プロローグ
男だけど処女作です。
アドバイスとか優しめに言ってくれると幸いです。
誤字脱字の指摘もお願いします。
ふと思い出したのは、誰かの言葉だった。
「忘れないで。愛する人と過ごす時間は、永遠には続かないんだ」と。
その言葉が正しいと気づいたときには――もう手遅れだった。
――不死となった少年は抗うために剣を握る――
「お兄ちゃーん、起きて〜。朝だよー。」
そんな可愛らしい声と共に、少年、高野祐樹は目を覚ます。
「なんだよ、美也。お兄ちゃんはまだ寝たいのに」
祐樹は腕を伸ばして布団をのけながら自分の妹、高野美也に向かって不満げな言葉を出した。
「だって、お母さんが祐樹を起こしにおいでって言ってたもん。」
そう言いながら美也はほっぺたをぷくっとさせたのを祐樹は微笑みながらベッドから起き上がり、下の階に降りていった。
「おはよう、祐樹。美也はちゃんと起こしてくれたのね。」
そう言いながら祐樹の母、高野明美だった。
「おはよう、母さん。変な夢を見たのもあるけど、おかげでまだ眠いや。」
そう言いあくびをすると、祐樹の母は うふふ、と笑い、
「ごめんなさいね。でも、天国のお父さんも、祐樹には規則正しく生活して欲しいって思っているに違いないわよ。」
そう言いながら祐樹の母は顔を暗くし、目を伏せた。祐樹の父ーー高野慎吾は、祐樹が、10歳位の時に交通事故で亡くなっている。そこから祐樹の母は、シングルマザーになり、祐樹たち兄妹の生活を支えたのだ。
「言っただろ。俺も高校生になったらアルバイトをして母さんを支えてやるって。」
「いいのよ別に。高校生は勉強してしっかり遊ぶのよ。家計の問題なんてまだ考えなくていいんだからね。」
祐樹の母は、そう言い微笑んだ。
朝食を終えた祐樹は、高校に行くために玄関を出た。
「おっはよ〜祐樹。今日もいい天気だね。」
すると、祐樹の目の前には、ショートボブの可愛らしい女の子が立っていた。
「おはよう、可奈。悪いな。ちょっと待たせたか?」
そういい祐樹は、幼馴染であり、恋人でもある水野可奈に喋りかけた。
「いいのいいの。私もついさっき外に出たところだし。それより、早く学校に行こ。」
そういい2人は、横に並んで一緒に学校にいろんな話をしながら向かった。これが祐樹の日常だった。
祐樹の妹・美也はポニーテールがよく似合う中学二年生。
母の明美は40代だが、若々しい笑顔を絶やさなかった。
そして幼馴染で恋人の可奈は、学校でも人気のショートボブの女の子だ。
事故で父を失ったけれど、祐樹の生活は、まるで小説の主人公のように穏やかだった――。
あの日までは。
ある日、祐樹の母は、祐樹たち兄妹に、再婚すると伝えた。祐樹と美也は、母が再婚することを祝福した。さすがに今のままシングルマザーを続けていたら、祐樹の母が倒れてしまう、そう思っていたからだった。新しい義兄が2人できると聞き、仲良くしたいなと祐樹は思っていた。だが、それが不幸の始まりだった。もし祐樹が、お母さんの再婚を反対していたら、こんな結末にはならなかっただろう。
そんなこんなで新しく祐喜には家族ができた。
「それじゃあ、これからよろしく頼むよ。明美さん。」
そう言ったのが、ややぽっちゃりしていたが、大手会社の社員である義父、浩三。祐樹の母とは偶然出会ったらしい。
「これが俺の義妹?超可愛いじゃねーか。」
そう言ったのが、引き締まった筋肉を持っている男性、竜司。
「そういうこと言うな、びびっちゃうじゃないか。」
そういったのが、有名国立大学の現役大学生である、蓮也。
この3人が、祐樹の新しい家族になった。義兄である2人は、イケメンであり、実際に美也が、頬を赤くしていたが、それに気づいていたのは義兄である、2人だけだった。
竜司はまだ高校3年生だったので、祐樹や、美也、可奈が通っている中高一貫校に通うことになった。
「えー?ちょーかっこいいんだけど。」
「イケメンすぎでしょ。 声かけてみよっかな?」
そんな声が主に女子から聞こえた。 竜司はそんな女子たちの中心で話していた。 だが祐樹には可奈がいる。可奈もちょくちょく竜司と喋ってはいるが、祐樹は可奈が自分を裏切るはずがないと思っていた。
だが、祐樹が知らない間に、この幸せな日常が崩れようとしていた。祐樹の母が再婚をして3週間位が経った時、少しずつだが、周囲のみんなの様子がおかしくなりつつあった。祐樹の母は、家事を行うことが少なくなり、祐樹がよくすることとなった。美也も最近は祐樹にひっつくことはなくなり、代わりに、義兄2人とよく一緒にいることが多くなった。可奈も、祐樹と一緒に学校に行くことが少なくなり、話す回数もだんだんと少なくなっていった。祐樹は少し疑問に感じたが、新しい家族にみんながなれれば、また元に戻るだろうと思っていた。 そういう危機管理のなさも、この最悪な事態を招く原因の1つとなっただろう。
事態が急速に進んだのは祐樹の母が再婚してから2ヶ月位が経った時だった。祐樹は休日の部活を終え、家に帰ってきた。思ったより早く帰れたなと、祐樹は若干嬉しく思いながら、ドアを開けて家の中に入った。すると、猿の鳴き声のようなものが聞こえた。祐樹は不思議に思った。祐樹の家は猿どころか犬すらも飼っていない。だったら、この鳴き声は一体何なんだろうかと祐樹は疑問に思いながら、鳴き声のもとに向かっていった。鳴き声の元に近づいていくに連れて、鳴き声のようなものの正体がわかった。それは人の喘ぎ声だった。それも聞いたことのある人のまさか、と祐樹は思った。 まさか、そんなはずがない と。そう思いながら、恐る恐るリビングの扉をゆっくり開けていったすると、祐樹の目の前には、
アヘ顔で騎乗位の体位で自ら腰を振っている可奈と、ニヤニヤしながらそんな可奈を見ている竜司がいた。
「...は?」
祐樹はそんな光景をあっけからん様子で見つめていた。
「...お、いつもより帰るの早いじゃねーか祐樹。どーした?そんな茫然として。」
そう言いながら、祐樹を見つけた竜司は、余裕の表情をしていた。
「...いや、..お前ら、な、何やってるんだよ?」
祐樹は、震えた声で2人に尋ねた。
「何やってるかだって見てわかんねぇのかよ?性行為だよ、せ、い、こ、う、い。中学で習ったんじゃないか〜なあ、可奈。」
「うん...な、習ったけど...こんな気持ちいものなんて聞いてない〜。もっと、もっと無茶苦茶にして〜。」
そう可奈は竜司にねだると、竜司は思いっきり腰を振った。
「アンッアンッアンッ イク、幸せすぎてイっちゃうよ〜」
そう言いながら可奈は竜司とベロチューしながらも腰を振っていた。
「イクぞ可奈、中に出すぞ!」
「イイよー私も、もう、イクッ イクイクイクー!」
そう言って2人は腰を振るのをやめ、しばらくの間繋がったままベロチューをしていたが、数分経ったところでようやく抜いた。 可奈から白い液体がドロドロと溢れていた。
その様子をずっと無言で祐樹は見ていた。その顔は真っ青になっており、体も震えていた。
「..てな訳だ。祐樹。可奈は貰っていくぜ。 それに、父さんや蓮也ももうみんなとヤッてるからな。気づいてなかったのはお前だけだぜ、祐樹。」
じゃあ片付けよろしくな、と竜司は言い残し、可奈と一緒にどこかに行った。祐樹は、イカ臭いリビングに1人残されていた。
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祐樹視点
あれから、俺の生活は一変した。
家族は俺の視線などまったく気にせずに、堂々と行為に及んでいた。
リビングでも、風呂の中でも、そして俺の部屋でさえ。
特に俺の部屋でのことはすぐに匂いでわかった。追及すると、母だと思っていたあいつがこんなことを言った。
「祐樹、あなたはまだわかってないみたいね。この家は私と浩三さんのものなの。あなたの部屋も、私たちの領域なのよ。」
そう言って立ち去った。 何言ってんだこいつって俺も思ったよ。 だけど、どうにもならなかった。
そして、最近になって、ようやくわかってきたことがある。
この家族――いや、家族のように見せかけた猿たちの正体だ。
こいつらは自分たちを勝ち組だと信じて疑わない猿たちで、毎日飽きずに腰を振っている。しかも、ペアを頻繁に変えては。
幼馴染だと思っていたやつと義父だと信じていたやつが、一緒にいるのを何度も見たし、妹に似たやつまで義父と絡んでいるのも目撃している。
俺はどうしているかって?何度も誘われたさ、ニヤニヤしながら。全部断ったけどな。
あの完璧だった幼馴染はもうこの世界にいないし、あんな連中と同じ類にはなりたくなかった。
こいつらが週に一度、贅を尽くした「酒池肉林パーティー」を開いている。
一日中、狂ったように行為を繰り返す。まるで人間のやることとは思えないようなことを、何事も当然のようにやってのける。
そんな光景を毎回見せつけられて、正直、感動すら覚えた。
人間って、あんなことができるんだな…いや、猿か。
夜中の喘ぎ声がうるさすぎて、一度警察に相談したこともある。
だが門前払い。
「そんな漫画みたいな話、あるわけないだろ」って言われた。
そんなの俺が言いたいわって言うのを我慢した俺を褒めてほしいくらいだ。
撮影して証拠を持っていけばよかった?もちろんそれができれば楽なのだが、こいつらは知恵がある。
俺のスマホには勝手に見守り機能が設定され、カメラもボイスメモも使えなくされているのだ。
学校ではあいつらは優等生を装っている。
俺と付き合っていたことは隠しているせいか、可奈と竜司はまるで公認カップルのように扱われている。
さらに、どこからか情報が漏れ、蓮也と美也が親しいのを知った奴らが、「禁断の恋」などと騒ぎ立てている。
――禁断の恋どころか禁断の行為をやっているんだがな。
俺があいつらのことを話しても誰も信じないだろう。
俺は陰キャではないし、クラスメイトともそれなりに遊んでいたが、今ではあいつらの金魚のフン扱いだ。
要するに、嫉妬だ。
あいつらの兄弟だからって理由だけで俺はだんだんと孤立していった。
以前には、自称あいつらのファンと名乗る連中に「お前は可奈と竜司のカップルの邪魔をするな!」と怒鳴られ、殴られたこともある。 腹に思いっきり入れられたり、蹴られたりされた。 その逆で、嫉妬心から殴ってくる奴らもいた。
俺は何もしていないのに。
だからこそ、みんなはカースト上位のあいつらを信じるだろう。 いじめられてる金魚の糞よりも。
何より嫌なのは、あいつらと同じ血が俺に流れていることだ。
家に帰れば四六時中、あいつらが絡み合い、学校に行けば優雅にスクールライフを謳歌するあいつら。
一方の俺は、殴られ、陰口を叩かれ、陰湿ないじめに苦しんでいる。
それでも先生たちはあいつらの味方だ。
「クソが。あーふざけやがって。なんであの猿どもが認められて俺は認められないで、ずっといじめられるんだよ!クソがクソがクソが!」
こう叫びながら俺は俺の手の甲にシャーペンを刺しまくった。もう手は血だらけであり、すごく痛いが、それでも刺し続けた。 自分が嫌になった。 こんな自分が。 負け組に転落した自分が。
そんな俺にできることはあるのだろうか。
あいつらを困らせることはできないだろうか。
学校では優等生を演じているあいつらに。
――いや、一つだけ思いついた。
あいつらが絶対に困ることが。
その考えが頭に浮かんだ瞬間、俺は自然と笑っていた。
あいつらは、俺という劣等生を近くに置くことで優越感を満たしている。
だったら、
俺が――
消えればいい。
そうすれば、あいつらは間違いなく困る。
俺はニヤリと嗤った。
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カンカンカンカンカンカン、と、踏切がなっている。そこにぽつんと少年は立っていた。時刻は夜遅く、人通りの少なく、近くに川が流れているこの場所で、祐樹は自殺しようとしていた。
自殺の方法は単純。電車に轢かれてだ。 別に首を吊ったりしてもいいが、電車に轢かれた方が死にやすいだろう。それに、電車での自殺は遺族に賠償金がかかる。それに、電車での自殺は珍しいだろうから、マスコミは食いつくだろう。そう思っていた。電車のライトが祐樹を照らす。
(唯一の心残りがあるとするならば、あいつらの絶望した顔が見れないことだな。 本当に残念だ。)
そう思いながら祐樹は電車のライトを見つめた。そして、電車が通り過ぎる直前に、祐樹は電車に飛び込んだ。
ドンッという衝撃音と共に、祐樹の意識は沈んでいった。
最後に見た景色は、やっぱりと言ったいいのかわからないが、雨が降っていた空だった.....はずだった。
しかし祐樹の自殺にはいくつか誤算があった。まず、確かに電車に飛び込みむことには成功したが、その衝撃で、川に投げ飛ばされた点。そして、祐樹はいま川に沈んでいるが、致命傷となったはずの傷が再生していってること。 そして、祐樹が流れているところを見つけた男達が、祐樹を寝袋に入れてどこかに運んでったこと。このことにより、祐樹の人生は、より狂っていくことになる。
人物紹介① 高野祐樹
年齢 17歳 (高校2年生)
誕生日 5月12日
身長 175センチ
部活 弓道部
好きなもの 完璧なもの 父 自分を盲目的に見てくれる子。
嫌いなもの 家族(父以外) 幼馴染 自分
自分のことを一時期本気で物語の主人公だと思っていたマジで痛い子。でもフラグが立ちまくって無事 NTRれてもう自分が愛した家族はいないって悟って自殺した。 ざまぁ。多分難聴系ではないけど鈍感系。ずっと先の話になるけど女の子を男の子だと思って接しちゃう。タイトルとは違って部活は弓道部。なんなら地味にうまい。ちなみに若干この時精神疾患であるカプグラ症候群を患ってる可能性がある。 知らんけど。若干アホっ子っぽいところもあるらしい。 今後に期待。