青春サツ×論 剋宮夜王編 第2章
2年巣組青春サツ×論 剋宮夜王編 第2章
「ヒメリは俺の嫁」などと供述している
剋宮夜王容疑者に対しクラスメイト達は・・・
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「先生、大変です!!!
こ、こここ、剋宮が!!!
さ、佐藤さんのこと、
「俺の嫁」
だとか言って、部屋に置いてましたぁぁぁ!!!」
「な、何…は、はぁぁぁ!?」
そこに偶々
「いや、あれはただの
「寝起きびっくり」(恐らく「寝起きドッキリ」)
というやつでな...」
「・・・すみませんでした!」
と、大胆にも、寝ている革田教師の顔を
油性ペンでチャーミングにしてしまった2人組が絞られており、
神宮司少年の話を聞いてしまった。
そこからはもう貴方もお待ちかねの、
「みんなで輪になって聞きまくろう!情報を吐かせよう!」
のコーナーのお時間だ。
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「神宮司!神宮司神宮司!嘘だと言ってくれ!
俺は剋宮に先を越されたのか?!
リア充撲滅委員会の努力は虚しく終わったのか?!」
と揺さぶりながら、剋宮少年に嫁が出来たことにショックを受けている
リア充撲滅委員会(非公認)副委員長・笑山人間。
「・・・神宮司、それは本当に剋宮が言ったのか...?
鉄威ではなく...?」
と意外な人物が
「俺の嫁」
発言をしたことに驚きを隠せない御孤少女。
(鉄威少年は
「イタリア男性は女性がいたらナンパしなくては
失礼にあたるという価値観がある」
との噂に対して
「逆に失礼ではないのかい?!」
と言い放ち、寮では
「・・・これは覗かないほうが失礼に当たるよ。」
と、同性からもドン引きされながらも何度も女子風呂を覗こうとし、
その度刀姫少女に断罪されているという数々の伝説の持ち主である。)
青春サツ×論 剋宮夜王編 第2章
「これより、学級裁判を始めるのじゃ。
被告人は剋宮夜王。
裁判官はわらわ、弁護人は神宮司勇人、
原告は笑山人間なのじゃ。
それでは原告、被告人の罪状を読み上げるのじゃ。」
「裁判官」というより「お奉行様」だが、
気にしてはいけないのが暗黙の了解だ。
「ええ、読み上げます、読み上げますとも!
被告人、剋宮夜王は!
本日編入してきた佐藤ヒメリさんに対して
「俺の嫁」
などと横暴ここに極まれりの発言をした挙句!
途方に暮れた佐藤さんを男子寮である自分の部屋に連れ込みました!」
「革田教師、これは事実なのか?」
「ん?あ、まぁ、剋宮も佐藤もその事実は認めているな。」
この茶番(それを言ったら御孤に怒られる)に
わざわざ付き合ってあげている、生徒の主体性を大切にする
優しい担任・革田 はぐむ教師。
「容疑」ではなく「確定」。
「真偽」ではなく「どのような処罰を与えるべきか」。
それが2年す組学級裁判である。
※鉄威右神はもはや常習犯すぎて
学級裁判すら開かれずに処罰されるようになった。
「うむ、原告はどのような被告人に対してどのような処罰を望むのか、
申し立ててみよ。」
「・・・極刑です!
1年永久トイレ掃除当番の刑など、
出来るだけ汚くなりそうな、汚れそうなやつでお願いします!」
「イケメンならば汚してしまえ」
理論。
「うむ、それでは弁護人、弁明を申し立ててみよ。」
「こんな馬鹿馬鹿しいこと、付き合わなくても良いぞ。」
という剋宮少年を無視して茶番に付き合う、
人情に厚い神宮司少年。
「いや、極刑は流石にやり過ぎでは...?
剋宮ですよ?
鉄威ではなくて。
あの剋宮ですよ?
何か事情があったと思われます。」
「まぁ、確かに一理あるな。」
「意外と紳士」
「あの「貴様」は軽蔑の二人称ではなく、
昔の「貴方様」のニュアンスで使ってそう。」
「割と常識はあるほう」
「剋宮警報機の時に介抱してあげたら、
もはや引くくらい凄い「手厚いお礼」をしてもらえたんだけど...」
と言われる剋宮少年の人望は厚いようだ。
「ちょっと!
なんでそこに僕が出てくるのさ!」
「傍聴席の者は静かにしておれ。」
スタッ
スタスタスタ
ゴギッ!
「グワッ!!!な、何するんだい、左紅!」
「日頃の行い。
そろそろ悔い改めなさい。」
いつ見ても刀姫少女の「粛清」は大変手際が良い。
鉄威少年の腕が見事に外れている。
「裁判官、身内が失礼しました。
ちょっとお灸を据えてきますので、退席してもよろしいでしょうか。」
「え!ちょっと!もう既に腕!外されているよ!
もう良いんじゃないかな?!」
「うむ、構わぬぞ。」
「裁判官?!」
「ありがとうございます。
ほら、右神、行くよ。」
「ちょっと?!何故か勝手に話が進んでいるんだけど?ねえ?!」
「ぐわーーー!!!」
と言いながら刀姫少女に引きずられていく鉄威少年。
「よし、邪魔者も去ったところだし、そろそろ被告人に尋問するかの。
被告人、弁明を申してみよ。」
「・・・笑山、先程貴様は、俺が姫璃のことを
「「俺の嫁」呼ばわりした」
と言っていたな。」
「あぁそうだ!というか、事実だろ?!」
「概ね合っているが、貴様の申す「俺の罪状」には、
1つだけ事実との相違点が存在する。」
「はぁ?!事実だろ?!全て紛れもない事実だろ!
逆に何が違うんだよ!」
「「俺の嫁」呼ばわりではなく、事実、「俺の嫁」だ。」
「・・・裁判官!こいつ、もう駄目です!反省の色がありません!
処しましょう!今すぐ極刑に処してしまいましょう!
その方が本人のためです!これ以上法廷を続けようものならこいつ、
恥の上塗りを繰り返しかねません!」
「・・・ここまで来ると、もはや剋宮じゃなくてその
「ヒメリちゃん」が怪しい気が...」
「おや、いつの間やら恋果、其方も来ておったのじゃな。
何時退院したんじゃ?連絡してくれれば迎えをやったのに。」
今日の放課後、何なら学級裁判の最中に寮に戻っていた、
「佐藤ヒメリに病院送りにされた人」その1の、
江口 恋果少女である。
「いや、私は軽いかすり傷程度だったから、迎えに来てもらうのも悪いし、
「どうせならサプライズにしようかな?」
って思ってさ。先生たちにだけ伝えて帰ってきたんだ。
あ、流石に夜道に1人は嫌だったから、守国先生と火豹に来てもらったよ。」
今ご覧いただいた通り、江口少女は
「皆に気を使わせないように冗談を言う」
という芸当ができる、す組には数少ない常識人の1人だ。
「それに...火豹と2人っきりになれたしね!」
ほぼ全員(一部の、というか
「リア充撲滅委員会」を自称する1人を覗く)から
生暖かい目を向けられる火豹少年。
※守国役人は気を使わせて
ちょっと10m程後方から2人を見守らなくてはいけない
「ちょっと急な用事」
を入れたらしい。
「ち、ちげぇよ!
俺達はそういう関係じゃねぇよ!」
耳が赤いぞ、火豹少年。
※意外と平均年齢が高めの、
妖・精霊など人外の多いす組は、
非・常識人は多いが、流石に男女の恋仲に首を突っ込む
無粋な輩はいなかったらしい。
「おやおや」
「まあまあ」
「・・・畜生!リア充爆発四散しろ!」
と思いながら見ている。
「・・・とにかく!
寮の中に誰もいないから
「ひょっとして学級裁判か?」
と思ってここに来て正解だったぜ。
・・・剋宮、お前も遂にそこに上がる日が来るなんてな。」
「確かに。なんか感動するね。」
「おい貴様らやめろ。
俺が下手人になったからって感動するな。
性格が悪いぞ。」
「・・・「ヒメリが剋宮に何かした」という説だが、それは有り得ん。
・・・ヒメリはあれで人間ならしい...」
「え、嘘?!あれで?!アレは
純粋な身体能力だったとでも?!」
佐藤少女の襲撃はよほどの物だったらしい。
「・・・でも、人間でも魔法とか使うやつはいるわよ?」
「確かにフィリピーナの申す通りじゃ。
わらわはその可能性も考慮せねばならぬ。
・・・ちょっとヒメリのアレからは想像できぬが...」
「うん、ちょっとアレは可哀想になってきたわよね。」
「飯、ちゃんと沢山食ってほしいよな...
雑草じゃなくて、ちゃんとした飯を。」
「え?!ちょ、ちょっと話に置いてかれてるんだけど!」
「・・・ヒメリ、昼休みに校庭にいたんじゃ。
何しておるのか気になって話しかけたんじゃ...
タンポポを食っておったのじゃ...」
「・・・タンポポ?」
「うむ、そうじゃ。」
「あの黄色い花...?」
「うむ。それも生でむしゃむしゃ。」
「俺が見たときは血でノートとってたぜ...」
「・・・私のおやつの食パンの耳、
欲しそうにしてたからあげたら
「高級品だ!」
って。」
「・・・Oh.」
「・・・まぁ、だからと言って出会ったばかりの者の性格を
行動のみを鵜呑みにして判断すべきではない。
なので今回は専門家の先生に電話でお越しいただいているのじゃ。」
「え?誰?!」
「既に電話は繋がっているのj」
と言う御孤少女の発言を遮って、スマートフォンのスピーカーから
『誰が某青狸の秘密道具ですって!?』
と、登場早々珍発言をなさっているのは、専門家の先生、
こと2年す組生徒・妖の視異。
皆々様、初めまして、またはこんにちは。
⻆谷春那です。
新キャラが、多い...
初出設定が、多い...
剋宮君の「俺の嫁」発言が止まない...
皆々様、頑張りましょう。
次回もお楽しみに!