番外編第二話:突撃!地獄の三丁目、その2
ケルベロスと共に空の彼方に消えた優太と、敵の中に取り残された優香の運命はいったい!?
―優太は遥か上空で杖に跨がっていた。
「ここはどこ?」
「優香のところに戻らなきゃ。」
「!!あれは!?」
―「こんな奴ら相手に一人でもつ訳無いじゃないの!」
優香は善戦したが、全身傷だらけで、ぼろぼろだった。
「まだざっと見て百はいるかな。頼みの綱は空の彼方、覚悟決めた方がいいのかな…。」
魔物達はじりじりと迫ってくる。
「ってそんなに諦めは良くないわよ、私は!神でも悪魔でも構わない!私に力をよこせ!!」
願いは天に届いた。障気に包まれた空から光が真っ直ぐに優香を包み、天から剣が舞い降りた。
「け…剣が喋った。」
「エンジェルティア?」
「そこまで大袈裟な事言ったっけ?」
「強引だなぁ、まあそういうの嫌いじゃないけど。」
優香が剣を握った瞬間剣がまばゆく光り輝いた。そして、おもむろに何かが飛び出し、優香の額にクリーンヒットした。
「痛い!」
「ふーん、何々、フレアと、イクスカリバーね。じゃあまずはフレアでいってみようかな。」
優香はフレアのカードを差し込んだ。
「行きますか!エンティー!」
「長いから言いにくい。」
「異論は無いみたいね。そーれ!」
いくらかの魔物が消し飛ばされた。
「ふーん。なかなかの威力ね。次はイクスカリバーにして見ようかな。」
イクスカリバー、かのアーサー王が使ったとされる最強の宝剣。それが描かれたカードを差し込んだ。
「なんかピカピカ光ってゴージャスな感じね。」
優香は目の前の一匹を叩き切るつもりだった。しかし、剣を介して放出された優香の膨大な魔力は辺りの魔物を巻き込み、その辺一帯を吹き飛ばした。
―「!!すごい魔力の量だ。上昇するよ!」
間一髪、優太はイクスカリバーの一撃を回避した。
―「………」
後に残ったのは、大規模な破壊の後だった。
「こっちの心臓も止まるかと思ったわよ。」
向こうから声がした。
「おーい!優香、大丈夫?」
「遅いよ、もう終わっちゃった。」
「やっぱりさっきの優香だったんだね?その剣は?」
「私の相棒になった、エンティーよ。」
「もうそれはいいから。」
「でも、優香。その恰好はどうかと思うよ。」
度重なる戦闘の結果、優香の服はぼろぼろになり、破けた箇所から素肌や下着が見えていた。
「!!…こっちを見ないで!」
「逃げるよ、ケルベロス!」
「待ちなさーい!空に逃げるなんて卑怯よ!」
また、エンジェルティアが光り輝いた。
「あれ?私、空飛んでる?」
優香の背中から羽が生えていた。
「これで優太を追い掛けれるわ…」
ぼふっ!っと優香に何かが当たった。
「ごめん!とりあえずこれを着て機嫌直して。」
「もう仕方ないな。」
「カードってあれだけじゃないんだ。」
「ふーん。」
―「どうするのこれから?」
「これから、杖を取りに行くんだろ?」
「君は門の番をしないと。」
門には何故か一回り小さいケルベロスが待機していた。
「…何?あれ…。」
「優香の杖はどうするの?それになるのかな?」
「宝剣だし問題無いと思うよ。帰ろっか。」
「そうだね、もうくたくただよ。」
―「遅かったね、いったいどうしたんだい?」
「ちょっといろいろありまして」
「君達の杖は?」
「僕のは、ケルベロスです。」
「私のは、エンティー。」
「地獄の番犬に、伝説の宝剣か、すごいものを手に入れてきたな。」
「驚かないのですか?」
「課題自体はクリアして来ているからね。神か、魔物と契約し、変化した杖を持って帰る。」
「エンティー!あなた、神だったの?」
「取り敢えずこれで君達も、Sクラスの魔術師だ。」
「じゃあ、処罰は無いんですね!」
「ああ、後は我々に任せてくれ。」
「やった!」
「よかったね、優太。さあ、お茶にしましょ。もちろん、優太のおごりで。」
「そんなぁ。…まぁ、今日は優香のおかけで助かったし良いか。」
「やったぁ!優太、大好き!」
「現金だなぁ。」
ちなみに、このあと、優太は財政難に陥ったという。
終わり
今回も読んでいただきありがとうございました。長らくお待たせしました番外編です。
さて気づいた人は多いと思いますが、メインタイトル変わっています。実は、昔に同名の漫画が発売されたいました。まったくもってこちらの落ち度です。下調べが完璧に出来てませんでした。今後はこのような事が無い様に気をつけていきたいと思います。
次の話は今月末には書きあげる予定です。
では、また次の話も読んでくれることを願います。