表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#だから僕は、ダークヒーローになった  作者: 木兎太郎
【第一部 #だから僕は】
48/60

#046――テロリスト1


 豪財会、人身売買部門会長:日比谷ヒビヤ 昭則アキノリ

 白髪の男、サングラスをしており、右目の上には頬までの大きな傷がある。非常に上質な生地であることが一目でわかるスーツに袖を通している。


 豪財会、根源研究部門会長:樹神コダマ 琴葉コトノハ

 聡明な女性であり、艶やかな黒髪を腰くらいの高さまで伸ばしている。黒いシックなドレスに袖を通しており、彼女の美しさを引き立てていた。年齢不詳である――という言葉がこれほど似あう女性も珍しいだろう。


 二人はとあるホテルの一室で、一人だけ客を招き、極秘の会議を行っていた。そこには彼らを含め三人しか集結しておらず、非常に機密性の高い会議だった。


 通常のホテルの一室だというのに、この部屋にはベッドがない。代わりに一人用ソファが三脚だけ並べられている。彼らのそうしたお願いを断れるホテルはないだろう。


「さて、今日集まってもらったのは他でもない。先日の、研究所襲撃についてだ。」


 白髪の日比谷が、女性と一人の来客を交互に見ながら、会議を開始した。


「ほとんどの被験者を逃がされてしまいましたから、被害総額は最低でも十億程度でしょうかね。そのひとつ前の研究所の時は、みんな事前に逃げ出していましたから、被害はほとんどなかったのですが。」

 ――樹神は淡々と現状を陳列する。


 一つ前の研究所というのは、影汰が破壊した研究所で間違いないだろう。

 樹神の分析を聞き、日比谷は険しい表情になる。


 日比谷と樹神は、豪財会の中でも特に繋がりが深い。樹神が研究所で生み出した覚醒者を、日比谷が取引する。取引から生まれた利益の一部を、日比谷の経営する研究所の資金としてキャッシュバックし、更に覚醒に関するノウハウを深めていた。


 財源としては、豪財会の中でも最も低い部類に入るが、非常に重要な部門を担当しているのは間違いない。覚醒者に関する研究は、資金以外に直接国の利益になる、非常に重要な項目だからだ。


「他国からの攻撃…という可能性もある。その為、今日は襲撃の日に実際立ち会った、シャイニングに来てもらっている。」

 ――日比谷がため息交じりにそう話した。


 残り一つのソファに、彼は座っていた。普段のヒーロー用の服装とは違い、簡易的な仮面をつけ、スーツを着ている。そのおかげもあり、誰も彼の正体を知らない。


「他国の可能性は省いても良いかと。彼ら…と言っても僕は一人としか会っていませんが少なくとも僕が会った彼は、日本語を使っていましたから。」

「…他国ではないのか。で、あれば…何者なのだろうか。」


 顎に右手を当て、日比谷は深く考えているようだ。

 それでも情報が少なく、答えが出ることはない。


「可能性を上げるとするのなら、豪財会を直接狙う、何者かの仕業…とか。」


 シャイニングは人差し指を立て、明るく縁起でもないことを言った。


「…最悪の可能性だな。」――日比谷が苦虫を噛み潰したかのような顔をする。

「そうですわね。」――樹神も日比谷と同じような表情をした。


 なぜ日比谷が同様の可能性をあえて上げなかったかというと、豪財会は表立って活動している訳ではないので、直接敵対する組織が少ない。

 その為、フィクサーとして政府に暗躍しようとも、彼らの存在まで辿り着ける者は、本当に極わずかしかいないはずだった。

 それこそどこかの財団だとか、とにかく何らかの武装集団に襲われる覚えは、

彼らにはなかった。


「もしシャイニングの言った通りだとすると、彼らは我々がこの日本で今何をしているのかを、知っている可能性が高い。残念ながら、生かしてはおけないな。…ただ、残念ながら敵の詳細は不明、こちらか特定するには、余りに情報が薄い。現場にいた君は、何か直接敵に繋がりそうなことに、気づかなかったか?」


 日比谷はシャイニングに視線を向けた。シャイニングは数度指先で自分の頭を叩くと、ようやく返答した。


「…僕が戦った覚醒者は、自然操作系統の覚醒者で、闇を操っていました。それも特質持ちで、かなり珍しい根源でしたから、それが何かの手がかりになるかも。」

「…自然操作系統…Sレートですか。非常に興味深いですわね。いや、特質持ちともなると、それ以上の力を持っていると考えたほうがいいかもしれません。」


 どちらかというと、研究員としてそそられる。樹神は既に、危険因子というよりも研究対象として、件の覚醒者に興味がわいていた。


「えぇ、非常に強力な覚醒者でした。僕の根源はご存知の通り、光を操ります。相性が良かったからこそ戦いやすかったものですが、僕以外ともなると、彼に勝つことを想像するのは困難ですね。」


 淡々と彼は話しているが、シャイニングがここまで相手を褒めるのは、既に彼を知っている二人からすると、非常に珍しいことだった。


「また厄介な敵だな。取り合えず樹神は、研究員界隈で闇の根源に関する情報を集めて欲しい。私は私で、裏界隈の情報を集めておく。そこまで強力な覚醒者であれば、今頃表で活躍しているはず。だが、そんな話は聞いたことがない。恐らくは裏の人間だろう。」 


 樹神は、日比谷の提案に対し、頷くことを返事とした。


「シャイニング。君には件の覚醒者を特定次第、討伐に向かって欲しい。君の分析通りだとするのなら、君が特効薬になるはずだ。」

「もちろんお手伝いしますよ。」――シャイニングは笑顔で答えた。


 それから取り留めもない会話をいくつか挟み、会議は終了となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ