない。ただの作戦の遂行に関する論理だけだ。


「鎖哭の持ち主は、恐らく強力な実力の持ち主。そして、白竜会の命令を忠実に従う犬っころだろう。」


「つまり、どういうことだ?」


「愛知県内で火の手を上げ、それを放置し続けると白竜会のメンツに傷がつく。そうならないためにも強力な使い手、つまりは鎖哭の所有者をおびき寄せれる可能性が非常に高い。」


ボンリスは椅子に戻り、足を組んだ。


「そこを突く。奴がノコノコやってきたところをつくんだ。」

祐樹はボンリスが作った壮大な作戦をきき、浮かんだ疑問をボンリスにぶつけていった。

「その鎖哭って武器を持ってる奴が来なかったらどうするんだ?」

「その時はまた違うところを襲撃し続けてくるまでやるぞ。 違う奴が来たらそいつを殺せばいい。」

「実行メンバーは?」

「俺とお前。あと白竜会と対立してる首都圏を縄張りにしてる鹰龙军团という名前の組織と白竜会を抗争させるように工作しといた。 それにこんな大規模なことをやるんなら妖術科、つまり国が運営している組織も動くだろうから、無理やり参戦させる。まあ玄武が来たならそこは放置するがな。」


祐樹はボンリスの作戦の詳細を聞きながら、頭の中で瞬時にリスク計算を行った。


(鎖哭を破壊した後も、白竜会に狙われて、復讐どころの話じゃない気はするが...)


しかし、彼は同時に考えた。


(だが、どちらにしろ今でも白竜会には狙われている。。そして、今この瞬間、俺にはボンリスという強力な協力者がついている。)


ボンリスは、自分の力の原理を理解し、妖術科や裏社会の情報に精通し、何より圧倒的な戦闘力を持っている。この男を利用できる今こそが、最も安全に復讐を遂行できる時期なのだ。


「わかった。」祐樹は口を開いた。「それで行こう。」


彼は立ち上がり、一式で鉄骨を掴み、天井付近まで一気に移動した。


ボンリスはわずかに光る眼鏡の奥から祐樹を見上げた。


「だが気をつけろ。支部を一つ壊滅させたとはいえ、白竜会は圧倒的な力を誇ってる。 一筋縄じゃいかんぞ。」

その言葉を聞いて、祐樹は改めて気を引き締めた。こちらの戦力のメインは二人。対して相手は未知の戦力。


「まあでも大丈夫だろ。ボンリスと俺、二つの縄がある二筋縄なんだからな。なんとかなるだろ。」


そう自分で自分を励ました祐樹は着地し、準備をしにいくのであった。

こうして、白竜会と祐樹との本格的な抗争が、今、愛知県を舞台に始まろうとしていた。

戦力差

白竜会

会員約7000人

妖術科

構成員1773人

祐樹、ボンリス

戦力2人➕約900人

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