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天翔の逢翼  作者: Nacht
24/42

第十五話: 三機目のOTZマシーン

はい、中旬ですね…orz。

では、どうぞ。

―お花見から二、三日経った頃。


―月―


ゴゴゴゴゴ


「地震か!?」


ここは月で最大の街オカリー・クリンゲ


「また隕石でも降ってきたか?」


「でも警報が鳴っていないよ!?」


「じゃあ、何なんだよ!?」


「しらな…。」


彼らの会話はここで途切れた。


この日月を襲った地震の原因は、臨時月政府の発表によると高速で飛来した隕石の衝突とされている。

隕石により破壊された街の中にオカリー・クリンゲも含まれていた。


―「…で、何で俺達が集められたんですか?」


「あの隕石群は偶然降ってきたのでは無い。」


「は?」


「あれらが降る前、月周回軌道上のサテライトが大規模な転移反応をキャッチした。」


「それって!?」


「ああ、デバステーター軍の仕業であると我々は見ている。」


「なら早く破壊しに行かないと!」


翔が声を挙げた。


「翔さん…どこにですか?」


「うっ…。」


「ははは、せっかちは治ってないな。」


「大…ひでぇ…。」


「無駄話はそこまでだ。今回集まってもらった訳は、お前達には月に行ってもらう。」


「はい?」


「月には、まだ救助されていない人もいる、ミッションはその人達を救助保護することだ。」


『了解!!』


「発進は今から三時間後だ、それまでに準備を済ませろ。」



―「月か…。」


「主、どうしたんですか?」


「少し前なら、全く縁の無い所だったのに、いきなり今回のミッションで行くようになったから。」


「戸惑ってるんですね。」


アルが無邪気に笑った。


「ん、まあな…。」


「大丈夫ですよ。私も初めてですから。」


「そり…ありがとう…。」


「?」


「しかし、お前と会ってからホント退屈しなくなったな。」


「そうですか?」


「ああ、毎日が激動だ。」


「…よかったのでしょうか?」


「何が?」


「あの日私が主を選ばなかったら、主は平和に暮らして…。」


「どころか、今こうしてお前と話すことすら出来無かっただろうな。」


「えっ?」


「お前があの日俺達を助けてくれたから、俺は今この世界にいる。その上、大切な物を守る力まで与えてくれた。」


「あのっ…その…。」


「ありがとな、アル。」


そういって翔はアルの頭を撫でた。


「〜〜〜っ。」


アルは真っ赤になって俯いた。



―「なあ、小隊長さんよぉ…。」


格納庫で機体の最終チェックを行いながら大地は翔に呼び掛けた。


「何だよ、大。急に変な呼び方して。」


「俺達やたら隊長に好かれていないか?」


「確かにな、合宿の時もしっかり絞られたし…。まぁ仕方ないだろ、戦力的に見ても俺達の小隊が最強だし。」


「その分厳しくなるか。」


「そういう事だな。」


「俺は何か裏があると思うんだ。」


「何かって何だ?」


「それは俺も知らないが、そんな気がする。」


「………。大の勘はよく当たるからな…。」


「まぁ、心に留めといてくれ。」


「わかった。」



―「いよいよだな…。」


カタパルトにシャトルが接続される。


「ドキドキしちゃいますね。」


「アル…不謹慎だぞ。」


「す、すいません…。」


「ふっ、冗談だ。俺もドキドキワクワクしてる。」


「ぷぅ〜。」


「悪い悪い。…時間だ。」


翔達と機体を載せたシャトルが物凄い勢いで加速していく。


「ぐぅっ…!!」

「うぅっ!?」


体に急激なGがかかり、翔たちは宇宙へ上がった。



―「これが…宇宙か…。」


モニター越しに宇宙が見える。


「星が…綺麗です…。」


アルも目を輝かしている。


「思った以上に静かだ…。」


「そうですね…。」


「騒がしいのもいいが、こういうのも…悪くは無いな。」


「はい…このままずっとこうしていたいですね。」


「そうは行かないがな…。」


「残念です…。」


そして、シャトルは減速を開始し、再び急激なGが二人を襲った。


「そ…そろそろ到着か…。」


「はいぃ…。」



―月の大地に降り立った翔たちの前にあったのは、歴史の教科書で見たような開発前の月そのものだった。


「こいつは酷ぇな…。」


「隊長ここは?」


「月最大の都市だった、オカリー・クリンゲ…その跡地だ。」


「廃墟しかないな。」


「そうですね、大さん。」


「私、こういうの苦手だなぁ。」


「優香が?似あわねぇ…化けて出ても迷わず殴り飛ばしそうなくせに。」


「翔…お化けより先にあんたを殴るよ。」


「ごめんなさい…。」


不意にビルの残骸が崩れた。


「ひぃえぇっ!?」


アルが素っ頓狂な声を上げた。


「ははは、アルちゃんは怖がりだな。」


大地が笑う。


「アル、生命反応は?」


アルは、恐怖に震えつつセンサー類を操作して答えた。


「い…今のところありません。」



―それでも、生き残ったシェルターが無いかを探しはじめる。


「翔。」


「何ですか?」


「この街…オカリー・クリンゲだったかな?は、どんな所だったのか知っているか?」


「月で最大の貿易港だったとしか聞いてませんが…。」


「そうか…。」


「どうしたんですか?」


「ゲートの話はしたな?」


「はい、地球と他の星系を繋いでいるという話ですよね?」


「ああ、今、我々が使っているゲートはこちらが用意した仮設ゲートなのだが、地球にも本来有るはずなんだ。」


「それで?」


「今、微かだが転移反応があった。」


「いや…それって…。」


突如上空に隕石群が現れた。


「まずい!各機散開!」


政隆の命令で散り散りになる。


「生き残ったシェルターがあるかもしれない、各機は出来る限り迎撃してくれ!」


『了解!』


しかし、単体の火力は高いといえ空を覆い尽くす隕石郡には敵わなかった。


「なんて数だ!」


既に地形は隕石だらけで街の跡を覆い隠していた。


「くそぉっ!」


「反応増大!大きいのが来るぞ!」


転移してきた隕石のサイズは直径10kmを越えていた。


「でかい!」


ゴーバトラーが胸部を展開しビームを放った。


「うぉぉっ!」


しかし、そのビームも表面を焼くだけで効果が無かった。


「洒落になんねぇぞ!?」


「…皆聞いてくれ。」


不意に優太が発言した。


「何だ?」


「あれほどの巨大隕石が落ちてきたら、月は周回軌道から外れるだろう。」


「それで?」


「この月の後ろにあるものは?」


「地球…まさか!?」


「こいつの軌道を反らすか破壊しない限りは、地球は壊滅の危険にさらされる。」


「そう言ったって私たちの最強呪文でも駄目だったじゃないの…。」


「あの…。」


「どうした、アル?」


「一つだけ手があります。」


「本当か!?」


「はい…。」



―「…接続完了。」


ゴーバトラーに各機から動力ケーブルが接続される。


「主、一発です。それ以上は機体が持ちません。」


「わかった。」


再度ゴーバトラーの胸部が展開される。


「翔。」


撃銃夫がゴーバトラーの後ろに周り支える。


「俺達が付いてる、安心して撃て!」


「大…ありがとう。」


ゴーバトラーの胸部ユニットにエネルギーが収束されていく。


「チェストスマッシャー・フォーカス!行っけぇ!!」


「いつの間に技名を決めたんですか?」


「今だよ。って出力調整頼むぞ!」


「お任せください。」


自信の放ったビームの熱で少しずつ溶けてゆくゴーバトラーの装甲。軋みだす全身のフレーム。


「おおーっ!」


撃銃夫も腕や脚からスパークがはしっている。それでも隕石は方向を変えない。


『まっけるもんかぁ!!』


不意に二機の出力が跳ね上がる。


「何だ!?」


「この感じ…初めてこれを撃った時の。」


「これは…システムが…完全に起動したのか。」


「翔!これなら行けるぜ!」


破壊こそできなかったが、翔たちは隕石を反らすことに成功した。



―月の地下


《システムノハンノウ…カクニン…。コレヨリ…フジョウスル…。》



―「何とかなったのか…?」


「そう…ですね、隊長。」


「優香…声が震えてるよ…。」


「そう言う優太だって…。」


「翔、大地動けるか?」


「何とか…。」


「翔に同じー。」


「なら帰還するぞ…。」


ゴゴゴ…


「なっ何だぁ!?」


「地震?」


そして、地割れがおこり中から中央に巨大なリングを浮かべた巨大施設が現れた。


「これは…間違いない…ゲートだ!」


「これが…。」


「よし、調べて見よう…。」


『了解!』



―「ロームさん、なにか分かりましたか?」


「取り敢えず今回の事件の犯人はわかった。」


「奴らじゃ無いんですか?」


「ああ、犯人はこの施設だ。」


「な、なんだって!!」


「優太…もういいから」


優香がペシッと叩く。


「メインコンピュータの作動記録を確認した所、隕石の降った時間とゲートの起動記録が一致していた。」


「じゃあ…本当にこの施設が?」


「ああ…。…これなら本国に直接飛べる。」


「え?」


「解析班を連れて来る。」


「ちょ?ロームさん?」


「どうしたんだ、翔?」


「展開が早過ぎません?」


「済まない…気が急いでしまった。轟隊長、両国の更なる結び付きのためにここは一時帰国と調査の許可を…。」


「…ファフニール隊長として命令を下す。緊急時特権を行使し、我々第一機動部隊はアヤガン王国を緊急訪問する!」


「緊急時…ものは言いようか。」


「…だな。」


「…ですね。」



―「座標セット完了。ゲート起動!」


「ファフニール、出撃!」


シャトルがゲートに飲み込まれていった。



―アヤガン王国研究衛生"フェノメナ"


「事情は理解した。許可しよう。」


「ありがとうございます、国王様。それと、既に地球側は受け入れ準備を初めております。」


「わかった、こちらも急がせよう。」



―「君達に見せたいものがある。」


研究所の職員が翔たちを集めて話し出した。


「何ですか?」


「我が国の切り札だ。ついて来てくれ。」


研究所の最深部にあった物は。


「これは…?」


「我々が保有するOTZマシーン…ヴァルディア」


「ヴァルディア…。」


「コアは外して研究に使っているため、今は動かないが。緊急時にはコアを戻し戦闘に参加できるように整備されている。」


「オリジナルの割にでかくないか?」


「俺達のよりも隊長達の機体に近いな。」


「私達だけ小さい…。」


「はぁ…。」


「気を落とさないでください。」


「どうしてこれを俺達に?」


「今は実験のためコアを搭載していないが、君達なら自分の機体との共通点があるか気づくのではないかと思ってね。」


「共通点…。」


「アル、俺達の機体だけでの共通点は?」


「他の機体より全高が低いこと以外は出力も含めてスペック上の共通点はありません。」


「…共通点が無いことが共通点とか?」


「…その考え方は無かった…。今度はその方向から洗い出して見よう。」


「マジですか?」


「…なぁアルちゃん、彼等って思い立ったら全力で突っ走るって特徴でもあるのかな?」


こそっと大地が言う。


「そうかも知れませんね…。」


アルもこそっと答えた。



続く



―次回予告


翔です。

前回の予告が余計なことを言ったせいで、今回俺には発言権がほとんどありません…。何でだ!?


次回、天翔の逢翼

最悪の結末


…………もう嫌だこの役!


どうも、今回も読んでいただきありがとうございました。

いきなり一週間の合宿とか言う試練にぶち当たってしまい、全然執筆できませんでした…orz

しかも前回、次回予告でネタばれしかける失態をしてしまったので、予定を変更して先にあっちを出してしまう形にしてしまいました…。

○×△の活躍はもう少し先になりそうです…。

次回は一カ月後の七月中旬ぐらいに上げる予定です。


ではまたノシ


読み返すと一部が変になってました…orz

今回は修正一部セリフを直しただけなので本編は大きく変わってません(当たり前だろ!)

すいませんでした(土下座[ドドド])

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