前編
それはまだ息子が5歳の年中。
娘が3歳の幼稚園に上がっていない頃。
その日は月曜日なんで、道路が渋滞する。
これでは出勤に影響が出るということで、いつもより早く出勤しようと車に乗ろうとしたら、外で幼稚園バスを待っていたヨメが
「あっ、まだ弁当包んでなかった! ちょっとまって!」
というわけで、幼稚園バスを待ちながら
息子と、そのお供の娘の面倒を見ていました。
二人とも、手には庭に咲く小さな花を一輪。
「なに、その花は?」
「デヘヘ。先生にプレゼント!」
と息子。育っております。
先生に花を上げるなんてなんてナイスアイデア。
「トンちゃんも先生にプレゼントしゅる。」
とお供のお方。トンちゃんとは彼女のここでのお名前。
上手に言えましたね。見事。見事。
ブロロロロロと幼稚園バスのご到着。
弊家の前の道路はクソ狭く、バス1台が通れるスペースしかござーません。
その片方は田んぼ。一歩間違えれば一歩間違える状況。
毎朝、毎朝、一歩間違えずに運転してくださるものです。
ザッツ関心。
「おはよーございます!」
バスの扉が開きまして二人で先生に向かって大きな声。
「先生、これプレゼント!」
当家の惣領の甚六。我が息子がバスに乗るなり先生に花を手渡し。
良くできました!d(-_^)good!!
「ありがとー、ブースケちゃん。」
(失礼に聞こえますが、ちゃんと実際の愛称を言ってます。)
「先生、トンちゃんもプレゼント!」
と、バスに乗れない彼女。
先生の手のひらにちょこんとプレゼントを乗せました。
じゃ、砂利?(; ̄Д ̄)
そうなんです!手に持ってた花は手元にキープのままのジャリ1粒!
「トンちゃん! 花は? 花じゃないの!?」
という私の声もむなしく、トンちゃんは、バスに背中を向けて去っていきました。
私がオロオロとしておりますと、そこは先生。
「ありがとうございます(^^)」
「いや、ぇえ? ジャリ?(・Д・)」
と私の声をかき消すようにバスのドアは閉まります。
その後、私の弁当を包んだ嫁に
「トンさぁ、先生にジャリあげてんだもん。」
というと、
「え? いつもだけど?」
止めろや。(;・・)ツ☆