二人は仲良く(?)訓練する。
なぜだろう。 なんか生暖かい気が。 スパルタ訓練のはずが作者の頭の中のボンリスが有能すぎました。 まあ次回からまた地獄が始まるからいっか⭐︎
星? 月まで届け僕らの思いーーーー!
廃工場の薄暗い一角で、祐樹とボンリスは向かい合っていた。ボンリスは、先ほどまでの冷徹な表情とは打って変わり、どこか学者然とした面持ちで、祐樹に語り始めた。
「さて、まずは俺が使っている力について説明しよう。俺が使うのは『魔術』だ。お前が白竜会の連中から受けた『妖術』とは、似て非なるものだ。」
ボンリスは、そう前置きすると、地面に棒で図を描きながら説明を始めた。彼の言葉は、祐樹にとって全く新しい世界の扉を開くものだった。
「魔術は、古くから伝わる四元素の思想を基盤としている。火、空気(風)、水、土。この四つの属性が、世界の全てを構成しているという考え方だ。魔術を使うには、『魔力』と『詠唱』が必要になる。魔力は、アジアやオセアニア以外のほとんどの人間が生まれつき持っているものだ。お前が持つ『妖力』とは、その源流が異なる。」
祐樹は、ボンリスの言葉に真剣に耳を傾けていた。彼の頭の中では、妖術と魔術の概念が少しずつ整理されていく。
「妖術は、妖紙という媒介に妖力を流し込んで発動させる。だが、魔術は違う。詠唱、つまり言霊を使って発動させるんだ。だから、妖紙のような媒介は一切必要ない。五行思想の霊質に関連する身体部位が破損したら妖力が使えなくなる、といった弱点もない。肉体がどうなろうと、魔力さえあれば魔術は使える。」
ボンリスは、そこで一度言葉を区切ると、祐樹の反応を伺うように見つめた。祐樹は、自身の不死の肉体と魔術の相性の良さに、密かに驚きを覚えていた。妖術は妖紙という紙が必要だ。だが不死の体任せに突っ込んでいったら妖紙が全部破れたりして使えなくなるかもしれない。 だが魔術だったら、喉をいくらつぶされても治る自分の体と相性がいいと思った。しかし、ボンリスはすぐに魔術のデメリットについても言及した。
「ただし、魔術にも弱点はある。口で詠唱をするため、喉を潰されたら魔術は使えなくなる。また、詠唱が必要な分、発動までに若干の時間がかかる。そして、妖術のように何枚もの妖紙に妖力を流し込んで、複数の妖術を同時に発動させるような荒技は、魔術では不可能だ。一つの詠唱で発動できる魔術は、基本的に一つだけだ。」
ボンリスは、妖術と魔術のそれぞれのメリットとデメリットを丁寧に説明した。祐樹は、それぞれの特性を理解した。 自分のような不死者はともかく、魔術師相手はとりあえず喉を潰そうと。
「……なるほどな。じゃあ、俺のこの『黄色い斬撃』ってやつは、一体何なんだ?」
祐樹は、自身の最も強力な異能力について尋ねた。ボンリスは、その問いに首を傾げ、困惑した表情を見せた。
「お前のその『黄色い斬撃』については、俺も全く見当がつかない。魔術の範疇ではないし、妖術の記録にも、そのような能力は存在しない。お前自身の、特異な能力としか言いようがないな。だが、その力は非常に強力だ。妖力や魔力とは別の、お前だけの武器として磨き上げるべきだろう。」
ボンリスは、祐樹の異能力については未知であると正直に告げた。その言葉に、祐樹は少し落胆したが、同時に自身の能力が唯一無二のものであることに、わずかな優越感も覚えた。ボンリスは、話を妖力に戻した。
「さて、お前は妖力を持っている。そして、妖術の基礎知識も、あの本で学んだのだろう。だが、妖力を身体に循環させる感覚が、まだ掴めていないようだな。」
ボンリスは、祐樹の身体能力の高さと、妖力の存在を既に察していた。彼は、火と木の霊質が祐樹の心臓と肝臓に宿っていることを指摘した。
「妖力は、ただ持っているだけでは意味がない。それを意識的に身体に循環させ、制御できるようにならなければ、妖術はおろか、身体強化すらままならない。まずは、その感覚を掴む訓練だ。」
ボンリスは、祐樹に瞑想するように指示した。そして、自身の心臓と肝臓に意識を集中させ、そこに宿る霊質が、まるで血液のように全身を巡るイメージを持つように促した。最初は、何も感じなかった。しかし、ボンリスの的確な指示と、祐樹自身の集中力によって、徐々に変化が訪れた。
「……何か、温かいものが、身体の中を流れているような……」
祐樹は、微かに身体が熱を帯びるのを感じた。それは、まるで体内に眠っていた何かが、ゆっくりと目覚め始めるような感覚だった。ボンリスは、その変化を見逃さなかった。
「そうだ、その感覚だ。それがお前の妖力だ。それを全身に巡らせるんだ。もっと強く、もっと速く!」
ボンリスの言葉に後押しされ、祐樹はさらに集中力を高めた。温かい流れは、やがて熱い奔流となり、彼の全身を駆け巡る。筋肉が軋み、骨が震えるような感覚。だが、それは苦痛ではなく、むしろ力が漲っていくような、心地よい感覚だった。彼の身体は、妖力によって内側から活性化され、細胞の一つ一つが覚醒していくようだった。
数分後、祐樹は目を開けた。彼の全身からは、微かに湯気のようなものが立ち上っていた。身体は、先ほどよりも明らかに軽く、力が漲っているのを感じる。ボンリスは、満足そうに頷いた。
「よし、これで妖力の循環はできるようになった。まだ初歩の初歩だが、これで身体強化も、妖術の発動も、格段に安定するだろう。お前は、妖力と黄色い斬撃。二つの異なる力を使いこなすことになる。その全てを使いこなし、白竜会を叩き潰すんだ。」
祐樹は、自身の掌を見つめた。そこには、確かに新たな力が宿っている。ボンリスとの出会いは、彼の復讐劇に新たな局面をもたらした。彼は、この新たな力を使いこなし、白竜会、そして彼を裏切った者たちへの復讐を果たすことを誓った。彼の瞳には、決意の光が宿っていた。
こうして、祐樹とボンリスの、奇妙な共闘関係が始まった。二人の目的は違う。しかし、彼らは、白竜会という共通の敵を前に、互いの力を必要としていた。彼らの出会いが、日本の裏社会に、そして祐樹自身の運命に、どのような影響を与えるのか、今はまだ誰も知る由もなかった。しかし、確かなことは、彼らの物語が、新たな章へと突入したということだけだった。
専門用語集① 金妖術
なんか少し前の話で話した金妖術をもっと詳しくいうコーナー。イェイ。 まず金妖術が前提として霊質の中でもダントツで強いとされている。 なぜなら結界術や封印術、召命術(式神作ったり召喚すること。)、高品質の妖紙を作る力、回復術などなど、結構色々なことができるから。特に召命術はトップクラスの性能であり、この召命術は、生きているものに、自身の妖力を注いで形代に入れることにより使役をするのだが、この妖力を注ぐ量は、器によって差はあるものの、例えば自身の妖力の二分の一を犬に注いだとしたら、その犬の戦闘能力は、犬が元々持っていたスペック➕注いだ妖力✖️相手が形代に入ることを拒まなかったらその分ボーナス=が戦闘能力になり、本当にアホみたいな力を持つことになる。ボーナスは最大で六(拒むほどボーナスはない。だからって➖になることはない。)なので、例えば犬の元々のスペックを一、注いだ妖力を術師(元々この人は十くらいの戦闘力)の妖力の半分(五)、ボーナスが三だと、一➕五✖️三=十六で、術師は自身よりも強い式神を使役することができる。 (しかも召命する時はわずかな量の妖力を形代にこめるだけでいい。)とかいうチート。




