少年 自身の力を確かめる
無意識に物事をやるのってどうやるんでしょうね。 教えてこいしちゃん!
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ご飯を食べに行って帰ってきた祐樹は彼は次にあの地下室で無意識に放った「黄色い斬撃」の能力を、意図的に再現し、その特性を理解することから始めることにした。
本に書かれていた妖術の基礎知識を頭の中で反芻する。妖力は妖紙という媒介を必要とし、その媒介から力を発動させる。しかし、彼の「黄色い斬撃」は、妖力とは異なる、彼自身の肉体に宿る特殊な能力であると直感していた。彼の記憶にあるのは、メスやナイフ、そして靴から放たれた斬撃だ。つまり、身につけているもの、手に持っているものが、この斬撃能力の「媒介」となるのだろう。彼はまず、足元に意識を集中させた。履いているスニーカーが、斬撃能力の媒介となるはずだ。
「……まずは、これか。」
祐樹は、まず何も意識せず左足を軸にし三日月蹴りを放ってみた。だが黄色い斬撃は出ない。
次に彼は、5メートルくらい先にある朽ちたドラム缶に狙いを定めた。黄色い斬撃が出るように意識し、三日月蹴りをドラム缶へと放った。すると、まるで足が伸びたかのように黄色い斬撃...いや、黄色い脚が伸び、ドゴッ、という大きな音と共に、ドラム缶を二つにぶち割った。
「すげぇ……本当に、こんなことができるのか。」
しかし、喜びも束の間、彼はすぐに冷静さを取り戻した。この能力には、まだ未知の部分が多い。彼は、さらに実験を続けることにした。次に試したのは、斬撃の「長さ」だ。本には、妖術の応用範囲が記されていたが、彼の斬撃能力については何も書かれていない。彼は、この黄色い斬撃がどこまで伸びるのかを知る必要があった。
祐樹は、廃工場の壁に沿って、ゆっくりと後退した。壁には、落ちていたチョークで目印をつけながら、距離を測っていく。十メートル、二十メートル……。そして、三十メートルほど離れた場所で立ち止まった。再び、右足に意識を集中させ、内なる力を送り込む。黄色い斬撃が、スニーカーのつま先から勢いよく伸びていく。三十メートル先の壁に到達し、壁に深い亀裂を入れた。しかし、そこで斬撃の勢いは止まった。それ以上は伸びない。祐樹は、さらに距離を詰めて、四十メートル地点で再度試みた。今度は、斬撃は壁に届くことなく、空ぶってしまった。
「なるほど、最大で約四十メートルか。これだけあれば、十分すぎるな。」
彼は、斬撃の最大射程を把握した。次に、その「切断能力」の限界を探ることにした。廃工場には、様々な種類の金属が放置されている。彼は、それらを一つずつ試していくことにした。
まず、錆びついた薄い鉄板にナイフで黄色い斬撃を伸ばす。黄色い斬撃は、まるで紙を切るかのように容易く鉄板を両断した。次に、もう少し厚い鉄骨に狙いを定める。斬撃は鉄骨に食い込み、そのままぶった斬った。
「ふぅん。 鉄骨も案外斬れるんだ。じゃああの炎野郎はやっぱり妖力を剣に循環させて防いでたんか。 ……」
彼は、卓が持っていたロングソードを思い出した。あの剣は、彼の斬撃を容易く受け止めていた。それは、剣自体が強い魔力を帯びていたからだろう。彼の斬撃が、その剣に通用しなかった理由が、これで明確になった。この能力には、まだ限界がある。それを理解した上で、どう使いこなすかが重要だ。
次に、媒介の多様性を試すことにした。彼は、ご飯を食べに行った時に買った作業用手袋をつけ、それで黄色い斬撃を爪を立てた手を突き出して放ってみた。 すると手袋から伸びた黄色い斬撃はかぎ爪のようになり、柱に引っ掛かった。 そして黄色い伸びたかぎ爪で柱を掴みながら縮むように念じると、柱の方向に体が引っ張られすごいスピードで移動をし...柱に頭をぶつけた。
「や、やっぱり思った通りだな。 これで移動は楽になったけど...ちょっと練習がいるな。」
彼は柱に頭をぶつけ、頭蓋骨を割って悶絶しながらも、再生し終わった後はこの手袋での移動を試していた。 だがこの移動方法、本当に速すぎて自分自身でも制御できなかった。 なにしろ黄色い斬撃が伸びるのは全くみてても見えないのだ。 逆に柱などを掴んだりできるだけでもすごいだろう。 そんな危ない移動方法は練習の余地有りだが、自身の新たな能力に確かな手応えを感じていた。 だけど、これだけで卓に勝てるとは祐樹は一ミリも思ってなかった。 あの時彼は油断をして地下という酸素があまりない状況で自分と戦っていた。 もし広い場所で、また戦うのなら、戦闘経験が浅い祐樹は瞬く間に殺されるだろう。 それだけ彼らの戦力は離れていた。
だから次はどうするか。 妖力は一応それなりに分かったし自身の異能力についてもあらかた理解した。 だが理解したせいで自分がまだまだ弱いことにも気付かされてしまった。 これからどうするか。 そう考えながら祐樹は穴が空いた屋根から夜空を眺めるのであった。
人物紹介⑨ 鍋島卓
年齢 28歳
誕生日 4月19日
役職 代理支部長
好きなこと 出世すること 褒められること 龍之介と稽古をすること。
嫌いなこと。 白龍会には向かう人たち。
名古屋支部での戦いのラスボス。 本当は中ボスだったけど2ステージみたいなのがやだったから代理支部長にしてラスボスにした。 ネタバレだけど生きてる。 内緒だよ。 別にまだ白竜会の中だと中の上だったけどまだまだ伸び代があるし忠誠心もあるので第二の犬になることが期待された。 要するに国家の犬ならぬ裏社会の番犬になるとこだった。 裏社会の番犬ってケルベロスが1番最初に思いつくのってなんでだろうね。




