第二十二話:新たなる戦いへ!
遅くなってすいませんでした!
色々ありましたが最新話更新です!
―「……であるからして。」
「ふぁぁ……。」
授業中にも関わらず、大地は大きな欠伸をする。
「眠そうだな。」
翔が苦笑している。
「つまらないからな。」
「お、言い切った。」
「お前は面白いと思うのか?」
「……ひいき目に見てもつまらないな。」
「だろ?」
「何かスリリングな事でも起きないかな。」
「だな。」
授業終了のチャイムが鳴った。
「さて、飯を食べようぜ。」
そう言って、翔が席を立ったその時だった。
「翔っ。お弁当食べよ……。」
「翔様、一緒にお昼を……。」
『むっ!』
時羽と珠香、お互いの視線が交錯し、火花が散る。
「邪魔よ、私が翔と一緒に食べるの!」
「邪魔をしているのはそちらですわ。私と翔様の時間に割り込もうとするのはお止めなさい。」
舌戦の火蓋が切って落とされるかと思われた瞬間、大地が二人の間に入った。
「あー……お二人さん。」
「何?」
「何ですか?」
「もう、翔はいないぞ。」
『えっ?』
二人が廊下に出た時、翔の姿はもう見えなかった。
―「ふぅ。」
学校の裏山の頂上。翔のお気に入りの場所の一つだ。学校の敷地外なのだか、翔は秘密の抜け道を使ってよくここに来ていた。
「全く、あの二人はもう少し仲良く出来ないのか?」
一人呟く。
ぐー……。
「腹減ったなぁ。」
パンでも買いに戻ろうかなっと翔が思った時、後ろで物音がした。
「誰だ〜?」
翔がのろのろと振り向く。
「あっ……。」
ミルファーナがしまったっと驚いた顔で見ている。
「あっ、あの……。」
「どうやってここに?」
「後をつけて来ちゃいました。」
「そっか、ここばれちまったかぁ。」
「そうですね。」
まるで悪戯を見つけた母子のような会話である。
「あいつらに教えるのか?」
「どうしましょう……。そうだ、一つお願いを聞いてくれたら誰にも言わない事にします。」
ミルファーナが少し意地悪そうな笑みをする。
「お、俺に出来ることならな。」
不吉なオーラに一瞬気圧される。
「一緒にお昼……食べませんか?」
少し赤くなりながらミルファーナが言った。
「へ……?そんな事で構わないのか?それぐらいならいいけど、俺買ってこないと……。」
「はいっ。」
ミルファーナが袋を勢いよく前に出した。明らかに一人分の量ではないとわかるほど袋は膨らんでいた。
「翔君、何も持たないで行ったから、これをってある人から……。」
「誰だか何と無く分かるけどな。ミルファーナ……ありがとう。」
「いえいえ、どういたしまして。」
「折角だから、ここで食べるか?」
「……はいっ♪」
この後の授業は抜き打ちテストだったのだか、ミルファーナだけはずっとニコニコしながら受けていた。
……一人お腹を鳴らし続けていたとかいないとか。
―「折り入って……お願いがあります。」
その日の晩ミルファーナはテスラを部屋に呼び寄せた。
「私どもに出来る限りで申し訳ありませんが、何なりと。」
「そんなっ、あなた達にしか頼めません。」
「……翔様にも頼めないのですか?」
テスラが少し目を光らせる。
「えっと……はい……。」
ミルファーナが少し赤くなって俯く。
「分かりました。それで私どもに何を?」
少し嬉しそうにテスラが言った。
「それは……。」
―次の日の昼
「翔は!?」
「翔様は!?」
「また逃げた。もういない。」
首を締められて、真っ青になった大地を投げ捨て、珠香と時羽も教室を飛び出した。
「翔、頑張れよ。」
そう言い残して大地は力尽きた。(合掌)
「いや、勝手に殺すな!」
―昨日と同じ様に裏山の山頂に翔はいた。
「らららショックパン。……はぁ。」
出遅れた翔は購買で食パンしか買うことが出来なかった。ジャムその他諸々も売切れだった。
「仕方ないかぁ。」
育ち盛りには些かと言うか、かなり足りない昼食を取ろうとしたその時だった。
「翔君♪」
ミルファーナが後ろから声をかけた。
「お前も物好きだな、こんな所にわざわざ来るなんて。」
かく言う自分もそうだなと苦笑しつつ翔が言う。
「あの……今日はね、お弁当作ってみたんですけど。」
「えっ……。」
一瞬、翔が強張る。
「やっぱり……要らないですよね。」
目に見えてしょんぼりとする。
「いや、その、何と言うか、時羽のあれで体が過剰反応してしまうだけだからさ。」
「う〜……。」
ミルファーナが、捨てられた子犬の様な目で見つめて来る。
「うぅ……。」
「ご、ごめんなさい。」
―「全く、翔は何をやってるんだ。」
この街でも一際高いビル、その屋上からロームは双眼鏡で様子を見ていた。
「テスラも、私にこんな事を頼むとは、余程心配らしいな。」
ぐー
「ふむ、私もお昼とするか。」
テスラに渡されたお弁当箱を開く。
「こ、これは……!?」
中にはセロテープで留められた五百円玉が一つ虚しく輝いていた。
「……。」
そして、恨めしそうに翔のいる辺りを見た。
―「なんだか変な所から視線を感じる気がする。」
「そうですか?」
ミルファーナが辺りを見回してみる。
「見つからないようにはしたんですけど。」
「いや、気のせいだったみたいだ。」
「よかったぁ、私も付けられたのかと思いました。」
ミルファーナが、包みを解いてお弁当箱を開く。
「おぉっ!?」
そこには、シンプルな見た目のサンドイッチと色鮮やかな野菜が綺麗に納められていた。
「はい、どうぞ。」
そう言って、ハムサンドを一つ差し出す。
「いただきます。」
まずは一口。
「……ドキドキ。」
「……美味しい。」
「本当ですか!?」
ぱぁっとミルファーナの顔が明るくなる。
「お世辞抜きで美味しい。」
「テ、テスラの教え方が上手だったんです。」
少し朱くなった顔を隠すように俯きながら答える。
「いや、教え方が上手でも駄目なときは駄目になるからな……。」
ふっ、と遠くを見る。
「あっ……。そ、そうですね。」
「ミルファーナも食べないと、休み終わっちまうぞ。」
「あわわ、それはまずいです。いただきます。」
今度はタマゴサンドを選び、口に運ぶ。
「ふふっ、自分で言うのもあれですが、美味しいです。」
テスラ達に感謝しながらミルファーナは幸せな時を過ごした。
―放課後
「……隊長、用事とは?」
学校からヘリで拉致られた翔は、政隆に理由を聞いた。
「あー……新武装のテストをしてもらいたいと、スポンサーからの御達示だ。」
「いったいどんな物なんですか?」
「知らない、こちらには何も伝えられていない。」
「はぁ?」
「お前はゴーバトラーで新武装を装備した敵機の相手をすればいいらしい。」
―「……とは聞いていたけどなぁ。」
ゴーバトラーの前に立っていたのは見慣れた機体だった。
「さぁて翔、覚悟しなさい!」
「私達がお相手して差し上げますわ。」
「……その針ネズミと?」
バイセイバーもアルトリッターも新装備群で完全武装されていた。シルエットが元と完全に変わっているように見える。
「勿論♪」
政隆が戦いの合図をした。
「始めっ!」
バイセイバーの右肩からビームがスプレーを吹き付けるように発射された。
「ウギャー!?」
慌てて盾を構える。
「遅いですわ!」
アルトリッターが踏み込み、トマホークを思い切り振る。
「ぐっ!」
ビームで強度が落ちていた盾は、いとも簡単に真っ二つにされた。
「隙ありっ!」
バランスを崩したゴーバトラーに向けて、バイセイバーはバックパックに取り付けられたレールガンを前面にスライドさせた。
「させるか!」
ゴーバトラーも胸部を展開する。
「行けぇっ!」
高速で飛んで来た弾は、ビームの直撃を受け、ゴーバトラーに到達する前に消滅した。
「あっ。」
その間にスラスターを吹かせ、体勢を整える。
「攻撃には移させませんわ!」
アルトリッターが肩に付けられたミサイルを一斉掃射する。
「来い!ローダーフェニクス!」
翔の命令で出撃したローダーフェニクスのホーミングレーザーが正確にミサイルを打ち落とした。
「くっ!」
そのままローダーフェニクスがゴーバトラーの後ろに近づく。
「合体!」
ローダーフェニクスが変形し、ゴーバトラーの腕と背中に合体する。
「バスターゴーバトラー!」
最後に顔にマスクが覆いかぶさり、合体が完了した。
「今度はこっちから行くぞ。」
背部のユニットが展開し、中からマイクロミサイルコンテナが射出される。
「時羽、チャージするから迎撃宜しく!」
バイセイバーがリボルキャノンにパーツを取り付ける。
「ええ、よくってよ。」
コンテナは二機に向かってある程度近づいたところで、中のミサイルを一斉にばらまいた。
「無駄ですわ!」
アルトリッターの肩、足、背中からパーツが飛び出し、それぞれがエネルギーフィールドを展開した。
「例え、ゴーバトラーの火力が高くても、そう簡単には破らせませんわ。」
「これでどうだ!」
ゴーバトラーが腕部の大型ガトリングガンで発振部を狙う。
「無駄ですわ!」
時羽が発振機を操作し、直撃を避ける。
「埒があかないな。こうなったら…コード解除、FLUSH起動!」
蒼いエネルギーを纏ってゴーバトラーが突撃する。
「このっ!」
アルトリッターも更にフィールドにエネルギーを送る。
「うっ!?」
「くうぅっ!」
二機がぶつかり合い、停滞する。
「貫けぇ!」
その瞬間、アルトリッターのフィールドが分解され、蒼いエネルギーに変換され始めた。
「えっ!?」
ついにフィールドに穴を開け、ゴーバトラーが突っ込んで来る。
「とりゃあ!」
フィールドを失ったアルトリッターは体当たりの直撃を受け、吹き飛んだ。
「きゃあぁぁっ!?」
「ダメージレベル5。アルトリッター撃墜だ。」
撃墜コールを確認したゴーバトラーが正面に砲口を向ける。
「文字数が足りなくなってきたから一気に決めるぞ!」
「翔っ!そんな裏事情引っ張り出しちゃ駄目!」
「うるさい!ビームキャノン・フォーカスモード!」
胸部と腕部が展開し、機体前面にエネルギーが収束される。
「くっ。」
エネルギーチャージを済ませたバイセイバーが空中に飛び上がった。
「こっちもいくよ!ブラストモード、スタンバイ!」
背中の粒子加速機からリボルキャノンに高エネルギー粒子が供給され、展開したウイングからは余剰エネルギーが放出される。
『発射ぁ!』
二人が同時にトリガーを引く。両機から放たれたエネルギーの奔流はその中間地点で衝突し、辺り一面を巻き込む大爆発になった。
「きゃあぁぁっ!?」
ちなみに中間地点にはアルトリッターがいた。
―「……うわぁ。これ何て"週末"戦争?」
「"終末"だろ?」
「気にしない♪気にしない♪」
「って言うか時羽確実に巻き込まれたよね……。」
優太と大地と優香がモニターで観戦しながらお茶をすすっていた。
「決着は……?」
―『きゅ〜。』
煙が晴れた時、その場に立っていたのは……。
「あ、あれ?バスクードカスタムじゃん。」
翔達はコックピットで伸びており、ボロボロで至る所が煤焦げたバスクードカスタムが何故か立っていた。
そして……。
「い、生きてるって素晴らしい……。」
スピーカーからロームの声が聞こえた。
―遡ること少し前。
「うー。退屈です。」
机の上に覆いかぶさるように伸びながらミルファーナがぼやいた。
「ひ、姫様。はしたないですよ。」
「あ、いけない。つい……。」
恥ずかしそうに赤面しながらミルファーナは姿勢を正した。
「取り敢えず今回の分はこれでお終いです。」
ロームが書類を纏めながら言った。
「何も宇宙に上がらなくてもよかったのではないの?」
「しかし、本星との郵送の利便を考えると、こちらの方が早く出来ますからね。」
「そうですよね……。」
「それに今回の件は、承認が下されるのに時間がかかりそうですから。……では、行ってきます。」
ロームが通信室に向かった。
「後は祈るだけですね。」
―数分後
「……。」
「……?」
「どうしても行きますか?」
バスクードカスタムのコックピットでロームはミルファーナに聞いた。
「はい!だって仕方が無いじゃないですか。シャトルが不調何ですから。」
「ふぅ……。揺れますから舌を噛まないようにしてください。」
「むっ、私も一応パイロットの訓練は行ってますからね!」
ミルファーナが少し脹れながら言った。
「知ってますよ。しかし、何かあっては困りますので。」
「ふふっ、冗談です。ごめんなさい、教官。」
「ひっ姫様っ。その呼び方はもう……。」
「あっ、照れてますね?」
「い、行きます!」
バスクードカスタムが発艦した。
―「軌道調整よし。」
降下ポイントをファフニール基地に設定し、今地球に降りようとした時だった。
「転移反応?こんな近くに!?」
「ローム!」
「仕方ありません。対処します。」
ビームピストルを脚から取り出し、敵に備える。
「無人タイプか……。偵察衛星の範囲外からの長距離転移。帰還は考慮されてないのか。」
一度に二体のバレントを撃ち落としながら、ロームは敵の意図を読もうとしていた。
―「後……少しだ!」
残弾もエネルギーそろそろ尽きようとした辺りで、ようやく終わりが見えてきた。
「ローム……。」
「大丈夫です、姫様。もう少しで……何!?」
その時、ロームは信じられないものを見た。
「バレントが陳を組んでいる……。」
陳の中心から転移反応が観測された。
「馬鹿な!」
その一瞬が致命的な隙となった。
「ぐぁっ!?しまった!」
バレントの一機が特攻し自爆した。
「ううっ!?」
ミルファーナも衝撃に負けないように歯を噛み締める。
「転移していく……。」
残りのバレントの一軍が転移し消えていった。そしてバスクードカスタムは重力に捕まり、落下を開始した。
―「このぉっ!」
ワーニングアラートが鳴り響く中、ロームが必死に機体の体勢を調える。
「姫様、こんな目にあわせてしまい申し訳ありません……。」
「いえ、今回の事は仕方なかったと思います。」
「ありがとうございます……。減速っ……間に合ってくれっ‼」
バスクードカスタムが全力で逆噴射をかけた。
―「い、生きてるって素晴らしい……。」
「私も……そう思います。」
二人は生きている喜びを噛み締めていた。
―「何だか疲れたな。」
翔は輸送機の中でミルファーナとコーヒーを飲んでいた。
「はい。お疲れ様です、翔君♪」
「何か嬉しそうだけど、何かあった?」
「ふふっ、気のせいですよ。」
と言っているが、ずっとニコニコしているので、説得力はゼロだった。
「ねぇ、時羽。」
「何かしら?」
「あの二人……なんかいつもよりも近くない?」
「私もそう思ってましたの。」
『むむむ……。』
二人の嫉妬を受けたのか、翔の背筋に悪寒が走った。
「どうしたのですか?風邪?」
「違うと思うんだが……何だろ?」
―太陽系を少し離れた位置に奴らはいた。
「艦長!バレントの残存部隊が帰還しました。」
「よし、レコーダーを解析しろ。」
「はっ!」
指示を受け、ブリッジが慌ただしくなる。
「結果はうまくいったようだな。」
艦長の一言に。
「どうやらそのようで。」
両手足が機械の男が答えた。
「待っていろよ……俺が必ずこの手で八つ裂きにしてやる!」
続く
時羽「……。」(怒)
珠香「……。」(怒)
作者「……。」(汗)
時羽「何か申し開きは?」
作者「ありません。ホントにごめんなさい!」(土下座)
珠香「掲載予定って7月でしたよね?」
作者「その……色々あって執筆時間が確保できませんでした。」(泣)
珠香「ほー。」
時羽「へぇー。」
作者「そんな冷たい目で見ないでー。」(泣)
珠香「まぁ、いいわ。それより!」
時羽「最近私たちの扱いが酷い気がしますわ。」
作者「いえいえめっそうもない。」(汗)
二人『嘘……。』
作者「だってみんなに平等に出番を与えないと……。」
珠香「最近出番が少ないって、優香たち泣いてたなぁ。」
時羽「俺活躍してないって大地もぼやいてましたわよ。」
作者「うっ。じ、次回こそ頑張ります!」(滝汗)
二人『ホント?』
作者「善処します!」
珠香「で、その次回はいつ?」
作者「九月も忙しいし……十月ごろかなぁ……?」
時羽「頑張ってくださいね?」
作者「と、時羽さん目が据わってますよ……。」(汗)
珠香「次回!天翔の逢翼!」
作者「あっ、いきなり営業スマイルに。」
時羽「逆襲の爪」
三人『お楽しみに~。』
八月某日。某所にて……。