第六話:試練と帰還者、その2
−絶体絶命の翔達。だが、救いの手は突如として差し延べられた。いきなり、上空に巨大な魔法陣が現れたのだ。
「主!上空に高エネルギー反応!空間が…歪んでいます。」
「優太。あれって。」
「いや、あれじゃない。それに学校内にあったどの本にもないよ。でも、あの構成はまさか…く、空間転移!?」
「また増援か?」
「反応上昇。来ます!」
魔法陣から現れたのは、ファフニールに所属するどの機体とも似ていない、綺麗な機体だった。
「か。」
「か?…どうしました、主?」
「かっこいい。ああいうのもいいなぁ。」
「…わ、私と言うものがいながら、あなたは!」
「こちらは、特殊部隊ファフニール隊長、轟政隆だ。貴公の名前と目的は何だ。」
「はぁ…ようやく地上に降りれたと思ったらまた戦場かよ。しかも同じ敵だし…。あー、俺の名前は…。」
「その声、まさか!松ちゃん先生!?」
「おいおい、誰だよ。せっかく人がかっこよく名乗ろうとしてるのに…って、何だ翔か、何やら物騒な物に乗ってるな。」
「先生こそ、何で?地割れに巻き込まれたんじゃ。」
「んーと、まあ細かいことは後だろ後。まずはあれ、どうにかしようぜ。」
「手伝ってくれるんですか?」
「かわいい教え子のピンチを見過ごすことは出来ないさ。」
「松ちゃん先生!すごく嘘っぽいです。」
「ほぅ。翔、通知表楽しみにしとけよ。」
「ご、ごめんなさい!」
「それはともかく、あれが聖霊王達が言っていた災厄だろうからな、契約した以上、あれ、排除しないと行けないんだ。」
「あの、先生?…聖霊王?…契約?…その機体に関係しているんですか?」
「んー、まあな。取りあえず、あれ片付けるぞ。」
「ヘっ?あの数どうするつもりですか?」
所詮、一機は一機、数の差は歴然のはずだった。
「契約の下、力を解き放て!ダイガイオー!」
突如、ダイガイオーの背後に、大型のユニットが召喚された。
「はい?」
「火の聖霊王イグランヴェルの名の下に、我らが敵を討ち滅ぼせ!…ビッグバンノヴァ!」
ダイガイオーの背部ユニットから大量の火球が吐き出された。火球はデバステーターに触れた途端に破裂し、さらに周囲を巻き込みながら爆発していった。
「おいおい、瞬殺かよ…。」
「先生!撃ち漏らしが。」
「問題ない。ウインディセイバー!」
一陣の風が吹き、ダイガイオーの手に収束していった。ダイガイオーは、そこから何かを掴んだ瞬間に加速した。
「あの巨体でなんてスピードだよ。」
目にも留まらぬ速さでダイガイオーが敵を切り裂いている。
「主、援護しないんですか?」
「無理言うなよ、見るだけで精一杯だって。」
「もう、終わってるぞ、翔。」
「あれ?」
浩昭が一息ついた。
「ふう、何とか終わった。」
「みんな、よくやってくれた、全機帰還してくれ。できれば、先生も。」
「いいですよ。」
−収容が終わった格納庫内で。
「先生〜。」
「翔、それに珠香、こんな所でも一緒にいるのか?…てか、ここは何処?」
「私の家ですわ、先生。」
「時羽、君もいるのか、…って君の家!?」
「ええ。」
「取り込み中すいませんが、松平さん、折り入ってお願いがあります。」
「いいですよ。」
『早っ!』
「部隊に参加して欲しいって事なんでしょう。こいつらの面倒見ないといけないですし、主に勉学、特に翔!」
「はい!」
「俺がいなかったからって、勉強サボっていなかっただろうな?」
「そっ、それはもちろん…。」
「ご期待に漏れず、サボってましたよ、先生。」
「なっ、珠香!いやっ、違っ。」
「ほう、翔。先生、詳しい話が聞きたいなぁ。」
「ごほんっ。」
「おっと、すいません。」
「では、参加してもらうということで。」
「ええ、いいですよ。」
「と言っても、合宿は今日で終わりなので、この地区に配属ということで。」
「了解!松平浩昭、ダイガイオー、これより貴公の指揮下に入ります。でも合宿面白そうだなぁ。」
「だったらもう一度合宿すればいいんじゃないですか?」
珠香が提案した。
「もう一度か…。確かに今回の事で練度の低いところがわかったことだから、やってもいいかもな。」
政隆は納得した。
「やった!皆これからよろしく。俺は翔達の学校で教師やってたから、勉強について聞きたいところがあったら是非来てくれ。専門は技術だが、どの教科も一応それなりに出来るからな。ちなみに、翔は今日から補習だ。」
「マジ?」
「マジもマジ、大真面目だ。サボってたんだから当然だろ。」
「珠香、覚えとけよ。」
「自業自得でしょ。」
翔は頭を抱えた。
次回予告
翔です。主人公なのに、最近扱いが酷いと思います。
次回は、ついに地球と異星人の初会合。星間同盟まで組むとかなんとかで、大忙し。
次回、ファーストコンタクト。
俺は誰とコンタクトする?アイツそれとも、あの子?
まず、遅れてしまったことをここに深くお詫びします。
十月の頭には次話を上げれるようにがんばります。