青春サツ×論 剋宮夜王編 第23章
青春サツ×論
剋宮夜王編
第23章
「・・・ここは?」
・・・何だ、ここ。
貴族の御殿か…?
「頭が高いぞ。」
「?!」
鬼…!
「お、お前、誰だよ。」
「『誰』とは、心外だな。
お前、ずっと俺の横で、呪いの言葉を吐き続けていただろうに。」
「は…?」
「やはり、覚えていないか。
恐ろしいものだな、女の怨念とは。」
「女…?
・・・っ!」
「俺は、あの女を、殺そうと思う。」
「・・・やっと、あいつも死ぬのか?」
「そうだ。お前は、どうだ。」
「どうだって…?」
目の前の鬼は、何も喋らないでこっちを見ている。
さっきまではこの鬼に怯えていたが、今は鬼なんてどうでも良い。
そう思えてしまう程の強さの感情が、グツグツと湧き出て来る。
沸いた水のように、ボコボコと。
「俺が、あの女を殺されたくないと思っていると…?
殺してくれ!!
苦しメろ!!
あンな女、地獄に堕ちテシまエ!!!」
「分かった。
良いんだな、殺して。」
「何デ、俺に聞ク?」
「お前、悪霊に成り果てている自覚はあるか?
今も尚、あの女を祟っている事を、自覚しているか?」
「・・・は、はっは。
冗談だろ…?」
目の前の鬼の指は、俺を指す。
何の事かは分からなかったが、ふと目に入った自分の手で、理解した。
俺の手は、人間のそれでは無かった。
骨だけなら、まだ見ていられる。
もっと、ドロドロした。
腐りかけの死体のような。
誰かが言っていた。
「悪霊は人間の姿をしていない。」と。
思わず鏡を見たくなった。
だが、ここには鏡はなさそうだ。
それが、良かったのかもしれない。
その誰かは、こうも言っていた。
「悪霊は、成仏できない。」と。
「成仏できない霊は、生前の記憶や自我が徐々に薄れる。
最終的には、無差別的な怨霊になって、他の霊魂と統合され。
最終的に、怨霊退治が関の山だ。」と。
「死後も、俺はあの女に苦しめられるのか?」
「冗談ではない。
しかも、お前の祟りを転嫁して、攻撃している。」
「・・・ハ?」
「どうだ。お前は。
あの女―鬼女に、一矢報いたいとは思わないか。」
「・・・コロシテやル。
絶対、ジ獄に。」
「俺は、転嫁されたお前の祟りを、元の形―つまり、あの鬼女の下に戻そうと思う。
そうすれば、お前の力であの鬼女にトドメを刺せるだろう。
どうだ?」
「俺ノタたリで、アイツはシぬのか?」
「あぁ、そうだ。」
「さイコうな気分だなァ。」




