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#だから僕は、ダークヒーローになった  作者: 木兎太郎
【第一部 #だから僕は】
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#039――学園2


 さて、僕と花音は、学校に入学することになった。

 但し、僕は前のりで学校に来ている。花音は編入、僕は入学であり、入学式に出席する為に、僕だけが数日だけ早く学校へ向かうことになった。


 今回入学にあたり、パラダイム零の厚意には、本当に感謝している。

 ――が、いくつか僕が得た情報と、実物を見た際の印象に齟齬があった。


 僕たちがパラダイム零に説明された内容は、そのほとんどが豪財会についてであり、学校の設備等については、そこまで説明を受けていなかった。

 一応は阿久津さんに確認はしたけれど、返答はごく普通の学校である――という程度の内容でしかなかった。


 そして、今僕の目前にある学校は、多少ある僕の常識の外側に位置している。

 まず第一に――でかいのだ、圧倒的に。


 例えば千葉にある某巨大テーマパークも苦笑いするような敷地面積を誇り、内部を装飾する建造物の外見も、非常に先進的で巨大。正直見てて疲れるくらいの感じだ。

 経済が回復しつつあるとはいえ、流石にこれは…というような印象を受けた。


 豪財会という団体の豪胆さを、ある意味純粋に実感できた瞬間かもしれない。

 もちろん知識として、中高大一貫校であることは聞いていた。でも、その予備知識があろうとも想定外の規模であり、僕が正門で静止するのも仕方のないことだった。

 もしもこの光景を花音が見れば、同様に驚くことになるだろう。


 ◇◇◇


 影汰がその光景に圧巻し、正門で停止していると、突然背後から肩を叩かれた。


「君、さては高校からの入学だね。」


 いつの間にか背後に、同年代に見える短髪の少年が立っていた。

 国籍が違うのか、彼は金髪であり、さらには日本人らしくない碧眼をしている。

 日本語がとても堪能なので、ここ最近日本に来たとも思えない。

 それに、顔立ちそのものがまさしく日本人なのだ。

 それらの特徴は、彼の不思議さを高めている。


 典型的な美少年ではあるが、眼鏡をかけているのも印象的だ。

 ここでいう「高校からの」というのは、一貫校であるという前提の話しだろう。

 中学校からエスカレーターで来たのではない――という意味だ。


「実はその通りで、この迫力のある学校を見て驚いてます。」

「ハハハ、そうだよね。僕も最初は戸惑ったものだよ。…でも不思議だね、入試でこの建物は見ただろう?」――彼は、疑問気な顔をしている。

「あ…いや、何度でも――という意味ですよ。」――影汰は直ぐに誤魔化した。


 但し、彼の疑問気な表情に変化はなく、残念ながら怪しまれてしまっている可能性が高い。影汰は少しだけ空いた間に気まずさを覚え、頬をかいた。

 それでも直ぐに彼は笑顔を取り戻し、影汰に明るく声をかけた。


「僕はもう見慣れたけれど、一度や二度程度じゃそうなるかもね。それじゃ早速入学式の行われる体育館に行こうか。」


 表情には出さなかったが、上手く誤魔化せたようで影汰はホッとしていた。

それともう一つ、彼の言葉に気になる点があり、影汰はそちらに思考を切り替える。


「え?もしかして同学年ですか?」

 ――一緒に入学式という言葉に、疑問を感じていた。

「そうだよ。君の新品の制服を見て、確信したから僕も声をかけたんだ。」


 彼は笑顔で両手を広げ、影汰を迎え入れるような素振りを見せる。


「やけに落ち着いていたから、少しだけ驚きました。」


 この時点で影汰は、彼がエスカレーターで登ってきた学生であることを確信した。

 二人はこれも何かの縁だと、取りあえずは一緒に体育館へ向かうことにした。

 やはり彼は学園のことを知り尽くしているようで、この広い学園内をするすると目的へと向かって行ってしまった。


 数分で体育館まで辿り着くと、影汰を伴って中へと入る。

 座る席に細かい指定はなく、空いている所から順に座る仕組みになっている。

 並ぶ席を一覧すると、唐突にここまで案内してくれた彼が、影汰の方へと向いた。


「一番前の席でもいいかな?」――彼は申し訳なさそうに、影汰に確認した。

「え?…まあ一応。」

 ――影汰も一瞬嫌そうな顔をしたが、直ぐに提案を受け入れた。


 あまり目立つ行動をするべきではないが、一回程度ならば問題ないという判断だ。

 遠慮している生徒が多いのか、最前列はまだ随分と開いていた。

 二人は最前列の中心、壇上から最も近い席に座る。


「さ、後は待つだけだよ。」


 彼は明るくそう言った。それから五分後、無事に入学式が始まった。

 一人の教員が壇上の演台まで向かい、そこからマイクを手に取った。


「おはようございます。本日は―――」


 そして、定番の挨拶を開始する。

 別段興味もないので、影汰はその内容のほとんどを聞き流していた。

 不意に隣を見れば、彼は真剣に話を聞いているようだ。

 そんな彼の態度を見ても、影汰が態度を改めることは特になかった。


「それでは続きまして、理事長の挨拶とさせて頂きます。では、鳳凰院理事長、よろしお願いいたします。」


 教員が声をかけると、壇上に座る人物たちの中から、一人の男が立ち上がった。

 厳かな雰囲気を放つ、中年男性が演台へと向かう。

 白髪に髭、丸眼鏡に額の傷、それが理事長の主な容姿である。

 特徴を並べてみると解る通り、とにかく人目を惹く容姿をしている。

 理事長が演台に向かっただけで、幾人かの生徒が息をのんだほどだった。


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