青春サツ×論 剋宮夜王編 第11章
青春サツ×論
剋宮夜王編
第11章
「初めまして佐藤ヒメリさん。
本日はお越しいただいて有難う。
今日は貴女に、とても良いビジネスのお話を持ち掛けに来たの。
・・・あら?
何か邪魔な小虫がついてきているわね。
ヒメリさん、その虫は貴女のお知り合い?」
「・・・こちらは夜王様。
俺が2番目に大切にしなくてはならない人…
俺のことを正室と呼んでいる方です。」
佐藤少女は、恐らく目の前の女のモノと思われる妖術により、
剋宮少年と怪しい空間に転移させられてしまった。
とても怪しげな服装をした女だった。
「悪趣味」とでも言うのだろうか?
ギラギラした、スパンコールの真っ赤なドレスに、
五センチは身長を盛れそうな、同じく真っ赤なハイヒール。
黒い髪にはウェーブが掛けられている。
真っ赤な口紅を塗った口に、赤系統のアイシャドウを塗り、
アイラインを引っ張った、化粧製の濃い顔。
さらにその真っ赤なスパンコールのドレスに合わせたかの如く、
真っ赤に塗られたしゃれこうべを、大事そうに抱えている。
全身真っ赤で、目が痛くなりそうな恰好だ。
ドレスの、金色に光る留め具は、よくよく見ると骨だという事が分かる。
「あら、貴女のことを正室と呼んでいるだけなの?
それなら赤の他人じゃない?
それなら、私が処分しても構わないわよね?」
そう言って、しゃれこうべを片手で抱えたまま、
赤いドレスに似合わない、腰の脇差に女は手をかける。
「・・・駄目です。
俺が許しません。
処分も振るのも受け入れるのも、俺の特権です。
部外者は口出し無用でお願いしたく存じ上げます。」
そう言って、気絶したままの剋宮少年を庇うように立ち塞がる佐藤少女。
「あら、酷いわ、ヒメリさん。
『部外者』呼ばわりなんて。
私は、貴女に素晴らしいビジネスを提案しに来た、
言わば貴女の『同僚』『先輩』『上司』になるかもしれない人物なのよ?」
「関係ありません。
まず、乗る気はありませんから。」
「あら、酷いわ。
話だけでも、聞きなさいよ。
とっても有益な話だと思うわ?」
「・・・関係ありません。」
「貴女、お金が無いんでしょう?
高待遇を約束するわ。」
「結構です。
俺には今、すべき事があって、この学校に留まっているのです。」
「あら。つれないわ。
・・・でも、どうしても私達は、貴女が欲しいの。
・・・貴女が断っても、私達は貴女がどうしても欲しいから、
無理矢理にでも連れて帰るけど、どうするの?
どうせ連れ帰るなら、本人の同意の上連れ帰った方が、手間も省けて助かるんだけど?」
「連れ帰れるのなら、連れ帰って見せろ。」
淡々とした口調で、挑発をする佐藤少女。
「・・・言ってくれるじゃない。
・・・私が何処の誰か、知らないからそんな口が叩けるのね。
・・・良いわ。
叩き潰す前に、教えてあげる。
私は、赤骨。
【骨檻女郎】の赤骨。」
「・・・それが何だと言う?」
「・・・無知って怖いわね。」
「無知なのは貴女です。
ただ骨好きの変態悪鬼が、何かほざくな。
見苦しいです。」
「・・・ヒメリさん。
私の仕事は、貴女を連れ帰る事。
そう、連れ帰りさえすれば、問題は無いのよ。」
「いたぶって見せるとでも?
出来ない事をほざくなと、教わらなかったのか?
無教養は哀れですね。」
「口を慎みなさい、この小娘が!!」
そう甲高い声で叫んだ後、女は腰の刀に手をかけ、抜いた。
が、それは刀では無かった。
戦いの火蓋を切ったのは、銃声だった。




