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プロローグ 停戦の果てに

世界は、二つに割れている。


光に満ちた《人間界》。


そして、闇と瘴気に包まれた《魔界》。


かつて両者は血で血を洗う戦争を繰り広げた。


空は裂け、大地は砕け、

英雄は散り、怪物は吼えた。


だが、その戦いは唐突に終わる。


先代魔王と、当代人間王。

両者が交わした“契り”。


それは勝敗なき停戦。


表向きは平和。


だが実際は、

いつでも再燃しかねない緊張状態。


人間は怯え、

魔族は牙を研ぎ続ける。


そして今。


魔界。


漆黒の城の玉座は、空いていた。


先代魔王はすでに崩御している。


だが後継は決まっていない。


魔王軍は強大だ。


オークの軍勢。

ヴァンパイアの貴族。

ゴブリンの群れ。

異形の者たちが集い、対人類のために存在する軍団。


しかし――


王なき軍は、ただの暴力だ。


均衡は崩れかけていた。


人間界では討伐の機運が高まり、

魔界では内部抗争の火種が燻る。


このままでは、戦争は再び始まる。


誰もがそう思っていた。


だからこそ。


その日、玉座に座った“少年”を見たとき、


魔族たちは震えた。


黒衣を纏い。


静かに目を閉じ。


一言も発さず。


ただ、そこに座っていた。


魔力は感じられない。


底も知れない。


その沈黙は深淵のようで――


誰も、真実に気づかなかった。


その少年が、


魔法も使えず、

剣も握れず、

戦えば一瞬で死ぬ、


ただの人間だということに。


これは、


最弱の少年が


“最強を演じ続ける”物語。


停戦の均衡を揺らすのは、


覇王か。


それとも、


震える一人の17歳か。

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