第二十三話: 逆襲の爪、その1
大地:俺たちの居場所はこっちかよ!?
優太:あるだけましと思いましょう・・・・・・。
大地:仕方ねえな。
優太:では、第二十三話。
大地:それなりに楽しんでくれよな!
優太:それなりなんだ・・・・・・(汗)
「ふぅ……ピカビカになったな。」
翔が額の汗を拭きながら壁を見た。
「こんな事に機体を使うなんて……」
アルが半ば呆れながら呟く。
「これもモーションデータの収集だと思えばいい。」
「こんなモーション……一体何に使うんですか?」
「さぁ?何時か役に立つかもな。」
翔があっけらかんに言った。
「それより、あっちはどうなってる?」
「サボってますね。」
アルがモニターの一部を拡大する。
「んー……確かにサボってるな。」
大地と優太が木陰で眠っている。
「テスラさんに昼ご飯は二人分削ってもらうか。」
そう言って翔はメールを打ちはじめた。
「でも、これを使うのはサボりじゃないんですね。」
「使えるものは使うのが俺のポリシーだ。」
「そんな胸を張って言わなくても……。」
―「ぐー……。」
「……。」
「ぐー……。」
「……。」
「なぁ、翔。」
大地が恨めしそうに声をかける。
「何だ〜?」
「わざと放置しましたね?」
優太が恨めしそうに見ている。
「ああ。」
さらっと翔が言った。
「俺達の分は?」
「あると思うか?」
「だよなぁ……。」
大地がその場にへたりこむ。
「そこやったら出るかもな。」
翔が雑草が生い茂っている一区画を指差す。
「うっ……。ゆ、優太!やるぞ。」
「ラ、ラジャー……!」
二人は仕方なく作業を始めた。
―「あーっ!!終わらねぇ!」
大地が半狂乱に陥る。
「も……もう駄目。ガクッ」
優太も力尽きる。
「この草どれだけあるんだよ!」
大地が地面を思いっ切り踏む。
"バキッ!"
「えっ……?」
足元に一人分の穴が開く。
「えっ!?……ちょっおぉぉぉぉ……。」
大地は踏み抜いた勢いで下に落ちて行った。
「大地!?」
優太が後を追って飛び降りた。
―「痛ってぇ……。」
大地か体を起こす。
「えっと……あそこから落ちたのか……。」
背中を摩りながら上の方の光点を見る。
「結構高いな……クッションがあって助かったぜ……。」
大地はお尻の下にある謎の物質を触った。
「そういえば、なんだこれ?」
フニフニと突いたり、軽く叩いてみる。
「大地!」
優太がゆっくりと降りてきた。
「大丈夫か?」
「ああ、これのおかげで何とかな。」
「これは?」
「さあな?」
大地は謎の物体から飛び降りた。
「よっと……。」
「えっ、大地?どこに行くのさ?」
「決まってるだろ、探検さ。」
大地が奥に進み出す。
「ちょっ!待って、置いて行かないでよ!!」
急いで優太も後を追い掛けた。
―「……何も無いなぁ。」
通路を隈なく調べながら大地が言った。
「っ!?……気をつけろ!」
優太が全身に魔力を纏わせる。
「いきなりどうした?……っ!?」
大地も突然殺気を感じる。
「誰だ?」
返事は無い。
『ご、ごくり……。』
振り向くと首の無い胴体が剣を持ってこちらに近づいてきている。
『で……出たぁ〜!?』
二人は一目散で逃げ出す。
「優太!燃やしたりとか出来ないのか?」
走りながら、大地が言う。
「そうか!ファイアボール!」
足元に着弾し、激しく燃え上がる。
「やったか!?」
「大地!その一言は……。」
お約束の一言を言った瞬間、炎に包まれた首無しが勢いよく飛び出してきた。
「馬鹿〜っ!」
「俺のせいかよ!?」
再び走り出す二人。
「おわっ!?」
大地の頭の真上を剣が通り抜けていく。
「このっ!」
振り返り、正拳突きを首無しに食らわせる。
「痛っ!?」
ガィン!!っと大きな音を起てて首無しが吹き飛ぶ。
「何だよ、普通に通じるのか。」
再び道なりに進みはじめる。
―「むぅ……行き止まりか。」
大きな壁が二人の行く先をふさいでいた。
「でも、ここ以外に道は無かったですよ?」
壁を触りながら優太が言う。
「仕方ない、引き返すか。」
ガッチャン……ガッチャン……。
「大地……あれ……。」
後ろを振り向くと、先程の首無しが仲間を引き連れて、帰ってきていた。
「マジかよ……。」
中には巨大ロボットに乗っている者もいる。
「翔だったらゴーバトラーを呼べるのにな。」
優太がぼやく。
「ふんっ。翔が出来て、俺が出来ないはずが無い!来い!撃銃夫っ!!」
右手を高く翳し、撃銃夫を呼ぶが、何も起きなかった。
「あ、あれ?」
「大地!下がって!」
優太が前に出る。
「この広さなら……。頼むよ!ケルベロス!」
「ひ・さ・び・さのっ!出番だぜ……えぇぇぇぇっ!?」
雄太が杖を敵にむけてブーメランのように投げつけた。
「吾を殺す気か!」
ケルベロスが元の姿に戻って吠えた。
「まさか。それよりも。」
「ああ、分かっている。」
ケルベロスがロボットの方を見る。
「いままでの鬱憤、晴らさせてもらう!」
鋭い爪が、尖った牙が、放たれる火炎が足元の三下を蹂躙していく。
「この話ってロボット戦記だよな?」
ボソッと大地が呟く。
「何メタな発言してるのさ!?」
―「ふぅ、すっきりした。」
やりたい放題暴れた後、ケルベロスは再び杖に戻った。
「さて……。」
大地が壁の方を向いた。
「先に行くか、引き返すか。」
「あれだけ暴れても、びくともしなかったんだよ?引き返すべきだね。」
「だよなぁ…。」
大地がため息と共に、壁に手を当てた。
「大地!無用心過ぎるよ!」
「大丈夫だろ、これくらい。」
無論そんなことは無く、大地の手は見事にスイッチを押し込んでいた。
「げ!?」
「言わんこっちゃない!」
ゴゴゴという音を起てて目の前の壁が左右に開く。
「……け、結果オーライだろ?」
「まぁ、ね……。」
―「あいつ等またサボりか…。」
翔が呆れ返っている。
「主、これ……。」
アルが足元を指す。
「何でこんな所に穴が?」
「梯子まで有りますね。」
「どうします?」
「ほっとけ、そのうち出てくるって。」
翔が部屋に入っていく。
「大丈夫かなぁ……。」
アルも翔について中に入っていった。
―「すごい空間だね。」
「と言うか、何も無いな。」
扉の向こうは開けた空間だった。
「待った……。」
大地が奥に何かがあるのを見つける。
「大きな……鳥?」
暗いため、詳細なディテールはわからなかったが、部屋の真ん中に大きな鳥の像が安置されていた。
「……。」
「大地?」
大地が不意に沈黙する。
「……。」
「駄目だ、反応が……。」
その時、大地の身体が赤く光りはじめた。
「これって……。」
撃銃夫のモードFLUSHと同じ赤い光が鳥の像の口に吸い込まれていく。
「あ……あぁ……。」
大地がその場で崩れ落ちるように倒れる。
「大地!?」
優太が急いで駆け寄る。
「呼吸は……してる、脈もある。」
生存を確認した後、もう一度ケルベロスを呼び出す。
「僕らを乗せて、入口までお願い。」
「承知した。」
ケルベロスが疾走する。
―「軽い疲労ですね。」
手早く応急措置をしたテスラが皆に言う。
「そっかぁ……。」
珠香が安堵の溜め息をする。
「不思議な現象の正体って何だったのでしょうね?」
ミルファーナが疑問を口にする。
「何かを吸い取られてるように見えたんだけど……。」
「でも、それだけだとね〜。」
「もしかして、命を吸われたとか。」
「凜、冗談でもそんなことは言うな。」
「はーい……。」
「……うるせぇ。」
大地がムクッと起き上がった。
「大地、もう大丈夫なのか?」
「ああ、……一体なんだったんだ?」
「僕にもわからないよ。」
ため息をつく一同だった。
―「検査も異常無しなんだな?」
政隆が安堵のため息をつく。
「なら、配置換えの必要も無いな。」
「はい。」
「異常を感じたらすぐに言えよ。」
「了解。」
その時、アラートが鳴り響いた。
「大地!」
「急ぎましょう!」
二人は格納庫に走り出した。
後編に続く。
珠香:・・・・・・私達。
時羽:出番皆無でしたね。
ミル:発言した記憶が・・・・・・。
作者:あ・・・・・・あはは。
三人:笑って許されると?
作者:ごめーん!(逃走)
珠香:逃げた!?
ミル:じゃあ私たちだけで次回予告をしましょう!
時羽:えっと・・・・・・その2に続くのでは?
珠香:なら、その2の予告でよくない?
ミル:賛成ですね。
時羽:では・・・・・・またまた帰ってきたあの男!
珠香:新たな敵戦力に苦戦する私達。
ミル:絶体絶命のピンチに輝く光、それはいったい・・・・・・?
三人:次回、天翔の逢翼。逆襲の爪、その2
珠香:掲載予定は・・・・・・。
時羽:もう当てに出来ないですわね・・・・・・。
ミル:そ、それでも2月前後を予定してます。
四人:お楽しみに~。
時羽:あっ!逃げた作者!
珠香:ひっ捕らえろー!
ミル:あらあら?置いていかれました・・・・・・(汗)
一月一日、某所にて・・・・・・。