プロローグ
男だけど処女作です。
アドバイスとか優しめに言ってくれると幸いです。
誤字脱字の指摘もお願いします。
ふと思い出したのは、誰かの言葉だった。
「忘れないで。愛する人と過ごす時間は、永遠には続かないんだ」と。
その言葉が真実だと気づいたときには――もう、すべてが手遅れだった。
――不死となった少年は抗うために剣を握る――
「お兄ちゃーん、起きて〜。朝だよー。」
そんな可愛らしい声と共に、少年、高野祐樹はゆっくりと意識を浮上させた。まだ夢の残滓が脳裏にまとわりつき、まどろみの中にいたかったが、妹の声はそれを許さない。
「なんだよ、美也。お兄ちゃんはまだ寝たいのに」
祐樹は不満げな声を出しながら、腕を伸ばして布団をのけた。隣に立つ妹、高野美也は、ぷくっと頬を膨らませて抗議する。
「だって、お母さんが祐樹を起こしにおいでって言ってたもん。お兄ちゃん、いつも寝坊するんだから。」
その言葉に、祐樹は苦笑した。美也の言葉はもっともだ。最近は特に朝が弱くなっていた。微笑みながらベッドから起き上がり、美也の頭を軽く撫でてから、下の階へと降りていった。
リビングからは香ばしいトーストの匂いと、コーヒーの香りが漂ってくる。食卓には、すでに朝食が並べられていた。
「おはよう、祐樹。美也はちゃんと起こしてくれたのね。偉いわ。」
そう言いながら、祐樹の母、高野明美が優しい笑顔を向けた。40代とは思えない若々しさと、穏やかな雰囲気が祐樹の心を和ませる。
「おはよう、母さん。変な夢を見たのもあるけど、おかげでまだ眠いや。」
祐樹は大きくあくびをすると、明美は「うふふ」と上品に笑った。
「ごめんなさいね。でも、天国のお父さんも、祐樹には規則正しく生活して欲しいって思っているに違いないわよ。」
その言葉に、明美の顔は一瞬にして陰り、目を伏せた。祐樹の父――高野慎吾は、祐樹が10歳の時に交通事故で他界した。それ以来、明美はシングルマザーとして、祐樹と美也の兄妹を女手一つで育ててきたのだ。その苦労を間近で見てきた祐樹は、いつも母を支えたいと思っていた。
「言っただろ。俺も高校生になったらアルバイトをして母さんを支えてやるって。もうすぐ高校生だし、もう少しの辛抱だよ。」
祐樹の言葉に、明美は再び顔を上げ、優しく微笑んだ。
「いいのよ別に。高校生は勉強してしっかり遊ぶのよ。家計の問題なんてまだ考えなくていいんだからね。それより、早く朝ごはん食べちゃいなさい。可奈ちゃんが待ってるわよ。」
朝食を終え、玄関に向かうと、すでにそこには見慣れたショートボブの可愛らしい女の子が立っていた。水野可奈、祐樹の幼馴染であり、恋人だ。
「おっはよ〜祐樹。今日もいい天気だね。遅いよー。」
可奈は少し膨れっ面で祐樹を見上げた。その仕草が可愛らしくて、祐樹は思わず笑みがこぼれる。
「おはよう、可奈。悪いな。ちょっと待たせたか?母さんが長話するもんだから。」
「いいのいいの。私もついさっき外に出たところだし。それより、早く学校に行こ。今日の数学の小テスト、自信ないんだよね。」
そう言いながら、二人は横に並んで歩き出した。他愛もない話をしながら、学校までの道を歩く。それが祐樹の日常だった。美也はポニーテールがよく似合う中学二年生で、活発な性格。母の明美は苦労を重ねながらも、いつも笑顔を絶やさない強い女性。そして可奈は、学校でも人気のショートボブの女の子で、祐樹にとってはかけがえのない存在だった。事故で父を失った悲しみはあったものの、祐樹の生活は、まるで絵に描いたような穏やかさに満ちていた――。
あの日までは。
ある日、祐樹の母は、祐樹たち兄妹に、再婚すると伝えた。相手は、ややぽっちゃりとした体型だが、大手企業の社員である浩三という男性。祐樹の母とは偶然の出会いだったらしい。祐樹と美也は、母が幸せになることを心から祝福した。さすがに今のままシングルマザーを続けていたら、いつか母が倒れてしまうのではないかという不安が常にあったからだ。新しい義兄が2人できると聞き、祐樹は彼らと仲良くしたいと純粋に思っていた。だが、それがすべての不幸の始まりだった。もしあの時、祐樹が母の再婚に反対していたら、こんな結末にはならなかっただろうか。そんな後悔が、後に彼の心を深く蝕むことになる。
そして、新しい家族との生活が始まった。
「それじゃあ、これからよろしく頼むよ。明美さん。祐樹くん、美也ちゃんも。」
そう言ったのが、義父となる浩三。人の良さそうな笑顔を浮かべていた。
「これが俺の義妹?超可愛いじゃねーか。俺のタイプだわ。」
そう言い放ったのは、引き締まった筋肉を持つ、義兄の竜司。その言葉に美也は顔を赤らめたが、祐樹は一抹の不安を感じた。
「そういうこと言うな、びびっちゃうじゃないか。美也ちゃん、ごめんね。こいつ、ちょっと口が悪いんだ。」
そう言って竜司をたしなめたのは、有名国立大学の現役大学生である、もう一人の義兄、蓮也。端正な顔立ちと知的な雰囲気を持ち、美也だけでなく、祐樹の母も彼に好意的な視線を送っていた。この3人が、祐樹の新しい家族となった。義兄である2人は、確かにイケメンであり、美也が頬を赤くしていたのも無理はない。だが、その裏に潜む何かを、祐樹はまだ知る由もなかった。
竜司はまだ高校3年生だったため、祐樹や美也、可奈が通う中高一貫校に転入してきた。転校初日から、竜司は女子生徒たちの注目の的となった。
「えー?ちょーかっこいいんだけど。やばい、一目惚れしちゃったかも。」
「イケメンすぎでしょ。声かけてみよっかな?祐樹くんの義兄さんなんだって。」
そんな声が、主に女子生徒たちから聞こえてくる。竜司はそんな女子たちの中心で、得意げに話していた。祐樹は、可奈がいるから大丈夫だと自分に言い聞かせた。可奈もちょくちょく竜司と話しているようだったが、祐樹は可奈が自分を裏切るはずがないと、固く信じていた。二人の間には、長年の絆と、確かな愛情があるはずだと。
だが、祐樹が知らない間に、この幸せな日常は音を立てて崩壊し始めていた。祐樹の母が再婚してから3週間ほどが経った頃から、少しずつ、周囲の人々の様子がおかしくなりつつあった。まず、祐樹の母は、以前ほど家事を行うことが少なくなり、代わりに祐樹が台所に立つことが増えた。美也も最近は祐樹にまとわりつくことがなくなり、代わりに義兄の竜司や蓮也と楽しそうに話している姿をよく見かけるようになった。そして、可奈も、祐樹と一緒に学校に行くことが減り、話す回数もだんだんと少なくなっていった。祐樹は、最初は少し疑問に感じたものの、新しい家族にみんなが慣れれば、また元に戻るだろうと楽観的に考えていた。その危機管理のなさこそが、この最悪な事態を招く原因の一つとなっただろう。彼の心の奥底には、家族や可奈への絶対的な信頼があったのだ。
事態が急速に進んだのは、祐樹の母が再婚してから2ヶ月ほどが経った、ある休日のことだった。祐樹は部活動を終え、いつもより早く家に帰ることができた。思ったより早く帰れたなと、少し浮かれた気持ちで玄関のドアを開け、家の中に入った。すると、奥の方から、まるで猿の鳴き声のような、奇妙な音が聞こえてきた。祐樹は不思議に思った。自分の家は猿どころか犬すら飼っていない。一体この鳴き声は何なのだろうか。疑問とわずかな不安を抱きながら、祐樹は音のする方へと向かっていった。音が大きくなるにつれて、その鳴き声のようなものの正体が、徐々に明らかになっていく。それは、人の喘ぎ声だった。それも、聞き覚えのある声。まさか、そんなはずがない。祐樹の脳裏に嫌な予感がよぎる。そんなはずはない、と自分に言い聞かせながら、恐る恐るリビングの扉をゆっくりと開けた。そして、祐樹の目の前に広がっていたのは、信じがたい光景だった。
アヘ顔で騎乗位の体位で自ら腰を振っている可奈と、その様子をニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら見つめる竜司がいた。可奈の乱れた髪、汗ばんだ肌、そして恍惚とした表情。竜司の嘲るような視線。そのすべてが、祐樹の心を深く抉った。
「...は?」
祐樹は、あまりにも現実離れした光景に、呆然と立ち尽くしていた。頭の中が真っ白になり、何も考えられない。
「...お、いつもより帰るの早いじゃねーか祐樹。どーした?そんな茫然として。もしかして、見ちゃった?」
祐樹に気づいた竜司は、余裕綽々とした態度で、挑発的な笑みを浮かべた。その表情は、祐樹の心をさらに深く突き刺す。
「...いや、..お前ら、な、何やってるんだよ?可奈、お前、なんで...」
祐樹は、震えが止まらない声で、かろうじて言葉を絞り出した。可奈は、祐樹の視線に気づくと、一瞬怯んだように見えたが、すぐに竜司の腕にしがみつき、挑発的な視線を祐樹に向けた。
「何やってるかだって?見てわかんねぇのかよ?性行為だよ、せ、い、こ、う、い。中学で習ったんじゃないか〜なあ、可奈。」
竜司は可奈の髪を撫でながら、嘲笑うように言った。可奈は、その言葉に甘えるように、さらに腰を揺らす。
「うん...な、習ったけど...こんな気持ちいものなんて聞いてない〜。祐樹なんかとじゃ、こんなに気持ちよくなかったもん。もっと、もっと無茶苦茶にして〜、竜司くん。」
可奈は竜司にねだると、竜司は祐樹の目の前で、さらに強く腰を振った。その光景は、祐樹の心に深い絶望を刻み込んだ。
「アンッアンッアンッ イク、幸せすぎてイっちゃうよ〜。祐樹、見てる?あんたの可奈は、こんなに気持ちよくなってるんだよ?」
可奈は竜司とベロチューしながらも、祐樹を挑発するように腰を振っていた。祐樹の視界は、絶望と怒りで歪んでいく。
「イクぞ可奈、中に出すぞ!」
「イイよー私も、もう、イクッ イクイクイクー!もっと奥まで、お願い!」
そう言って二人は腰を振るのをやめ、しばらくの間、繋がったまま熱烈なキスを交わしていた。数分後、竜司が可奈からゆっくりと抜くと、可奈の股間からは白い液体がドロドロと溢れ出した。その生々しい光景は、祐樹の心に拭い去れない傷跡を残した。
その様子を、祐樹はただ無言で立ち尽くして見ていた。顔は真っ青になり、体は小刻みに震えている。まるで、魂が抜けたかのように。
「...てな訳だ。祐樹。可奈は貰っていくぜ。お前にはもう用済みだろ?それに、父さんや蓮也ももうみんなとヤッてるからな。気づいてなかったのはお前だけだぜ、祐樹。おめでたい頭だな、お前は。」
竜司はそう言い残し、可奈の腰を抱き寄せ、そのままリビングを後にした。イカ臭い匂いが充満するリビングに、祐樹はたった一人、取り残された。彼の心は、深い絶望と、裏切られた痛みで満たされていた。
祐樹視点
あれから、俺の生活は一変した。いや、一変どころか、地獄へと突き落とされたと言っても過言ではない。
家族は、もはや俺の視線などまったく気にせず、堂々と行為に及んでいた。リビングのソファの上で、風呂場から聞こえる水音と共に、そして、俺の部屋でさえ。
特に俺の部屋でのことはすぐに匂いでわかった。あの甘ったるい、吐き気を催すような匂い。追及すると、母だと思っていたあの女が、冷たい目で俺を見下しながら、こんなことを言った。
「祐樹、あなたはまだわかってないみたいね。この家は私と浩三さんのものなの。あなたの部屋も、私たちの領域なのよ。気に入らないなら、出ていけばいいじゃない。」
そう言って、彼女は嘲笑うかのように立ち去った。何言ってんだこいつって、俺も思ったよ。だけど、どうにもならなかった。俺には、どこにも行く場所がなかった。そして、最近になって、ようやくわかってきたことがある。
この家族――いや、家族のように見せかけた猿たちの正体だ。
こいつらは自分たちをこの世界の勝ち組だと信じて疑わない、醜悪な猿たちだ。毎日飽きもせずに腰を振り、快楽に溺れている。しかも、ペアを頻繁に変えては、まるでゲームでもするかのように楽しんでいる。幼馴染だと思っていた可奈と義父だと信じていた浩三が、一緒にいるのを何度も見たし、妹に似たあの女まで義父と絡んでいるのも目撃している。もはや、倫理も道徳も、この家には存在しない。
俺はどうしているかって?何度も誘われたさ、ニヤニヤしながら。あの汚らわしい行為に。全部断ったけどな。あの完璧だった幼馴染はもうこの世界にはいない。俺は、あんな連中と同じ類にはなりたくなかった。彼らの目には、俺が拒絶する姿が、さぞ滑稽に映っていたことだろう。
こいつらが週に一度、贅を尽くした「酒池肉林パーティー」を開いている。一日中、狂ったように行為を繰り返す。まるで人間のやることとは思えないようなことを、何事も当然のようにやってのける。その光景は、もはや芸術的なまでに醜悪で、正直、感動すら覚えた。人間って、あんなことができるんだな…いや、猿か。彼らは、人間としての尊厳を自ら捨て去った、ただの獣だ。
夜中の喘ぎ声がうるさすぎて、一度警察に相談したこともある。だが、結果は門前払いだった。「そんな漫画みたいな話、あるわけないだろ」と、まるで俺が頭のおかしい人間であるかのように扱われた。そんなの俺が言いたいわって言うのを、必死で我慢した俺を褒めてほしいくらいだ。撮影して証拠を持っていけばよかった?もちろんそれができれば楽なのだが、こいつらは知恵がある。俺のスマホには勝手に見守り機能が設定され、カメラもボイスメモも使えなくされているのだ。まるで、俺の行動をすべて監視しているかのように。
学校では、あいつらは完璧な優等生を装っている。俺と付き合っていたことは隠しているせいか、可奈と竜司はまるで公認カップルのように扱われている。誰もが羨む、理想のカップルとして。さらに、どこからか情報が漏れたのか、蓮也と美也が親しいのを知った奴らが、「禁断の恋」などと騒ぎ立てている。――禁断の恋どころか、禁断の行為を毎日やっているんだがな。俺があいつらのことを話しても、誰も信じないだろう。俺は陰キャではないし、クラスメイトともそれなりに遊んでいたが、今ではあいつらの金魚のフン扱いだ。要するに、嫉妬だ。あいつらの兄弟だからって理由だけで、俺はだんだんと孤立していった。まるで、伝染病患者のように。
以前には、自称あいつらのファンと名乗る連中に「お前は可奈と竜司のカップルの邪魔をするな!」と怒鳴られ、殴られたこともある。腹に思いっきり入れられたり、蹴られたりされた。その逆で、あいつらに嫉妬心から殴ってくる奴らもいた。俺は何もしていないのに。だからこそ、みんなはカースト上位のあいつらを信じるだろう。いじめられてる金魚の糞よりも。何より嫌なのは、あいつらと同じ血が俺に流れていることだ。この汚れた血が、俺の体の中を巡っていると思うと、吐き気がする。
家に帰れば四六時中、あいつらが絡み合い、学校に行けば優雅にスクールライフを謳歌するあいつら。一方の俺は、殴られ、陰口を叩かれ、陰湿ないじめに苦しんでいる。それでも先生たちは、あいつらの味方だ。彼らは、成績優秀で、品行方正な生徒を信じる。俺のような、問題児の言うことなど、聞く耳を持たない。
「クソが。あーふざけやがって。なんであの猿どもが認められて、俺は認められないで、ずっといじめられるんだよ!クソがクソがクソが!」
俺は叫びながら、自分の手の甲にシャーペンを何度も突き刺した。もう手は血だらけであり、激しい痛みが走る。だが、その痛みは、心の痛みと比べれば、取るに足らないものだった。自分が嫌になった。こんな無力な自分が。負け組に転落し、何もできない自分が。こんな俺に、あいつらを困らせることはできないのだろうか。学校では優等生を演じているあいつらに、一泡吹かせることはできないのだろうか。
――いや、一つだけ思いついた。あいつらが絶対に困ることが。
その考えが頭に浮かんだ瞬間、俺は自然と笑っていた。歪んだ、乾いた笑いだった。あいつらは、俺という劣等生を近くに置くことで、自分たちの優越感を満たしている。俺が、彼らの引き立て役として存在することで、彼らは輝けるのだ。だったら、
俺が――
消えればいい。
そうすれば、あいつらは間違いなく困る。彼らの完璧な世界に、俺という異物が存在しなくなる。それは、彼らにとって、想像以上の打撃となるだろう。俺はニヤリと嗤った。それは、絶望の淵から生まれた、復讐の笑みだった。
カンカンカンカンカンカン、と、けたたましい音を立てて、踏切が鳴っている。そこに、ぽつんと少年は立っていた。時刻は夜遅く、人通りもまばらな、近くに川が流れるこの場所で、高野祐樹は、自らの命を絶とうとしていた。
自殺の方法は単純。電車に轢かれて死ぬ。別に首を吊ったり、飛び降りたりしてもいいが、電車に轢かれた方が、より確実に死ねるだろう。それに、電車での自殺は、遺族に多額の賠償金がかかる。そして、電車での自殺は珍しいだろうから、マスコミも食いつくだろう。あいつらの優等生という仮面を剥がすには、これ以上の方法はない。そう思っていた。遠くから、電車のライトが祐樹を照らし始める。その光は、まるで彼を地獄へと誘うかのように、冷たく輝いていた。
(唯一の心残りがあるとするならば、あいつらの絶望した顔が見れないことだな。本当に残念だ。俺が死んだ後、どんな顔をするんだろうな。少しは後悔するだろうか。いや、しないだろうな。あの猿どもが。)
そう思いながら、祐樹は電車のライトを見つめた。そして、電車がすぐそこまで迫り、轟音と共に通り過ぎる直前に、祐樹は迷うことなく、その身を電車へと投げ出した。
ドンッという、肉と鉄がぶつかり合う鈍い衝撃音と共に、祐樹の意識は、深い闇へと沈んでいった。
最後に見た景色は、やはり、と言った方がいいのか、雨が降り始めたばかりの、鉛色の空だった.....はずだった。
しかし、祐樹の自殺には、いくつか誤算があった。まず、確かに電車に飛び込むことには成功したが、その衝撃で、彼の体は線路脇を流れる川へと投げ飛ばされた点。そして、祐樹はいま、冷たい川の中に沈んでいるはずなのに、致命傷となったはずの傷が、驚くべき速さで再生していっていること。まるで、時間が巻き戻るかのように、傷口が塞がり、骨が繋がり、肉が再生していく。そして、さらに奇妙なことに、祐樹が流されているところを、偶然にも見つけた男たちがいた。彼らは、意識のない祐樹を寝袋に入れ、どこかへと運び去っていった。このことにより、祐樹の人生は、より一層、狂気の淵へと深く沈んでいくことになる。彼の運命は、まだ終わっていなかったのだ。むしろ、本当の地獄は、ここから始まるのかもしれない。
人物紹介① 高野祐樹
年齢 17歳 (高校2年生)
誕生日 5月12日
身長 175センチ
部活 弓道部
好きな物 物
嫌いな物 ?
自分のことを一時期本気で物語の主人公だと思っていたマジで痛い子。でもフラグが立ちまくって無事 NTRれてもう自分が愛した家族はいないって悟って自殺した。 ざまぁ。
だけどこれもあれも全部彼の本質ではない。 NTRて絶望した時も、自殺しようとした時も、彼は心のどこかで喜んでた。 それがなぜか分かることは、果たしたあるのだろうか。




