現実解離
ゆるゆると僕は堕ちていく
いつから諦めたのだろう
しがみついて血が滲む掌
残酷な無関心に突き放されて
水面下から見上げた世界は
風に歪んだ蜃気楼のように
僕は置き去りにされたまま
脳を刺す耳鳴りに酔い
思考は解離して
口を開いても音は出ない
陸に上がった魚みたいに
ただ酸素を求め喘ぎ
言葉を失くした空っぽな僕には
繋ぎ止める声すらもなく
遠ざかる
熱に浮かされた眼球
視界は色違いの世界から剥がれ落ちて
平衡感覚は狂ったまま
世界はチカチカと点滅
黄色はもうすぐ赤色に
ああでももう間に合わないよ
遠い残響は耳の奥
鈍い痛覚を引き摺って
冷たい悪夢がかすかに疼き
耳を塞ぐ
膝を抱え
為す術もなくただ
僕は
堕ちていく