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ナイフとシャーペン  作者: れん
3/5

お節介者

玄関のドアを開けた瞬間、ジロウくんが尻尾を振りながら迎えてくれた。女の子はジロウくんから目を離さなかった。


"触ってみる?"


と女の子にジロウくんを渡すと、女の子は少し嬉しそうに抱っこした。


"どうぞ、入って。"


私はリビングの方に手招いた。

女の子はジロウくんを抱っこしたままついてきた。リビングのソファーに座らせ、お水を持っていくと、女の子は突然、


"あのう…失礼かもですけど…男じゃないですよね…?"


と聞いてきた。


"そうだよ。"


"ごめんなさい。やっぱ帰ります…"


"どこに?"


女の子はジロウくんを優しく床に降ろしながら、


"他のところに…"


"どうして?男じゃないと嫌なの?"


と優しく聞くと、


"そうじゃないけど…"


と複雑そうな顔をして言った。


"私、見ての通りレズビアンだよ。"


と言いながら財布から1万円を取り出し、女の子に差し出しながら、


"はい。男なんてろくな奴いないよ。とりあえずここで泊まりな。変なことしないから"


と笑いながら言った。


"迷惑じゃないですか…?あと…本当に何もしないですか…?"


"全然。寧ろありがたいくらいだよ。昨日彼女と別れたばかりだから、ひとりだと何をしだすかわからないからね。てか、犯罪者になるのはごめんだからね。何もしないから安心しな。"


"そうなんですか…ありがとうございます。明日すぐ出て行きますので!あと、これ要らないです…"


女の子は一万円を申し訳なさそうな顔をして返そうとした。


"いいのいいの。それより、何で家出なんか?"


"…"


事情を聞いた途端女の子は少し泣きそうな顔をした。


"よしよし。言いたくなかったら無理して言わなくていいからね。"


"…したんです。"


すぐにでも泣きそうな声で言った。

私は聞き取れず、


"うん?"


と返すと、


"妊娠…しちゃったんです。彼の…"


涙を流しながら抱きついてきた。

私は女の子の頭を撫でながら泣き止むまで待った。

ようやく泣き止み、女の子は話を続けた。




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