ダンジョン昇格
スキル 後天的技能、能力。魔法や戦士職などとします。発動には何らかの条件が必要です。魔力が必要、武器を装備しなければならないなど。
スペック 先天的能力。 ドラゴンのブレスなど。その種族の固有能力。人がスキルを手に入れても真似出来ません(笑)
以上蛇の足
「ま、それはともかく、カレンの手伝いをしてきてくれ」
「はい、わかりました」
僕は、キースの指示通り、カレンさんの手伝いをしにいった。具体的には、コボルトの牙と魔核の切り取りだ。
「ふう、助かった。あ、剥ぎ取り終わったら、あとは警戒も頼むね」
「カレン、もう、こきつかてによるリフくんが逃げたらどうするの」
「いえ、大丈夫ですよ。司祭様からは勉強の一つと聞いています。野伏の技能も身につきますし」
「偉いわね、リフくん。お姉さん、あとでなにか埋め合わせするね」
「ギルド会館の特盛り定食?」
「な、なにいってるの」
クリアさんの瞳が泳いでいる。うん、手助けしよう。
「いいですよ。僕、特盛り定食好きなので」
“うんうん、食べ盛りの子供だからね”
……アマテラス様、なんでこんな所ででてくるの?
“あ、あのね、そのダンジョン、もうすぐレベルが上がるの。なんか特殊能力持ちそうだから様子を見にきたの”
そのセリフと同時に、僕の身体を魔力の波が突き抜けた。
他のみんなもびくん!と跳ねる。
一瞬後、キースさんが鋭い声を発した。
「まずい! ダンジョンが昇格した。一時的に外に出る。素材は破棄。カレンは先頭に。敵はなるべく回避してくれ。魔物の昇格にあっても戦うな」
ダンジョンが昇格するとは、階層が増えるという。だいたい10階ごとに増えるが、階の広さや高さ、内容によって変化するので一概には言えない。しかし、昇格するとダンジョンの魔物も進化成長するので、後退するのが原則である。
「了解!」
みな、装備を整え動きだす。カレンさん、僕、クリアさん、キースさんの順番。撤退用の隊列だ。カレンさんは、少し早歩きで進む。
「キース! まずいわ。周辺の魔力が拡大中。あっちこっちから魔物が現れているわ」
「わかった。急ごう。しかし、あせるな。昇格しても、時間はたってない。そんなにレベルは!」
前後に魔物の気配
「正面にリザードマン、槍持ち」
リザードマンは、コボルトの進化型と言われる。全身鱗で覆い、力も強く滑らかな動きをする。
「リフくん、前に。カレンは魔法準備。クリア、撃て!」
「ファイヤーバラージ!」
クリアさんが杖を突き出し、ファイヤーバラージ、炎弾の弾幕をはる。
リザードマンは、炎に包まれ燃えあがる。声もなく黒こげになった。が、後ろにいたリザードマンは無傷。正面のリザードマンが全ダメージをうけたのだろう。これに似た、いや、この能力を僕は知っている。
「やばい、こいつらスキル持ちだよ。キース!」
カレンさんが叫ぶ。
スキル、単純に言えば特殊能力。基本的に後天的に習得し、何らかの条件で発動する。魔法もスキルの一つである。
僕は、カレンさんの声を聞きながら盾を構えてリザードマンに体当たりした。
リザードマンはわずかに身じろぎしたが、踏ん張って僕を押し返した。そこで僕は後退。リザードマンはバランスを崩した。
「ファイヤーランス!」
そこにカレンさんの魔法が炸裂、リザードマンを焼き尽くす。
「まだだ、気をつけろ!」
リザードマンを倒してほっとしている僕に、キースさんの鋭い声がかかる。同時に、強い破城槌のような一撃が盾ごと襲ってきた。
僕は吹き飛ばされた。一瞬気を失う、がなんとかこらえる。
「カレン、クリア、再度攻撃魔法準備。リフは意識があれば治癒魔法を自分に!」
すでにキースさんは僕の代わりに攻撃を受け止めているらしい。盾に鈍い衝撃がはしる音がする。
「了解!」
「で、でもリフくんが!」
「カレン! 正面のトロルを排除しなければ私たち全滅よ! 今は敵を排除!」
僕は、痛む身体を無理やり起こして、正面を見た。正面にいるのはトロル。大型の人の倍位の大きさの魔物。リザードマンが進化した、力と防御力に長けた魔物だ。
“リフ、命令よ。このダンジョンは異常進化を遂げている可能性が高い。魔物の強さが一回り上だし、スキルまで持っているわ”
「うん、やばいよ、アマテラス様」
“だから、「ブラックファング」の解放を許可します。このダンジョンを攻略しなさい”
「了解。第一、このままじゃ、みんなの命が危ない」
僕は、チートを発動させるべく、準備を始めた。