猛獣
たてがみから爪先まで
全身を漆黒に染めた愛しい俺のボディ
瞳も深い黒に染められて
目の前に広がる世界は何故かカラフル
俺の世界は六畳一間
作りものの太陽が頭上に煌めいて
ふかふかの大地が俺を包み込む
風の音は聞こえないけど
代わりに響くディストーション
チバユウスケ?
誰だそりゃ?
知らねーけどさ
かっこいいじゃねーか
隣に黒猫がやってきた
俺とお揃いの黒い毛皮を纏ってやってきた
ニャンギラスなんて呼ばれてやがる
ダセー名前だ
俺?
俺の名前はミッシェルさ
ロックだろ?
調べりゃわかるさ
“ミッシェル”は超ロック
俺の世界に神様は二人
黒髪が針鼠、男の神様と
茶髪がトルネード、女の神様だ
いつも二人はいっしょ
太陽がオフられて夜がやってくると二人はいつも絡み合う
俺の大地はマグニチュード10.0
時には俺にとばっちり
俺の身体に白い雨が降る
ギィ
神様はいつも軋みと共にやってくる
その瞬間微かに見える宇宙の構造
微かに感じる宇宙の匂い
宇宙の風
バタン
宇宙はすぐに掻き消えて、真っ白で無機質な世界の果てが俺の好奇心を妨げる
あれ?おかしいな
今日の神様は一人
女がいない
表情も冴えない
今日は大雨だ
俺は神様に抱かれて
塩辛い雫を全身で受ける
神様の大きな瞳から溢れ出して止まらない
俺はビショビショ
風邪引いちまうじゃねーか
懸賞でもあたったのか?
今日は宇宙旅行
世界の果てから飛び出して
何処まで行けるのか
夢は月面上陸
予想を遥かに超えた長旅だったぜ
宇宙を飛び回って遂にたどり着いたのは真っ白い銀河
純白の衣を身に纏った神様達がせわしなく駆け回る
その中で俺は一つの惑星に飛び込んだ
ナンバー307
俺の神様が眠ってる
女の神様だ
やつれてた
俺は今日からここでしばらくお泊り
それも悪くねぇか
毎晩胸に抱かれて
注がれる
それだけで俺は腹がいっぱい