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灰色の世界

まぶたの隙間からのぞく灰色の世界

何もかもが色落ちて

味気ない

風も止んで

人もいない

動物も

植物も


空を覆うビルの群れ

全部爆破して

砂にしちまえばいいのに

その方がこの世界にはよく似合う


神様

どうか俺を殺して



俺は悪くない

あいつらが陥れたんだ

そう思いながら煙草をふかす


見てみろよ

世界が壊れ始めた

もうすぐだ


壁を摺り抜けてやってきた強い波動

壊れた心臓にぶつかって

激しく揺さぶる


時計の音がうるさくて壊した

鼓動もまるでうざい夏虫

止めてやりたくなる


昼も夜もない

一歩外に出れば

一面に広がる果てしないグレー

窓を開ければ

扉を開ければ

侵食してくる


閉めきっても

隙間から

通気口から

フィルターから

少しずつ流れ込んでくる


目が覚めると

世界の全てが泥に塗れた

俺自身も泥に埋もれて

身体が重いよ


本当は知ってたんだ

俺が悪いんだ

それでも

低い天井を隅から隅まで眺め回して知らないふり

泥が首まできた



まぶたの隙間からのぞく灰色の世界

何もかもが色落ちて

味気ない

風も止んで

人もいない

動物も

植物も


空を覆うビルの群れ

全部爆破して

砂にしちまえばいいのに

その方がこの世界にはよく似合う


神様

どうか俺を殺して



ふと感じた甘い香り

色でいうと紫


迷い込んだのか

可憐な蝶が一匹


悪いけど

ここには何もねーぞ


花の蜜も

羽を休める止まり木も


お前には似合わない

こんな淀んだ空気

汚い世界


ゆらゆら

ゆらゆら

舞い踊って


少し疲れたのか

高度が低くなる


俺の抜け殻を見付けた

指先に止まった



ふと感じた甘い香り

色でいうと紫

灰色の世界が少し色ずく

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