異世界周遊 4-152 いまさら7
明日香の話に納得はしたが、そもそも繁殖する必要ない妖怪が何故妊娠したのか疑問が残る。
『それについては、私から説明するね。』
セオリが念話を飛ばしてくる。
「どうして妊娠出来たの?」
『それは‥。』
「それは?」
『イチロー君が望んだからだよ。』
「????
俺が望んだから?」
『そうだよ。
本来妊娠するはずのない妖怪がイチロー君の力で妊娠出来たんだよ。
イチロー君自覚してる?
神になったイチロー君はかなりの力があるのに自分で力を使わないように抑えているんだ。
ただ、深層にある思いが抑えようとする力を超えたみたい。
イチロー君は家族を欲してるんだよ。
地球にいたころ寂しかったとかない?
お嫁さんが増え続けるのも、その寂しさからそうさせてるかもね。』
セオリの話を聞いて、地球にいた頃の事を思い出していた。
両親を事故で亡くし親戚に引き取られた事を‥。
ん?
地球での事を思い出そうとすると頭に痛みがはしった。
????
両親以外に家族がいたような‥。
思い出せない‥。
『お兄‥‥ん。』
?????
何が重要な事を忘れているような‥。
駄目だ、頭の痛みが酷くなる。
『ストップ!!
それ以上はダメだよ!』
セオリの声で何かを思い出すのを止めてしまう。
『今はお嫁さんの妊娠に集中しなさい。
地球での事はもう少ししてから思い出せばいいから‥。』
セオリの声は聞いた事がないような力強いものだった。




