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022.アマレティ・ショコラーデ

 艶やかな黒髪ウェーブの隙間から覗く、亜麻色の巻き角。紫水晶のように妖しく輝く瞳と、眠たげな眼差し。

 ボディラインを強調する漆黒のドレスは、胸元を大胆に開いていた。

 コーヌ族特有の豊満な渓谷。

 そして刻まれた深いスリットからは、しなやかな太腿――。


 

「しゅばらしい……」

「はぁ?」


 清楚系のミルフィや、アクティブ系のパーレットには全く無い、オトナの色気。

 クシードは思わず見惚れていた。


 そんな彼の視線を意に介さず、女性は口元に指を添え、間延びした言葉をゆっくりとした調子で紡ぐ。

 

「来客中ぅ〜?」


「いえいえ、ショコラーデさん。この方達も冒険者なんですよ。今、レッサーテング討伐の要請をしていたところです」


「あっ、そぉなんだぁ〜」

 

「ふーん……、あなたが噂の置いてかれた女ね」


 

 パーレットの鋭い視線が走る。

 まるで新人をいびるタチの悪い先輩OLのような態度。


 平日の昼間に放送されるドラマみたいな展開が始まりそうだな――。



 

「では、役者が揃ったところで、改めまして――」


 チェマの町長は依頼内容について説明を行った。


 依頼内容は以下の2点。

 ①先発隊の安否確認

 ②レッサーテングの討伐

 

 ②は、“状況に応じて”のため必ずしも履行しなくても良い。

 まずは、先発隊の捜索が最優先である。


「――では、みなさん。初対面でもありますので自己紹介をお願いできますか?」


「はいはぁ〜い。じゃあ〜、ウチからぁ〜」


 コーヌ族の女性は、ピョンピョンと跳ねるように前へ出た。その度に髪と胸が揺れる。


「ウチはぁ〜、アマレティ・ショコラーデって言うのぉ〜」


 オトナの色気が漂う見た目。

 それとは真逆なふわふわした話し方と無邪気な笑顔。


 くぅ〜、たまんねぇ。


「ショコラーデさん! 一緒に頑張りましょう!」

「うん〜、よろしくぅ〜。でもぉ〜、アマレティってぇ〜、気軽に呼んでねぇ〜」


「了解や! アマレティッ!」

「えへへぇ〜」


 すんごいセクシーなお姉さんと一緒に行動ができるとなり、クシードはやる気に満ち溢れていた。


「ねぇミルフィ。コイツ、追放したほうがいいんじゃない?」

「……」


 2方向から来る、軽蔑の視線。

 クシードはとくに気にしていない様子である。


 自己紹介もほどほどにして、4人はレッサーテング討伐に向け出発した。



 

「――では皆さん、お気をつけて。無事に帰ってこられることを願っております――」


 


 ◆◆◆




◾️レッサーテング討伐依頼書


・目標は全ての個体の殲滅。

・総数は不明。おそらく20〜30体程度。

・通常のレッサーテングとは違う。

・一回り以上大きな個体が確認されており、群れを指揮している可能性がある。

・戦略的な動きを見せるので要警戒。

・生息場所は、添付した地図の通り。


「ジェルコ街道を西へ20エツ(約2km)行って、北にも20エツ行った離れた岩場を棲家としているのね」

「地味に歩くわな」



 

 ――装備を整え、新登場人物のアマレティと共に目的地を目指す一行。


 整備された街道を進みながら、話題は自然と新入りのアマレティに集中する。


「――なぁアマレティ」

「なぁ〜にぃ〜?」


「仲間、無事やとええな」

「……?」


 アマレティは目をパチパチとさせる。


 クシードにとって、こんなセクシーなお姉さんと行動できるのは嬉しい。しかし、冷静に考えれば、なぜ置いていかれたのか。

 

 色香には、ぜひとも騙されたい。

 だが、それはいけないこと。


 仲間の構成、関係性……、会話を通して過去を探る。

 アマレティは、パーレットのようにわかりやすい変態とは違うのだ。

 

 

 

「ん〜……、別にいいかなぁ……」

「なんでよ? 仲間だったのじゃないの?」


「だってぇ〜、セルンはぁ〜、ウチのことぉノロマだのぉ淫乱メスヅノだのいつもバカにするしぃ〜、シュベアとぉ、ファートはぁ、おっぱいやおしりとか、カラダを触ってくるしぃ、襲われたこともあるからぁ〜、キラ〜イ」

「知らん人間、急に3人も出てきたで……」

「それもあるけど、色々問題よッ!」


 つまり、パーティ内でイジメに遭っていた、ということか。

 

 のんびりした口調と露出が高い服装。

 それが誤解を招いているのでは……、と思うが本人はプンスカと唇を尖らせている。


 

 マイペースな性格。

 なんだか調子が狂うな……。


 

「逆にぃ〜、女の子だけでパーティが組めてぇ、スッキリしてるぅ〜」

「ん? クシードは男よ!」


「えぇ〜ッ!」


 アマレティは唖然と目を丸くした。

 

「あぁ、オレは男やで」

「あたし、アレ、ガッツリ確認してるわよッ!」


「怖っわ……、いつの間に確認しとんねん……」


 ナニを思い出したのか、ミルフィは顔を真っ赤にさせ、スケッチブックを抱きしめた。


「見た目女の子なのにねぇ〜、なんか2度おいしいぃ〜」

「どうゆうことなん?」


「そぉゆぅことぉ〜」


 どうゆうことか分からないが、ミステリアスで掴みどころがない女だと理解した。


「さて、もっと雑談したいところだけど、ここから先は気を引き締めなさいよッ!」


 ジェルコ街道を進むと、側道には人為的に草花が折られたポイントが目に入った。


 地図に記載されている目印だ。

 その先には獣道が形成されている。


 いよいよ敵地へ潜入。

 ここからは無駄な動きは許されない。


 クシードは回転式拳銃(リボルバー)“ルミナエルス”を抜く。

 

 カチリ、カチリと1発ずつ丁寧に。

 小気味良く、旋律を奏でるように弾薬を装填した――。

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