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第117話 登録とパスワード


 宇宙船に戻ってまずしたことは、キラを宇宙船の身体情報を登録することではなく、昼食をとることであった。昼には少し早い時間であったが、この後別行動になってしまうのであれば、一人で食べるより二人で食べる方がいいに決まっていた。

 いつもの通り、残りの食材に何があるかをひと通り見直して顎に手を当てて少し思案したあと、よしと頷いてメニューを決めた。

 作って食べて、片付けまでを終えてそれでも次にしたのは身体情報の登録ではなく、キラがちょっと待っててと言って自室に引っ込んでしまった。

 昨日はすぐに宇宙船に戻るかと思って一応隠しておいたものの、この部屋に放置していたレシピをまとめた紙を昨日教科書と書籍の間に紛れ込ませて置いたポケット式のクリアファイルにそっと差し込んだ。たまたまだったが、ちょうど宇宙規格五判の紙とピッタリの、新品のクリアファイルを見つけることが出来たのだ。確か、ユニバーシティで提出が必要なときにまとめて購入した方が安かったのでいつか使うだろうと思って買ったやつだ。

 問題はこれをこのまま宇宙船に置いたままにしていいのかどうかだ。間違ってニジノタビビトに見られてしまった場合に大変だが、役所に行くのに財布と通信機と、このクリアファイルを持っていくというのも変な話だ。

 おそらく、というか絶対にニジノタビビトは緊急でもない限りこの部屋には入らないとキラは確信している。例えこの宇宙船がニジノタビビトのもので、この部屋がキラに貸しているニジノタビビトのものであったとしてもだ。

 それならば変に持ち歩くよりも、隠すように、というよりかは目立たないように保管しておく方がいい気がしてきた。


「どの辺……このあたりか?」


 結局キラはニジノタビビトに言ってもらった紙の下にこっそり忍ばせておくことにした。それと、一応ニジノタビビトをほかの方に意識がそらせるかもしれないと思って、昨日持ってきた教科書と書籍は宇宙船のリビングに置いておくことにした。


「レイン、ごめん。お待たせ」

「ううん、それじゃあ登録しようか」


 ニジノタビビトはソファに座って昼食後にキラが入れたココアを飲んでいた。残り少なくなったそれを一気に煽ると、立ち上がって、マグカップを水につけてから大きなモニターと装置がある前に座った。

 宇宙船のシステムを起動してセキュリティから人物登録の画面を開くと、キラの方を振り返った。


「カメラでキラを認識するから入り口のところに立ってくれる?」

「分かった。外か?」

「ううん、中で大丈夫」


 キラは宇宙船の出入り口のカメラがあるところをニジノタビビトの指示をもとに探して一メートル弱の距離を置いて立った。


「うん、そこで大丈夫、じゃあスキャンするからそのまま直立でね」


 キラがカメラが瞬きをするように動くの見ながらそのまま直立し、ニジノタビビトに言われるがまま横を向いたり後ろを向いたり、近づいて顔を移したりした。


「……うん、大丈夫。これで登録はできたからあとはパスワードね」


 ニジノタビビトはシステムに名前など人物の詳細を入力すると、この人物に出入り口のアンロックを許可するにチェックを入れた。


「パスワードは根性で覚えてね!」

「おっと、頑張るわ」


 キラは記憶力が悪い方ではないが、桁数が多かったらどうしようとちょっとだけ思った。




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