第二十五話:ゴールデンフィーバ!、その1
大地:どうして起こしてくれなかった!
優太:起こしたよ!
大地:嘘だっ!!
優太:本当だ!
大地:出番を返せぇぇ!
優太:ぐぇっ!?首締めはずるい!
ローム:ふっ……天翔の逢翼、始まるぞ。
二人:あーっ!
―「ってことでゴーバトラーは暫くの間、修理が必要だってさ。」
蒼穹荘のキッチンでお茶の用意を手伝いながら翔が言った。
「だからって私の仕事を取らなくても……。」
テスラが怨みがましく見る。
「何かしてないと落ち着かなくて。はい、終わりー。」
お茶とお菓子をお盆に乗せて翔は皆のところへ向かった。
「ぷー……。」
それを不服そうにテスラが見送った。
―「お待たせ、お茶が入ったぞー。」
「おお、翔!ナイスタイミング!」
大地が翔を見るなり嬉々して話し掛けた。
「何だ、また悪巧みか?」
「違う!今週末からゴールデンウイークだろ?何処かへ遊びに行こうぜ!」
「そうだなぁ。」
「翔!私、遊園地行きたい!」
珠香が手を高く上げて主張する。
「うーん。……って何食わぬ顔で居座ってるんだ。しかもそこは俺の席。」
「いいじゃん、固いことは気にしなーい。今日、定休日だし。家にいても暇なんだってばー。」
あちちっ、とお茶を飲みながら答える。
『遊園地……。』
アルとイーファが同時に目を輝かせる。
『じぃ〜。』
「し、視線が……。分かった!遊園地だ、遊園地に行こう!」
『わぁーい!』
喜びのあまり誰かがお盆にぶつかり、お茶が宙を舞った。
「ぎゃぁーっ!?」
それを頭から被ったロームが部屋の隅でのたうちまわっていた。
―五月三日、ゴールデンウイーク初日
「……記録的な大雨が俺達を迎えた。」
半ば諦め気味に翔が呟いた。
「うむ、見事に大雨だ。」
「うわぁ、外が真っ白です。」
ミルファーナが目を輝かせて言った。
「ミルファーナは楽しそうだな。」
「はい!こちらの王都は気候が穏やかなので、こんな大雨は初めてなんです。」
ウキウキしているのが見るからに分かる。
「うーん、これもいい経験なのか?」
「雨〜♪」
「お、おいっ!?」
ミルファーナが外に飛び出した。重ねて言うが豪雨である。
「冷たくて気持ちいい……痛い!?痛い!?」
たたき付けるような雨は痛みを伴っていた。
「お、おい!」
「あぅ、びしょびしょです。」
10秒程でミルファーナは足の先までずぶ濡れになっていた。
「大丈b……!」
そこで、あることに翔は気が付いてしまった。
「はっ!?翔っ!」
そして、同じく気が付いた珠香に粛正される。
「フラァァァァイ!?」
錐揉み回転をしながら、大地と優太を巻き込み壁に激突し、三人は昏倒した。
「テスラさん、タオル!ミルファーナも早く体を隠して!」
「えっ?……きゃっ!?」
雨で濡れたワンピースはミルファーナに密着し、彼女の白い肌や下着をくっきりと透かしていた。
「姫様!何事ですか!?」
騒ぎを聞き、ロームが銃を抜きながら驚いた顔で、部屋に飛び込む。
「貴方も駄目ぇぇっ!」
「がふっ!?」
由紀子が投げた湯呑みが額にクリーンヒットし、二言目を告げる間もなくロームも沈黙した。
「姫様、タオルです。」
テスラが急いでミルファーナの身体を拭きはじめる。
「翔君になら見られてもいいのに……。」
小さくな声で、ぼそっとミルファーナが呟いた。
「ん?ミルファーナ、何か言った?」
「い、いえ。何でもないです……。」
「ん〜?」
顔を赤らめて苦笑するミルファーナを怪しそうに珠香が見た。
―「改めて、今日は大雨何だがどうしようか?」
翔が、痣になった所をさすりつつ言った。
「こんな雨じゃ外にも出られないしなぁ。」
「今日は室内で過ごすしかないねー。」
大地と優太は諦めムードに入ったらしく、明らかにテンションが落ちている。
「そんな君達に朗報だ!」
ドアが勢いよく開いた。
「時羽のお父さん!?」
勇一郎が少しウキウキしながら立っている。
「君達に室内アトラクション施設のテスターをお願いしたい。」
「俺達に?」
「出来立てほやほやの物を遊び放題だ、さらにバイト料まで付けよう。」
『バイト料!』
男性陣が目を輝かせる。
「今日は暇だし受けてみようよ。」
暇を潰せるならと珠香も賛同する。
「いいですね、楽しそうです。」
ミルファーナは早くも臨戦体勢と言ったところである。
「私は……。」
優香がちらっと宿題の山をみる。
「もちろん行くだろ?な、優香。」
「大地……。はぁ、仕方ない。付き合ってあげるわよ。」
嫌な予感を感じつつ優香も承諾した。
「私も行く!いいよね?お兄ちゃん♪」
「あぁ、勿論だ。」
「わぁーい!」
凜が勢いよく翔に飛びつく。
「わわっ!?じ、じゃあ、準備出来たら出発だ!」
翔が号令をかけ、一斉に部屋に向かう。
―「後でお弁当を持って行きますからね。」
「ガッツの付くやつを期待してくれよな!」
「み、皆様お気を付けて行ってらっしゃいませ……。」
メイド三人娘に見送られ翔達が出発した。
「ふふふ……。」
勇一郎の目が怪しく光ったことに気がついた者は誰ひとりいなかった。
その2に続く。
珠香:嘘ぉ……。
ミル:夢でも見てるのでしょうか?
時羽:信じられない。アンビリーバブルよ。
作者:揃いも揃って酷いなぁ(ノ_・。)
時羽:だって一月よ、一月経ってないのよ!
珠香:前回どれだけ待たされたと思ってるの!?
ミル:日頃の行いが良くないからです!
作者:しょぼーん……。
時羽:少し虐めすぎましたね。
珠香:その調子でその2も頑張ってね。
作者:鋭意努力します。
珠香:掲載予定時期は来月中ですね。
ミル:それでは次回、ゴールデンフィーバ!、その2でお会いしましょう。
皆:またね〜。
10月20日某所にて