アラサー女子のクリスマス晩御飯
ガタンコドン、ガタンコドン、ガタンコドン……
電車に揺られながら、私は他の人と同じように、スマホに目を落としていた。
私の名前は、佐藤志津香。システムエンジニアとして働く、32歳のアラサー女子。
まあ女子と言える年代では無いかもしれないけれど……
ピコン!
あ、通知音鳴った、誰から?
私はスマホのメッセージアプリを開き、「1」と書いてある連絡先……高校の同級生である、栞とのメッセージ画面を開いた。
『本日の晩飯通知タイム!晩御飯に悩める佐藤志津香さんのために、クリスマス特別料理通知しますよん!この料理からインスピレーションを!』
栞の陽気なメッセージの下には、誰が見ても料理好きと分かる、本格的なステーキが並べられた机に座る、栞、栞の旦那さん、栞の子どもが写っている写真が添付されていた。
あ、そういえば今日クリスマスだったんだ、忘れてた~……
そしてやっぱり栞は料理が上手すぎる~……
さて、私は何を食べますかねぇ?
…………うわっ、見れば見るほど、ステーキ……いや、なぜかチキンが食べたくなってくる……!!!!
決めた…………今日は贅沢! ケンタッチ―でチキンを買って家で食べる! これだこれ!
私は心の中で拳を握った。
「暁月駅、暁月駅、お出口は、左側です。」
ピンポーンという音と共に、電車の揺れが止まり、ドアが開く。
あ、着いた、ナイスタイミング!
私は電車から降り、近くのケンタッチ―でチキンのクリスマスボックス一人用を購入して、マンションに帰った。
手洗いを済ませ、パジャマに着替え、先ほど買ったケンタッチ―クリスマスボックスを開ける。
ほわぁ~ん…………最高の匂い………
仕上げにストックしてある缶ビールをテーブルに置き、最高の晩酌の準備が整った。
私は食べる前にスマホを取り出し、テーブルに置いてあるケンタッチ―チキンと缶ビールを写真に撮り、栞にメッセージを送る。
『こっちも負けてないぞ!!今日の晩御飯は最終奥義のケンタッチ―です(#^.^#)』
そしてその後、さっき撮った写真を送る。
『最終奥義使っとる!?負けるわ!(笑)』
栞から秒で返信が来る。
ふふ、クリスマスはケンタッチ―の右に出るものはあまりいない、多分。
私はニヤニヤしながら、チキンにかぶりつく。
料理は出来ないけれど、これも幸せなごはんの形だ。




