子供扱い
こんな流れ滅多にないですね。
「ごめん・・・ありがとう。飲みすぎはよくないよね。もうこの辺で大丈夫だから浩二も先輩もすいませんでした。」
そう言って良太は一人暮らしのアパートの階段を上がっていった。
僕と先輩は良太と親しいこともあり、サークルの打ち上げで飲みすぎた良太を家に送っていったところである。
「浩二くん終電あるの?」
先輩は時計を見ながら僕に聞いてきた。
サークルの中でもアイドル的存在の先輩だが、ちょっと性格的にきつい部分があるからか、彼女を口説き落とす人はいない。
僕も先輩のことを気にはなっていたが、ただのひそかなファンというだけである。あわよくば何かあればいいなと少し期待もなくはないが・・・
「あーちょうど今なくなりましたね。漫画喫茶かどっかに泊まりますよ。」
僕は苦笑しながら答えた。良太を送って行った時はあまり気にしなかったが、いざ帰れないとつらいものである。
「ふーん。じゃあ・・・うちくれば?」
先輩はまるで今日の夕飯はどうするの?と聞くかの様に自然と言い放った。
「・・・え?」
僕は唖然としてしまった。
「うち近いから泊まっていけば?」
・・・この人は男を泊めるということがどれほど危ないことかわからないのだろうか?
どれほど男を勘違いさせることなのかわからないわけじゃない・・・はず・・・なのだが・・・
こんなに美人な先輩なら言いよってくる男も多いはずである。
だが、今僕は先輩に家に来てもいいと誘われている。
期待・・・してもいいのか・・・?
「浩二くん別に何もできないでしょ。」
先輩はまた自然と言い放った。軽く笑みを浮かべている。
(あー釘を打たれた。)
と僕は思わざるを得なかった。
「・・・行きます。」
何もできないというところは触れずに、行くということだけ答えた。
先輩の家は良太の家の最寄り駅から2駅隣だった。
ガチャ
「いいよ入って。」
僕は促されるままに先輩の家に上がった。
女の人の家の匂いは、なぜこうも良い匂いなのだろうか。と思うほど甘い香りで包まれていた。強い香水の匂いではなくシャンプーのようなリラックスさせる香りだった。
「そこらへんで寝ていいよ。」
ちょうど一人は横になれるくらいのソファを指差しながら先輩は言った。
「あたしは自分のベッドで寝るから。・・・浩二くんにはあたしのベッドはまだ早いかな~」
また微笑しながら言われた。僕は完全になめられている。
だが僕も負けず嫌いな気持ちが働いたのか・・・まだ酔いが残っていたのか・・・
「・・・別に早くないと思います。」
苦しそうに・・・しかしはっきり答えていた。
僕の心臓はありえないくらいに鼓動を打つ。
「・・・ふーん。
・・・じゃあこっちくれば。」
もう脈が速すぎて、息苦しかった。自分の鼓動だけがうるさい。
心臓の鼓動を気づかれまいと、僕はゆっくりと起き上がり、先輩のベッドに座った。
一息ついて
「・・・僕はそんなに頼りないですか?」
「・・・」
「先輩から見たらただの子供ですか?」
「・・・」
何も返事がない。
僕はただ遊ばれてるだけなのだろうか。先輩にとってはちょっといじってみたいだけのただの後輩なのだろうか。
僕はベッドには入ったが、端で先輩の方を見ないように横に寝た。
「・・・邪魔だったら言って下さいね。」
ただ遊ばれてただけなんだと自分で納得して、僕は寝ようと思った。
・・・はぁーー
先輩は大きくため息をついた。
そして深呼吸したかと思うと・・・
「・・・邪魔なら家に呼ばないから。」
「・・・え?・・・」
いったいどういう意味だろうか・・・
僕が混乱しているところに、とどめの一撃を先輩は言い放った。
「・・・ただの後輩じゃないってとこ見せてよ。」
・・・それから僕は朝まで先輩に没頭した。
・・・先輩に夢中になった。
それからのことはあまり覚えていない。
でも・・・先輩は最後に
「・・・今日だけだよ。」
先輩は僕を悲しませる天才だ。
やはり僕は遊ばれたのか・・・。
やっぱり年上ってずるいです。でも惹かれます。




