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サイコ×ロジック  作者: 独楽
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-006-




 会議が終わり、皆を見送ってから通信を切る。

 いくつもの光を点すコンパネを前に、羽衣絹糸は震えながらため息をついた。

 目の前には巨大なモノリスがあった。

 海上都市の真下――海底に設けられたプラント。

 それはまだ記憶に新しい、ポートシティ違法生物事件の舞台となった場所だ。


「……高度AI、『触媒』……」


 絹糸は彼方を見上げる。

 電気によって膨大な思考を行う機械の『脳』。

 いまは落とされ、稼働こそしていないが、目の前にある巨塔は海底プラントを統括し、未来の人類にとって有用になるだろう試験的な実験を行っていた。

 多少の邪魔は入ったが、結果は概ね良好だ。

 想定以上、とは言えないにしても、“書き加わえる水準には達している”。

 情報のお取り寄せが必要だった。

 幸いと、ここなら人目につく心配はない。


「≪真紅の絹を織る者≫」


 言って、右手を掲げた。

 その指先が触れる空間が淡く光り、光が次第に波紋状に揺れ広がっていく。

 絹糸が虚数臨界をこじ開けて造り出したのは、別の虚数界面に繋がるバックドアだ。作用量子定数が崩れた穴の向こう側には、白と黒のモノクロノームの世界が広がっている。一歩踏み出せば、この世界から踏み外すことになる。

 やがてバックドアが小さくなり、光るミシンのカタチになった。

 絹糸は赤い糸を伸ばし、『触媒』へと繋ぐ。



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