青春サツ×論 剋宮夜王編 閑話零
青春サツ×論
剋宮夜王編
閑話零
「・・・おや、珍しいわ。
実に珍しいわ。
お前が再び此処に来るなんて。
何か困りごとでもあったに違いないわね。
・・・実に面白いわ。」
「五月蝿い。
早く繋げ。」
「あら?良いのかしら?
そんなことしたら、いよいよお前、殺されるんじゃなくて?」
「緊急事態だ。
見ていたなら、分かるだろう?
手段を選ぶ余裕なんて、我々には既に無い。」
「あら?少なくとも私はまだ、
此れに踏み切るには時期尚早だと、思っているのだけれども?」
「・・・説明を求む。」
「あら、簡単な事よ。
『我々がただ、呑気に高みの見物をしていただけだった』と、
まさか本気で思っているのかしら?」
「思ってはいない。
だから君に頼みに来ているんだ。」
「話が早くて助かるわ。
流石、我々の【首魁】。」
そう言って少女は、話し相手の少女の肩に手を置き、こう言った。
否、正確には囁いた。
もし貴方が男だったら、この囁いている少女(便宜上これからは「少女A」としよう)を、
異性として意識せざるを得ないだろう。
魅力的な少女が、囁いているのだ。
貴方の世界の文化だと、「ASMR」かと、勘違いするのではないだろうか。
「まぁ、冷静におなりなさいな。
・・・果たして守国役人が、生徒達を置いて迎えに行くかしら?」
「・・・どういう事だろう。」
少女Aではない方の少女(便宜上「少女B」としよう)は、
少女Aを振り払わず、話を続ける。
「・・・いくら退院したての江口と火豹が夜道を帰るとは言え、
何の代理も立てずに、守国役人は二人の迎えに付き合うような男かしら?」
「守国役人の性格上、有り得ないな。」
「でしょう?」
※もし貴方が男性なら、少女Aのこの笑顔と、先程までの真剣な顔でイチコロだろう。
「・・・私、見てて思ったのよね。
『今日は朝から、居ないな。』
って。」
敢えて主語は言わない。
言わなくても、少女Bには伝わるからだ。
伝わっているからだ。
「・・・?!」
「お分かりかしら?」
「・・・つまり、姿は見ていないが。」
「えぇ。確実に、少なくとも敷地内には、いるでしょうね。」
「・・・助かった。」
「礼なら良いわ。」
そう言って、少女Bが帰ってから、少女Aはこう呟くのだった。
「・・・これからも、楽しみにしているわよ、首魁。」




