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天翔の逢翼  作者: Nacht
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第七話:ファーストコンタクト、その2

―放送の翌日。異星人に関する全ての情報が公開され、翔たちの部隊も軍の新型機開発プロジェクトとして公式に発表された。


そして、


「お義姉ちゃん!見て!お兄ちゃんが…。」


「もう、凜ちゃん。あなたも受験生なんだから、そんなもの見てないで勉強しなさい。翔ちゃんと同じ高校に行くんでしょ?」


「いいからこれを見て!ほら、ここにお兄ちゃんが、パイロットとして紹介されてる。」


「あら、翔ちゃん。一体何をしているのやら。」


真壁凛(まかべりん)、翔の妹で中学三年生、義姉の仕事の都合で、翔のいる地区とは違う中学校に通っている。


「お義姉ちゃん。お兄ちゃんが心配じゃないの?軍だよ。しかもパイロット!」


「心配じゃないっていえば嘘だけど、翔ちゃんはしっかりしてるから、きっと納得した上でいるんだと思うわ。」


藤宮由紀子(ふじみやゆきこ)、翔たちとは親同士の付き合いだった。しかし、双方の親が、宇宙で事故に会い行方不明になった後に、身寄りの無かった彼女は、翔たちの祖父に引き取られた。去年、大学を卒業し、そのまま外務局に入り家計を支えている。尚、祖父は二年前に他界している。


「お義姉ちゃん…。」


「だから信じましょ。翔ちゃんが無事でいることを。」


「うん。…ところでお義姉ちゃん。何でそんな大荷物を持ってるの?」


「調印式が明日に決まったから、今日から泊まりで会場準備なの。明日は、式の進行役と、調印作業の手伝いがあるから、帰るのは遅くなるね。」


「へー、外務局ってそんな事までするんだね。」


「ってことより異星人相手の機関が無いからこれも外務に入れてしまえって事みたい。」


「ふーん。気をつけてね。行ってらっしゃい。」


「行ってきまーす。」



―翌日、地球圏統一国家、会議場前の空港に、シャトルが着陸した護衛は真紅のバスクード・カスタム一機だけである。


「ついに来たか…。」


シャトルのドアが開き、ミルファーナを先頭に大使団が現れた。


「女の子ではないか。」


地球の首脳陣にミルファーナが挨拶した。


「はじめまして、地球の皆様。私は、アヤガン王国の王女で、本件の全件大使を任されている、ミルファーナ・ヴァン・フォンブライトです。こちらは、私の補佐の…。」


「ローム・マイゼンリッチと申します。よろしくお願いします。また、ここに至るまでの数々の無礼、部下の分も含めて謝罪します。」


「はじめまして、ようこそ、地球へ。私はあなた方の案内と式の進行役を勤めさせていただく、宮藤由紀子です。こちらが…。」


地球側の挨拶も終わり、会見と調印も滞りなく終わった。



―調印式の後、ロームがゴーバトラーを指差して尋ねて来た。


「ところで、あの機体のパイロットと会うことは出来ないのかな?」


「私は、軍部の人間ではないので、…轟さん?」


「後で本人に聞いてみますので、部屋で待機していてください。」


「分かりました、よろしくお願いします。」



―「と言うことなのだが。」


「副官さんが俺を?…わかりました。会ってみます。大丈夫でしょうかそんなお偉いさんなんかとあっても…。」


「向こうが指定して来たのだから問題ない。それに私も立ち会うから心配するな。」


「了解。…ありがとうございます。」



―「はじめまして、と言うべきなのかな?この場合。」


「あの…失礼ですが、どこかでお会いしましたっけ?」


「悲しいな、私はあの敗北を一日たりとも忘れたことは無いというのに。」


「えっと、その声は…確か…あっ!最初に俺が戦った人か。名前は、オームさんでしたっけ?」


「ローム。ローム・マイゼンリッチだ、これからは覚えておいてくれ。」


「す、すいませんでした…。」


「君の名前は?」


「あっ、はい。真壁。真壁翔です。」


「君は見たところ学生のようだが?」


「あの日あなた方の攻撃で校舎が半壊したので、今は休校しているんです。」


「それは済まないことをした。いつ頃復旧するのかわかるかな?」


「確か来週ですね。」


「ありがとう。…そろそろ時間だ、呼んでおいて済まないが、そろそろ失礼させていただく。最後に君と決着を付けれなかったのが残念だが、またいずれ縁があったら会おう。」


「さようなら、ロームさん。」


「さらばだ、真壁翔。今日は会えてよかったよ。」


その時、ドアがノックされた。


「ローム、そろそろ時間ですよ。」


「分かりました、姫様。」


ロームが、部屋を出るとき、一瞬だけ王女と目があった。


「翔、我々も退室するぞ。…翔?どうした、ぼけっとして。」


「あの娘、どこかで?」



―「彼は、もしかして?」


「どうしました、姫?」


「い、いえ。何でもありません。」


《どうしよう、声をかけておけばよかったかな。今からでも間に合うかな?でも時間が…。》


「っ!姫!前っ!」


「へ?」


ごつん!


「痛ーい!」


ミルファーナは柱で頭を打ち、尻餅をついた。


「姫、大丈夫ですか?」


「ええ、大丈夫よ。」


「考え事をするのはよろしいですが、周りにも気を配らないと。」


「………」


「どうしました?もう、シャトルが発進する時間です。急ぎましょう。」


「わかってます。でも…、」


「交流はこれから始まるんです、だから、今回は国王様に報告する事が大切なのでは?」


「…ええ、そうね。あなたの言う通り。さぁ、行きましょう。お父様の元へ吉報を届けに。」



―ファーストコンタクトは何事もなく終わった。

しかし、あの一瞬の出会いは、二人の心に何かを残していった。



次回予告

凜です。明日は私の入学試験。お兄ちゃんと同じ学校に入るためにも、頑張らなきゃ。

えー!何でこんな大事な日に限ってあいつらは来るのよ!

次回、真壁凜、危機一髪!

絶対にお兄ちゃんと同じ学校に通うんだから!


頭より少し遅れてしまいましたが第七話です。次は、番外編になると思いますがそちらもよろしくお願いします。

尚、話の最後にある次回予告は、あくまで予告であって、次話によっては変わることもありますので、ご了承下さい。

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