第二十話:帰還
早い所(?)でもう二十話です。
いつも読んでくださる方、遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。
初めての方はプロローグから読んでいただけると嬉しいです。
今回は第二部(?)の最終話です。
―戦場に……宇宙全体に……そして、大切な仲間達にその存在を見せ付けるかのように、ゴーバトラーはまばゆい光を放っていた。
「翔……。」
珠香も、優太も、その場にいる誰もが信じられない出来事に己が目を疑っている。
「……あれ?」
その沈黙を破ったのは、他ならぬ翔自身だった。
「おいおい、何でだんまりなのさ。」
「えっ……だって……。足……付いてる?」
珠香が怖ず怖ずと聞いてみる。
「足?げっ!?……無い!」
『嘘っ!?』
衝撃的な発言に優太達も一緒に驚く。
「嘘だよ。」
狭いコックピットの中で、器用に体を動かし、カメラに足を見せる。
「はぁ……。」
いつものノリで頭を抱える珠香。
「でも、間に合ってよかったぜ。間一髪だったろ。」
「あ……うん、ありがとう。」
昔と変わらない?翔の言動に、安心する一同。
「ふぅ……取り敢えず。」
翔がようやく撃銃夫の方を振り向く。
「こいつをどうにかしないとな。」
そう言って、完全に停止した撃銃夫に近付く。
「……システムリンク開始、これでどうだ。」
ゴーバトラーを取り巻いていた蒼い光が撃銃夫を包み込み、そして機体の中に浸透していく。
「……何だ?」
なにか温かいものに包まれたような感覚を感じた大地は、停止していたはずの撃銃夫の主機に火が入っていることに気がついた。続いて、コックピットの各種コンソールにも光が入る。
「回収されたにしても早いな……。……くそっ、ハッチはまだ開かないか。」
メインカメラの映像も復帰し、ようやく状況判断に必要な材料が集まり始まる。
「宇宙空間……まだ漂流中なのか。えっと……機体のステイタスは……。」
少し落ち着いた大地は、撃銃夫のステイタスをチェックする。
「むっ?修復されてる……?」
撃銃夫の目に再び光が点る。
「一体何が……?」
画面の隅に親友の顔が映る。
「よっ!」
「はっ?……あ〜。成る程、俺も死んじまったのかぁ。」
「ばーか、何言ってるんだ。足付いてるだろ?」
「足?げっ!?……無い!」
「………。」
「むっ!?……無反応?もしかして……滑った?」
「もしかしなくても、完璧に滑ったぞ。」
「……しくしく。」
大地が、あからさまな泣きまねをする。
「二番煎じは駄目、絶対。」
「危ない薬かっ!!」
ボケて突っ込む、いつもの流れなのだが……
「お前達、今は戦闘中だぞ!」
怒られるのは至極当然な訳であり……
「病み上がりも死に上がりも関係ないぞ、二人ともあとで特別メニューだ!」
こうなるのは、予想通りだった。
『うげっ……。』
二人の声がハモり、戦場に響き渡った。
―ドラグナーズフォート格納庫
「アルトリッター出撃準備完了。カタパルトへどうぞ。」
起動に時間がかかったため、遅れていたアルトリッターがようやく出撃準備を済ませ発進しようとする。
「お嬢様……今の聞きましたか?」
「翔様が……生きていた?」
「行きましょう、真実をこの目で見るために。」
「違うわ、小九郎。ここは"翔様に会うために!"ですわ。準備はよろしくって?」
どちらも違うとは誰も言わない。
「勿論です。……アルトリッター、発進します!」
カタパルトのシグナルがグリーンになり、急加速とともに機体が艦から出撃した。
―「機体の調子はどうだ?」
翔が大地に問い掛けた。
「問題は……ん?」
大地がコンソールに目を通す。
「どうした?」
「いや、なんかインストールしているみたいだ。」
「何!?」
コンソールはシステムが次々と書き換えられている事を伝えていた。
「いつまでかかりそうだ?」
「わからない……くそっ、操作も受け付けない……。」
レバーやフットペダルを動かすが、反応しない。
「あいつだけじゃもう戦線を維持できない、急いでくれ!」
「あいつ?」
「ん〜……おまけと言うか、お土産と言うか……。」
翔が示した先には、大型の戦闘機が一機でこちらに来る敵を押し返していた。
「あれは……?」
「こいつ(ゴーバトラー)の付属品……らしい。」
「らしい?」
「詳しいことはわからないってことだ。」
翔が機体を戦線に向ける。
「俺もちょっくら行ってくる。早く合流してくれよ。」
既に光を放たなくなっていたゴーバトラーが飛んでいく。
「……もう無茶はするなよ……。」
無駄だと思いつつ、大地は呟いた。
―「リボルキャノン……そこっ!!」
バイセイバーがストラーグを撃ち抜く。
「次は!?」
「後ろだ!」
翔がビームガンで敵を威嚇しながら接近する。
「珠香、大丈夫か?」
「何とかね。翔は?」
「ん?まだまだ行ける。」
「無茶は……もうしないでね。」
「んっ……できるだけ善処する。」
「………。」
「……わかった!無茶しないから、そんな顔するな!」
(※どんな顔かは各自ご想像下さい)
「約束だよ?今度こそ。」
「ああ。」
声にはしていないが、優太も、優香も翔の帰還を喜んでいた。徐々に戦線を押しこんで行く。
「よし、押し返すぞ!」
翔達は最前線へ突入した。
―デバステーター旗艦
「押されているだと……!?」
マップ上では次々と味方機のマーカーが消えていく。
「あの戦力差を覆すだと…。馬鹿な、有り得ない。」
一際目立った戦果を上げているのは、翔達だった。
「おのれ……これ以上は……。」
司令官はパネルを操作し、特殊区画の封印を解いた。
「私も出撃する、後は任せた。」
専用エレベーターに乗り、司令官が降りて行った。
―「ターゲットロック確認。出力安定。行けますわよ。」
「了解……行け!ヒームリッパー!」
アルトリッターの背部からビームを纏ったカッターが無数に飛散し複数の敵を同時に薙ぎ払う。
「ゴーバトラーは?」
「あそこです!」
アルトリッターがフルスロットルで前線に突撃する。
「翔様!」
時羽が操縦権を小九郎から奪い、そのままの勢いで体当たりをするようにゴーバトラーに抱き着いた。
『あがぁっ!?』
翔と小九郎が同時に呻く。
「あっ……。」
慌てて翔を解放する。
「そそっかしいなぁ……。」
翔が冷や汗を流しながら言う。
「も、申し訳ありません……。」
時羽が赤面しながら下に俯く。
「あの〜……お二人ともそこまでにしないと……。」
「小九郎、なんですの?」
「敵が目の前まで迫ってきてるのですが……。」
『えっ!?』
気が付くと、バレントの一群がすぐそこまで接近していた。
「操縦権をこちらに。翔、いけるな?」
「もちろんだ。」
ゴーバトラーがショットガンに弾を装填する。
「行くぞ。」
そのまま戦闘に突入した。
―「数が減った気がしないな。」
ブレードに残った細かな残骸を振り落としながら翔が呟く。
「確かに、さすが本隊と言ったところか。」
大型ガトリングガンの弾倉を変えながら小九郎が返答する。
「一気に決めるか……。」
そう言って、翔がコンソールを操作すると、ゴーバトラーの近くで支援をしていた戦闘機が敵部隊の固まっているところに向かって飛んで行った。
「ローダーフェニクス!全砲門一斉掃射!」
翔の命令に従い、謎の戦闘機……ローダーフェニクスは、側面のミサイルランチャーや機銃、ビームキャノンを発射した。
「なんて火力なの……。」
射線軸上のバレント部隊は、ほぼ破壊され、残存機は母艦に向かい撤退しはじめた。
「小九郎!」
「了解だっ!お嬢様、いきますよ。」
「えぇ、宜しくってよ。」
アルトリッターの胸部が展開する。
「出力上昇……エネルギーバイパス接続確認……ターゲット、ファイナルロック!」
「受けなさい!」
胸部から放たれた一陣の光が敵の空母の一隻を貫き、爆散させた。
―その頃撃銃夫。
「そろそろ終わんないかな……。」
まだ、システムが書き変わり終わらず、身動きがとれない。
「動けぇぇぇぇぇっ!」
「コンプリート。」
「はっ!?」
コンソール画面が戻り、撃銃夫が再起動する。
「掌撃王!今のは?」
「しばし、お待ち下さい……新たなモードが設定されています。」
「何だと。」
「特殊モード"FLUSH"……どうやらリミット解除コードの様です。」
ピロンッ。
「メッセージを発見。」
「再生してくれ。」
「御意。……この力が悪用されない事を祈る。力の奮い所を見誤ること勿れ。」
「成る程、……使ってみるか。」
「御意。コードFLUSH起動。」
コードを発動させた瞬間、撃銃夫が赤く輝きだした。
「機体の周囲に大量のエネルギーを確認。吸収しています。」
「これってあの時のゴーバトラーと同じ現象か?」
「おそらくは。OTZユニットの稼働率が著しく上昇しています。」
「よし、一気に行くぞ!」
「御意!」
宇宙を貫くように一筋の紅い光が駆け抜けた。
―「はあぁぁぁっ!」
ゴーバトラーの高周波ブレードがまた一つ敵艦の動力部を破壊する。
「次は……?」
翔が次の敵艦に狙いを定めたとき。
「っ!?」
紅い光が敵艦を貫いた。
「何……だ……?」
光が近付いてくる。
「翔っ!待たせたな。」
「大!!」
撃銃夫はゴーバトラーの前で停止した。
「どうしたんだそれ?」
「お前とお揃いだ。一気に潰すぞ。」
「わかった。FLUSHモード起動。」
撃銃夫と同じようにゴーバトラーも蒼いエネルギーの塊に包み込まれる。
『うぉぉぉっ!』
蒼と紅、二つの光が平行に時には交差しながら戦場を駆け巡る。
「綺麗……。」
誰が言ったのか分からない言葉。だがそれは、戦場に居る友軍の意志を纏めたかのようだった。
―「友軍艦……全滅。」
デバステーター軍の旗艦は満身創痍だった。
「ミサイル発射管沈黙、主砲破損、機関出力低下止まりません!」
「総員退艦せよ。」
「指令!?」
ブリッジに響くデバステーター軍の指令の声。
「私が後詰めに入る。諸君はこの出来事を伝えてくれ。……"彼"の事、宜しく頼むぞ。」
「了……解……っ!総員退艦せよ!」
―沈黙した敵艦の前に立つファフニール、しかし、突如沈黙を破るように歪んだハッチを破壊して巨大な機動兵器が現れた。
「なんだぁ!?」
「凄く……大きい……。」
「脱出艇の発進を確認。」
「放っておけ、今は目の前の敵の対処が最優先だ。」
球体状の機動兵器は胴体から無数の砲門を引き出した。
「消えろ、劣等種!」
砲門から無数のホーミングレーザー発射される。
『うわぁっ!?』
次々と被弾していく機体達、翔達も自分自身を守る事で精一杯だった。
「FLUSHモードのチャージは?」
「まだです。」
「くそっ!翔、お前は?」
「こっちも無理だ。」
「私が行こう。」
刀撃神がドラグナーズフォートの甲板に立っている。
「UGフィールド展開確認。何時でもいいぞ。」
「お、おいおいまさか……。」
翔が予想した通り、ドラグナーズフォートの主砲が刀撃神を飲み込んだ。
「頼む!」
ビームに包まれた刀撃神が敵機に向かって特攻する。
「何っ!?」
高速で突撃した刀撃神が、球体を砕いた。しかし、その衝撃で刀撃神の機体も同じようにばらばらになる。
「隊長!」
「おのれぇぇっ!?」
残骸の中から現れたストラーグが動けない刀撃神の胴体を串刺しにしようとする。
「来い!ローダーフェニクス。」
ゴーバトラーが飛び乗ろうとしたその瞬間。
「そうそう忘れてた。」
「えっ……!?」
どこからとも無く声が聞こえた。そして……
「ローダーフェニクスが……合体した……!?」
ローダーフェニクスが変形し背中に接続される。
「バスターゴーバトラー、上手に使ってね。」
そして、ゴーバトラーを中心に空間が歪みだす。そして、歪みが消えた先にあったのは、見慣れたあの惑星だった。
「ここは……地球?」
「そうだよ。さあ、彼を助けないと。」
「あ、あぁ……。」
そして声が聞こえなくなる。
「ターゲット……ロック。隊長、生きていてくださいよ。」
ゴーバトラーの両肩に装備されたビームカノンが同時に火を噴く。
「うおぉぉっ!?無念、我等が星に栄光あれぇぇぇぇっ!」
敢え無く光の奔流に飲み込まれストラーグが消滅する。
「救助班、回収班!隊長の収容をする、待機しておいてくれ!」
翔が最大速度で救助に向かった。
―ドラグナーズフォート格納庫
「翔っ!」
珠香が翔に抱き着いた。
「うわっ!?」
続いて時羽、大地、アル、優太、優香、さらには連絡を聞いて駆け付けたミルファーナが次々と突撃した。
「むぎゅう。」
奮戦敢え無く下敷きにされる翔。
「死に上がりなのに元気だな。」
「隊長には言われたくない。」
政隆は奇跡的にあの状況で骨折だけですんでいた。無論機体はスクラップ寸前であるが。
「それはさておき、無事でよかったよ。」
「隊長にしては偉く優しい言葉ですね。」
「ほぅ、早速訓練がお望みか?」
「いえ、遠慮しておきます。」
格納庫に笑い声がこだました。
―「ゲートが勝手に起動しただと……!?」
ゲート監視官からの報告を聞き、政隆は驚きを隠せなかった。
「えぇ。そしてあなた方が帰ってきた。」
「時刻はあの戦闘機とゴーバトラーが合体した時か……。」
「やはり、あのシステムと密接な関係が……。」
「解析を急いでくれ。」
「了解。」
―蒼穹荘
「しょ〜う〜ちゃ〜ん〜。」
蒼穹荘では由紀子笑顔で待っていた。恐ろしいほど笑顔で。急いで帰ってきたのだろう、仕事の制服のままでいる。
「ねっ、義姉さん……。」
「あれだけ気をつけるように言ったのに。」
「……ごめん。」
そして……
「お兄ちゃんのぉ〜馬鹿ぁ〜っ!!」
凜がボディーに強烈な一撃を加える。
「レバッ!?」
星にこそならなかったが、ダメージは絶大だった。
「次こんな気持ちにさせたら殴るんだからね!」
「す、既に……殴られてるんですが……。」
「うっ……。」
「全く、お前はそそっかしいんだから。」
「あぅ……。」
ようやく後ろにいた面々が言葉を放つ。
「兄妹仲がいいのは分かったから、そろそろ中に入ろうぜ。」
『あっ!?』
「そっ、そうだな。」
次々と家の中に入っていく。
「あっ、そうだ。お兄ちゃん。」
凜が翔を引き止める。
「ん?何だ?」
「その……。お帰りっ!」
ちょっと気恥ずかしそうに。しかし、心から喜びを表現するような笑顔で言った。
「お帰り、翔。」
「お帰りなさい、翔君。」
「お帰りなさいませ、翔様。」
「翔、お帰りっ!」
「翔ちゃん、お帰り〜。」
「翔さん、お帰りなさい。」
「お帰り、真壁君♪」
皆もそれに続く。
「その……。」
翔も笑顔で返した。
「皆……ただいま!」
終わり
こんばんは、おはようございます、こんにちは、なはとです。
お待たせしました、天翔の逢翼最新話です。
何とか四月中にアップすることが出来ました←最終日ですが(滝汗)
さて近況報告ですが、部活の方で試合メンバーに選ばれちゃいました。また時間が無くなってしまいそうですorz
あと、最近知った事ですが、三点リーダ(…←これ)って二つセットで使うんですね。
今回の話から……になりましたが、過去の話も随時変更していきます。
さて次回は番外編……の予定です。
時期は五月から六月中旬を予定しています。見かけたらまたよろしくお願いします。(出来るだけ早く上げたいたいと思っています。)
それではみなさんまた次回でお会いしましょう。ノシ
追記1、もしかすると別の作品も投稿するかもしれません。
追記2、タイトルが抜けてたので、投稿から数分で(改)orz