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第七章 〇〇〇は攻める

 オレは、オレの耳の中にいるスイショウといっしょに、ゴーレム忍者の巨大な手に握りつぶされて、死んで復活するのを何十回もくり返す。


 巨乳忍者の身体になっているオレと、妖精忍者であるスイショウには、『その場復活の術』がかけられているから、何度死んでも復活するものの、ゴーレム忍者の手の中から脱出できない限り、身体をつぶされる苦痛がいつまでも続く。


「ぐええええええええええええええええ!」


「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 オレとスイショウの身体からふき出す血が、ゴーレム忍者の指のすき間からドクドクとあふれ続けて、それは全く途切れない。


 このまま時間が過ぎれば、この世界の滅亡が確定して、オレは、もとの世界の本当の身体に戻れなくなって、大切なチ〇コを取り戻す事ができなくなる。


 …………いや……もう、もとの身体に戻っても、そこにオレの大切なチ〇コはないんだった。


 それは、オレの身体になっているコハクのやつが、複数の女と付き合って、その一人にチ○コを切断されたからだ。


 その事を考えると、さすがのオレも、全てをあきらめて、この世界の滅亡と自分の消滅を受け入れてしまいそうになる。


 だが、まだ、あきらめるのは早い。


 確か、切断されたチ〇コは、急いで病院に持って行けば、つなげてもらえると聞いた事がある……。


 コハクが、ちゃんとした対応さえしていれば、それはしっかりと元の機能を取り戻すはずなのだ…………。


 ところが、身体をつぶされる苦痛の中で、そんな事を考えていたオレは、いつの間にか自分の意識が、身体から離れてしまっている事に気が付く。


 どういう訳かオレは、意識だけが空中を漂って、ゴーレム忍者の手の外側から、自分の身体がつぶされている様子を客観的に見ているのだ。


 なんだ、この現象は?


 すると、ゴーレム忍者が、けげんな顔をしながら握った自分の手を見つめ、それを開くと、つぶされたオレの肉片がボタボタと落ちていく。


 それを見て、オレは愕然とする。


 なぜか、死んだオレの身体が再生しないのだ。


 しかし、どうして、オレの身体にかけられている『その場復活の術』が働かないのか?


 もしもオレが、自分自身の手で、間違って自分を殺したのならば、オレの身体にもともと備わっている『死骨支配の術』によって、自分の身体が復活せずに、消滅してしまう事は分かっている。


 だが、その場合は、オレ自身の頭の骨が、自分の武器である鎖ドクロに取り込まれるはずなのに、そんな様子はない。


 それは全く理由が分からない謎の現象だった。


 そうやってオレが、身体から離れたところに浮かんだ意識で戸惑っていると、突然、原因も分からないまま、また身体が再生されて、意識がそこに戻る。


 けれど、その時に再生されたオレの身体は、まだゴーレム忍者の手の上にあって、それに気が付いたヤツは、すぐにそれを閉じようとするが、オレはなんとか、一瞬、早く、そこから跳ぶ。


 自分でも、身体が再生されるまでに、なぜか時間がかかった事については、さっぱり訳が分からなかったが、今はゴーレム忍者の手から抜け出せた、このチャンスを脱がす訳にはいかない。


 それでオレは、とにかく何も考えずに戦いに集中する。


 ゴーレム忍者は、そんなオレを捕まえようと、すぐに三つの手を伸ばすが、最初から三つあると分かっていれば、それを避ける事など簡単だ。


 オレは、ゴーレム忍者の手の上を跳び移って肩に乗ると、前と同じように、やつの水晶のドクロがはまっている頭の周りをグルグル走り回りながら、そこに鎖ドクロを叩き込む。


「今度こそ砕けろおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 その攻撃を止めようと、ゴーレム忍者は必死にオレの身体を捕まえようとするが、その手は空振りを続け、ついにはダメージが限界に達して断末魔の叫びを上げる。


「グワアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 そして、ゴーレム忍者の巨体を作っていた石の身体がガラガラと崩れていくと同時に、その頭にはまっていた水晶のドクロが、オレの鎖に取り込まれる。


 これで、この世界で最強クラスの忍者の五人目を倒したので、オレの鎖につながったドクロは、もともとあった三つと合わせて、全部で八つになる。


 まだあと四人の最強クラスの忍者が残っているが、『炎』『氷』『雷』『風』『泥』『砂』『水』『岩』という八つの属性の忍術を取り込んだ今のオレなら、どんな相手でも対応できるだろう。


 そうやって、自分が手に入れた力に満足したオレは、遺跡の上を音速で走りながら、風を切る音に負けないように大声を出す。


「ところで先輩! さっき、オレの身体が再生されない時間があったけど、あれは、やっぱり先輩がやった事なのか?」


「そうだ、ユキ! あの時、ぼくは『復活先延ばしの術』というのを使ったんだ! そんな変な忍術は、普通の状況では使い道などないから、ほとんどの忍者が、その存在すら知らないだろう! それで、ゴーレム忍者は、見事にそれにだまされて、手を開けてしまった訳だ!」


「あの時、オレの意識は、自分の身体から離れて空中を漂っていたんだけど、あれは本当に死にかけたんじゃないのか?」


 それを聞いて、アオ先輩は胸をなで下ろす。


「お前は、あの時、そんなに危険な状態だったのか! 実はぼくも『復活先延ばしの術』を使うのは初めてだったんだが、どうやら、あんまり復活を先延ばしにすると、本当に死んでしまうようだな! すまん! もう少しで、ぼくは、お前を殺してしまうところだった!」


 でもオレは、その先輩の言葉を軽く流す。


「いや、どっちにしろ、オレがあのままゴーレム忍者に握りつぶされたままだったら、全てが終わっていたんだから、そのくらいの賭けに出るのはぜんぜん構わない! そのおかげでオレは、こうして助かったんだからな!」


 そう言ってからオレは、続けて一つの疑問を口にする。


「だけど、ひょっとして、その『復活先延ばしの術』を、もっと前から使っていれば、それ以前に戦った相手からだって、楽に逃げられたんじゃないのか?」


 しかしアオ先輩は、それを否定する。


「甘いぞ、ユキ! こうしている今も、きっと、どこかで誰かが、ぼくたちの様子を監視しているはずなんだ! そいつは『心つなぎの術』を使って、さっきお前がどんなふうに戦ったのかも、この先にいる忍者たちに教えているだろう! だから、同じ手は二度と通じないんだ!」


 それを聞いたオレは、アオ先輩が、オレが思っているよりもずっと、いろいろな事態に備えている事に気が付く。


「そうか! もしも先輩が、もっと前から『復活先延ばしの術』を使っていたら、その忍術の事をゴーレム忍者に知られていたから、さっきの状況でそれを使っても、逃げる事ができなかったのか!」


「そういう事だ、ユキ! だから、もう『復活先延ばしの術』を使っても、二度と相手はだませない! 次は絶対に捕まるんじゃないぞ!」


 その話を聞いて、ある事に思い当たったオレは、先輩に聞こえないように、小さな声でささやく。


「おい、スイショウ」


「ヒッ! な、な、なんですか、ユキさん…………」


「今、先輩が言っていた監視役って、お前の事だな?」


「ええ? な、なな、なにを言っているんですか? そんな事、あ、あ、ある訳ないじゃないですか!」


「お前は、この世界を救おうとしているオレを、事情も説明せずに説得しようしているけど、そんな無謀な事を考えるなんて、なんか変だなと思ってたんだ」


「いえ、いえ、いえ、いえ、私は、ユキさんを、せ、せせ、説得しようとしているだけで、監視するなんて、そそ、そ、そんな事、まさか、す、すすす、する訳ないでしょう……。あは、はははは………」


「ウソつくな!」


「ヒッ! ごめんなさい!」


「なんだ、ユキ!」


「いや、今のは独り言だ、先輩!  気にしないでくれ! …………おい、スイショウ、心配するな。そんな事で、お前を殺したりなんかしない。オレを監視して、その戦い方を、この先にいる忍者に教えるくらい好きにしろ」


「え? ユキさん、ずいぶん余裕ですね? その自信は、どこから来るんですか?」


「なんだよ、そんなに驚くなよ。この巨乳忍者の身体は、一応、この世界で十本の指に入る最強クラスの忍術が使えるんだぞ。その上、同じクラスの忍者を、もう五人も倒して、そいつらの忍術も取り込んだんだから、残りの四人なんて楽勝だろ」


「…………さっきのゴーレム忍者との戦いでは、もうちょっとで、全てが終わってしまうところだったんですけど……」


「なんか言ったか?」


「いえ、ユキさんがあんまり強いから、このまま南極まで行かれて、この世界を救われたら困るなあって…………」


「ふん、自分が消滅してしまうのに、それでも、この世界の滅亡を望むなんて、お前らの考えている事は、オレにはさっぱり分からんよ」


 そうやって、耳の中にいるスイショウと話しながら、音速で走っていると、やがて、マヤ遺跡のある中南米の大地の破片の端まで来る。


 それでオレとアオ先輩は、三万倍のスローで吹き上がる溶岩を避けながら、小さな破片を跳び移って、次の巨大な破片を目指す。


 けれど、その次の大地は、はるか向こうにあって、音速で移動しているのに、なかなか、そこにたどり着かない。


 そんなところへ、オレの世界でオレの身体になっている、コハクの心の声が聞えてくる。


「ユキ! やったわよ! 喜んで! ちゃんと、チ○コが、つながったわ!」


 よっしゃああああああああああああああああ! これで安心して、この世界を救えるぞおおおおおおおおおおおおおおおお!


「本当に良かったわ! さっき、ちゃんと射精もできたし!」


 ええ? おい、おい、ちょっと待て、コハク! つながったばかりで、射精できるなんて、さすがに回復が早すぎるだろ?


「え? なに言ってるのよ! あれから、もう半年も経ったんだから、ぜんぜん早すぎないでしょう?」


 なんだと? 半年?


 オレは、あわててアオ先輩に聞く。


「先輩! 今、コハクと話しているんだけど、ゴーレム忍者と戦っている間に、オレの世界では、半年も経っているみたいなんだ! これは、どういう事だよ?」


 先輩は、それに平然と答える。


「ああ、ユキ、そんな事か! それぞれの世界の時間の流れる速さは、その世界ごとに違うだけじゃなく、速くなったり遅くなったりもするんだ! だから、今まで、コハクと話すたびに数日しか流れていなかったのが、ある時、突然、何ヶ月も流れていたりする事も、たまにはある!」


 そんな事は初耳だったので、オレは怒る。


「おい、おい、先輩! そんなの困るぞ! オレが、こっちの世界を救っている間に、向こうのオレの身体が年をとってしまったら、オレが自分で、自分のチ○コを使う機会がなくなるじゃないか!」


「心配するな、ユキ! そんなふうに、突然、時間の流れが速くなる事は、そう何度もない! だから、きっと、次にコハクと話す時は数日しか過ぎてないはずだ!」


「…………本当だろうな……」


「おい、ユキ! ぼくの言葉がウソでも本当でも、どっちにしても、お前はこの世界を救うまでは、もとの世界には帰れないんだぞ! だったら、そんな事を気にしていないで、この世界を救う事に専念しろ!」


「……まあ、確かにそうなんだが…………」


 それでオレは、まだ、なんとなく引っかかったものの、再びコハクとの心の会話に戻る。


 コハク、ところで、オレのチ○コを切断した、泌尿器科の女医はどうなったんだよ?


「ああ、あの女医は、今、逃亡中よ」


 ええ? あれから半年も経つんだろ! その間、すっと捕まらずにいるのかよ!


「そうなのよ」


 そうなのよって……お前、なに他人事みたいに言ってるんだよ! そいつは、又、オレのその身体に、なにするか分からないだろ!


「大丈夫よ! 私だって、ちゃんと対策は考えているから、安心して!」


 そう言うと、コハクは、一方的にオレとの心のつながりを切ってしまう。


 あっ、コハク! 待て!


 オレは、まだコハクに聞きたい事があったんだけど、オレの方から心をつなぐ事はできないので、こうなると、再び向こうからつないでくるのを待つしかない。


 しかし、コハクと話している間も、ずっと音速で小さな破片を跳び移っていたのに、次の大地はまだまだずっと先だ。


「先輩、ここの大地は、大きな破片がぜんぜんないな!」


「どうやら、ここにあった大地は、全てが細かく砕けてしまって、大きな破片が全く残っていないみたいだ! それより、ユキ! とにかく、周りの溶岩には触れないように気を付けろ! いくら、ぼくたちが三万倍で加速していても、高熱から受けるダメージは減ったりしないからな!」


 アオ先輩がそう言っていると、どこからともなく、何十本もの『刃』が飛んできて、オレたちは、あわててそれを避ける。


「うわ! 先輩! 今度はなんだ!」


「これは、ロシアで作られたロボット忍者の攻撃だ!」


「……ゴーレムの次はロボットかよ! 人間じゃない忍者ばっかりだな! ところで、そいつはオレの『死骨支配の術』がしっかり効くんだろうな!」


「それは大丈夫だ! ロボット忍者の頭の中には、機械ドクロが入っている! だから、そいつを倒せば、ちゃんと、それがお前の鎖ドクロに取り込まれるはずだ! でも、そんな心配よりも、この相手には注意しろ! ロボット忍者の動きは、ボクたちよりもずっと速いぞ!」


 その先輩の言葉が終わらないうちに、地球の破片の上を跳び移る影が現れるが、それは音速のオレたちよりも速く、その身体はかすんで、はっきりとは見えない。


「なんだよ、あの速さは! あんなの反則だろ!」


 そう言いながら、オレは、鎖ドクロの属性を『砂』に切り替えて、身体の周りに砂煙を発生させ、ロボット忍者が自分に接近した時に、その動きをとらえやすくする。


 だが、その次の瞬間、目の前に突っ込んできたロボット忍者に、オレは鎖ドクロで攻撃するが、そいつは、あっという間に通り過ぎて、見事に攻撃が空振りしてしまう。


 さらに、その間も、相手からの『刃』は途切れる事なくオレに降り注ぐし、そいつは接近した時に、刀でも攻撃してくるので、オレはそれを避けるだけで精一杯だ。


 なんとか、少しでもロボット忍者に攻撃を当てれば、それによってオレの身体の中に力を溜めて、広範囲への攻撃を出せるのだが、一発も当てられないのでは話にならない。


「ちくしょう! オレが、どんな属性の忍術を持ってたって、相手の動きが見えなければ、それを当てられないじゃないか! どうすればいいんだよ!」


 そんなところへ、再びコハクの心の声が聞えてくる。


「ユキ、喜んでちょうだい! 私のチ○コを切断した泌尿器科の女医を、ついに捕まえたわ!」


 いや、それはうれしいけど、今、こっちは戦闘中なんだ! その話は、後にしてくれ!


「ダメよ! 前にも言ったけど、こっちの世界は、時間が流れるのが速いから、そっちの戦闘が終わるまで、何日も待たなきゃいけないんだもの! そんなに待っていられないわ!」


 くそ! そうだったな…………。しょうがない、話を聞いてやる! ところで、その女医は、お前が自分で捕まえたのか?


「いいえ、違うわ! 実は、学校の柔道部の主将に、私を護衛してくれるように頼んでいたの! それで、私を襲いに来た女医を、その人が捕まえてくれたのよ!」


 え? 柔道部の主将って、確か、かなり気難しい人だろ? そんな人が、よくお前の個人的な護衛なんか、引き受けてくれたな。だって、お前が女医に襲われる事の原因は、お前がハーレムなんて作ろうとしたからじゃないか。それを、どう説明したんだ?


「あら、そんなものに、言葉なんて必要ないわ…………。身体と身体で話したから」


 ふざけんじゃねええええええええええええええええ! お前、オレの身体で、男とS○Xしたのかよおおおおおおおおおおおおおおおお!


「心配しないで、ちゃんと私が攻めたわ!」


 うわああああああああああああああああ! 攻めたのかああああああああああああああああ!


「あら、受けた方が良かったかしら?」


 やめろおおおおおおおおおおおおおおおお! 受けるのも、攻めるのも、どっちもするなああああああああああああああああ!


 それで、いつものように動揺したオレは、ロボット忍者に手足を切断されて捕まるという、最悪の事態になる。


「くそおおおおおおおおおおおおおおおお! 又、このパターンかああああああああああああああああ!」


 しかし、ひょっとしてコハクは、この世界が滅亡するのを望んでいて、わざとオレの戦いを邪魔しているんじゃないだろうか?

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