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第三章 知らない間に〇〇卒業してました

 異世界の忍者であるアオ先輩の策略で、巨乳忍者の身体になってしまった、十六才のオレは、アメリカの海兵隊忍者であるストーム大佐の竜巻ドリルで、身体を串刺しにされたまま持ち上げられて、口から大量の血を吐きながら、意味不明の言葉を叫ぶ。


「ぐぎぎぎぎぎごがががががががぐああ!」


 それでもオレは、自分の武器である鎖ドクロで、ストーム大佐の首をギリギリと締め続けていたので、大佐もたまらずに苦悶の声を漏らす。


「ム……ググ……ウグク……ン……グ……」


 そうやって、オレもストーム大佐も、苦痛に耐えながら相手への攻撃をやめようとせず、互いに忍法『加速の術』で動きを三万倍に加速しているので、その周りでは、ついさっき爆発して粉々に砕けた地球が、三万倍のスローがかかった状態で、ゆっくりと崩壊していく。


 しかも、忍法『加速の術』を使っている者は、最高速度で移動するのを止められないので、ストーム大佐は、オレの身体を串刺しにしたまま、背中の巨大な凧で空中に浮かんで、異世界の高層日本家屋が建ち並ぶ、ニューヨークの街の上空を音速で飛び続ける。


 しかし、そんな我慢くらべがしばらく続いた後、ついにストーム大佐の方が先に意識を失って、両腕の竜巻ドリルが消えたので、その拘束から逃れたオレは、高層日本家屋の屋根に降りて、音速で走りながら鎖ドクロを振って、大佐の身体を焼きながら削っていく。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 すると、背負った凧で空中に浮かんでいたストーム大佐は、自分の身体を削られた痛みで、再び意識を取り戻すものの、もうその死を止める事はできず、目を見開いて断末魔の叫びを上げる。


「グワアアアアアアアアアアアアアアア!」


 全身が焼け焦げて、真っ黒な燃えカスになったストーム大佐の灰が飛び散ると、その後に残った骨が、オレの巨乳忍者の身体に備わる忍法『死骨支配の術』で支配されて、その頭の部分が、四つ目のドクロとしてオレが持つ鎖につながり、残りの骨は粉々に砕けて消滅する。


 身体にあいた穴から大量の血を流し続けるオレは、それでも高層日本家屋の屋根の上を、音速で走り続けながら、、巨乳忍者の身体の女の声で、アオ先輩に頼む。


「先輩、早くオレを殺してくれ!」


 そばに来たアオ先輩が、すかさずオレの首を切断すると、巨乳忍者の身体が、ようやく走るのをやめて倒れ、高層日本家屋の屋根の上を、血をまき散らしながら転がって消滅する。


 その次の瞬間に、忍法『その場復活の術』で、傷のない新しい巨乳忍者の身体が再生されると、アオ先輩は、その横を音速で走りながら、風を切る音に負けないように大声を出す。


「さっきは危なかったぞ、ユキ! ぼくたちは、死んでも、その場で身体が再生されるが、敵に拘束されている時は、わざと死んでも、その拘束を解く事はできないからな!」


 その言葉を聞いて、オレはうなずく。


 さっきストーム大佐の竜巻ドリルで身体を串刺しにされていたオレは、その状態で死んで復活しても、同じ場所に身体が再生されるので、永久にその串刺しからは逃げられない状態だったのだ。


 もしもオレが、そのままストーム大佐から逃げられなかったら、南極にある『時間逆転装置』を動かせないまま、爆発した地球を元に戻せなくなって、この世界は滅亡していただろう。


 だからオレは、そんな事にならないように、敵に拘束されるのは、絶対に避けなければいけなかったのだ。


「すまない、先輩! 次からは、気を付ける! だけど、それよりも注意が必要なのは、オレのこの身体に、忍法『死骨支配の術』が備わっている事じゃないか? それがあるせいでオレは、自分で死ぬ事ができないんだろう?」


「そのとおりだ、ユキ! ストーム大佐は、気が付かなかったみたいだが、もしもお前が、先に両腕を切断された後に、身体を串刺しにされていたら、大佐から逃げるのは不可能だった!」


 アオ先輩は、深刻な顔で言葉を続ける。


「なぜなら、お前は、舌を噛んだりして自分で死んだ場合は、自分自身の骨が、自分の鎖ドクロに取り込まれてしまうから、わざと死んで、切断された腕を再生するという事ができないからな!」


 そう言われて、オレは、ぞっとする。


 さっき戦ったストーム大佐が、もっと頭が良い男だったら、オレは、この世界が滅亡するまで、大佐から逃げられなかった。


 そうしたら、オレのこの心は、元の身体に戻れないまま、この世界といっしょに消滅していただろう。


 つまりオレは、もう少しで、自分の大切なチ〇コを取り戻す事ができなくなっていたのだ。


 それからオレは、この巨乳忍者の身体の持ち主であり、今はオレの身体になっている、一つ年下のコハクの事を思い出して、音速で走ったまま、アオ先輩にたずねる。


「先輩、確か、この世界とオレの世界では、時間の流れる速さが違うんだったよな? そうすると、さっき、オレがストーム大佐と戦っている間にも、オレの世界では、何日も経っているだろう?」


 オレは眉根を寄せながら、さらに続ける。


「あれから、オレの身体になったコハクが、何をやっているのか心配だから、すぐに、忍法『心つなぎの術』で、コハクと話せるようにしてくれ!」


 だがアオ先輩は、それをしぶる。


「…………ユキ、お前が望むなら、いくらでもコハクと心をつないでやるが、あいつとは、あんまり話さない方がいいぞ! 話せば話すほど、腹が立つ事が増えるからな!」


「しょうがないだろ、先輩! オレは、元の世界に戻った時に、あいつが好き放題にやった事を収拾しないといけないんだから! あいつがやった事は、あらかじめ知っておかないと、戻った時にパニックになって、収拾どころじゃなくなるじゃないか!」


「……分かった、ユキ! それじゃあ、つなぐぞ!」


 すると、いつもどおりオレの頭の中に、オレの身体になっている、コハクの心の声が聞こえてくる。


「あら、ユキ、ちょうど、あなたに聞きたい事があったところよ!」


 なんだよ! どうせ、又、ろくでもない事だろ?


「実は、チ〇コをいくらしごいても射精ができなくなって、勃起したまま戻らなくなっちゃたの」


 ふざけんな、コラ! オレのチ〇コには触るなって、何度も言っただろ!


「今は、そんな事を言っている場合じゃないわ! さっきネットで調べたんだけど、どうやらチ〇コは、勃起したままだと、六時間を過ぎたあたりから腐り始めるみたいなの!」


 ええ! 本当かよ! ちょっと待て! 今、勃起してから、どのくらい経ったんだ?


「それが、もうすぐ三時間になるのよ! それで、こういう時はどうすればいいのか、本当はあなたのお母様に聞きたかったんだけど、ちょうど出かけていて、携帯電話もつながらなくて…………」


 バカ! オレの母さんにそんな事を相談するな!


「え? だって、親子でしょう?」


 普通は、親子でそういう話はしないんだよ!


「だったら、誰に相談すればいいのよ?」


 ええ? …………オレは、そういう話は、友だちとはしない主義だから……。


「ほら、やっぱりお母様に聞くしかないでしょう?」


 だから、母さんには相談するなって、言ってるだろ!


「あなた、さっきから、解決策も出さずに、私の言う事に反対するだけじゃない! いいわよ! だったら、勝手にやるから!」


 うわ! やめろ! 母さんには言うな! …………って、あれ? コハク? 聞いてる?


 するとアオ先輩が、音速で走りながら、オレの様子を見て心配する。


「どうした、ユキ! コハクが、又、お前の世界で問題でも起こしたのか?」


「いや、それはそうなんだが……今、コハクと話している途中で、心のつながりが切れたような…………」


「なんだと? ……そうか、コハクのやつ、忍法『心つなぎ拒否の術』を使ったな……」


「おい! ちょっと待てよ、先輩! コハクは、オレの世界で、オレの身体になっているのに、忍術が使えるのか!」


「…………どうやら、そのようだな! だが、今のコハクが使える忍術は、精神や感覚に関するものだけで、お前の世界に物理的な影響を与える忍術は使えないはずだ! そんな事は、お前の世界の物理法則が許さないだろうからな!」


「いや、物理的なものは除いても、コハクがオレの世界で忍術が使えるのは問題だろ! ……だけど今は、それよりも、コハクとの話が途中だったんだよ! すぐに、もう一度、オレとコハクの心をつないでくれ!」


「無理だ、ユキ! コハクがそれを拒否している間は、ぼくの力では、お前たちの心をつなぐ事はできない! だが次は、きっとコハクの方から、お前に話しかけてくるはずだ! だから、それまで待て!」


 そんな事を話しているうちに、オレたちは、ニューヨークの街があった大地の破片の端まで来たので、三万倍のスローで噴き上がる溶岩を避けながら、小さな破片を跳び移って、次の巨大な破片の上に乗る。


 その破片の上には、広大なジャングルと、そこを流れる巨大な川があって、三万倍のスローがかかった状態で崩壊しているので、その川は、まだ多くの水をたくわえていた。


 アオ先輩は、迷わずその川の水面に降りて、その上を走り出し、オレもそれに付いて行くと、先輩がその理由を話す。


「見てのとおり、今のオレたちは、動きを三万倍に加速させているから、水をはじいて、水面の上も走れる! もちろん川は蛇行しているので、直線で進むよりは時間がかかるが、ジャングルの中を走れば、木々を避けるのにもっと時間がかかってしまうから、こうやって川の上を進むんだ!」


 オレは、その川の水面を音速で走りながら、すぐに、この風景が、映像とかで見た覚えがある事に気が付く。


「先輩! ひょっとして、これは南米のアマゾン川か?」


「そうだユキ! よく分かったな!」


「いくらここが、日本の徳川幕府に支配された世界だと言っても、さすがにジャングルの川は、オレのいた世界と変わらないから、すぐに分かったよ!」


 ところが、オレがそう言った瞬間に、川の両側に広がるジャングルの茂みの一方から、直径三メートルもある泥のかたまりが飛んで来て、オレはあわててそれを避ける。


「うわっ! なんだ、これ!」


「これは半魚人忍者の攻撃か!」


「ええ? この世界には半魚人までいるのかよ!」


「なんだ、ユキ! お前の世界には半魚人がいないのか?」


「…………いや、もういい! ここは異世界なんだから、半魚人くらいで驚くオレがどうかしていた! ……しかし、やっぱり徳川幕府が全世界を支配しているだけあって、半魚人まで忍者なんだな!」


 そう言ってオレは、水しぶきを上げて音速で水面を走りながら、背中の鎖ドクロを外して、それを手に構える。


 すると、忍法『気配隠しの術』を使いながら、オレの攻撃範囲の外に離れたアオ先輩が、まだオレが知らない事を説明してくれる。


「いいか、ユキ! ストーム大佐と戦った時のお前は、その鎖ドクロに取り込まれた忍術のうち、一つしか使わなかったが、それにつながった四つのドクロは、それぞれ違う属性の忍術を発動させる事ができる!」


 先輩は音速で走りながら、さらに続ける。


「もともとあった三つのドクロが持つ『炎』『氷』『雷』に加えて、ストーム大佐から取り込んだ四つ目のドクロの『風』も加わったから、お前は戦闘中に、その四つの属性をいつでも切り替えられるんだ!」


 それを聞いて、オレはすぐに、鎖ドクロを持つ位置を調節する。


 そして、四つのドクロのそれぞれが先端に来るように切り替えながら、それを振ると、オレの周りに『炎』『氷』『雷』『風』の軌跡が重なっていき、アオ先輩は、それを見ながら、さらに説明を続ける。


「ただし、前にも説明したとおり、その鎖ドクロで発動される忍術は、連続で振り続ける事で強力になっていく! だから、強力な忍術を発動させたい時は、どれか一つのドクロに固定して振った方がいいだろう! あまり無意味に属性を切り替えるのは、忍術の威力が上がらないから、やめた方がいいぞ!」


 それでオレは、半魚人忍者からの攻撃である巨大泥玉を避けつつ、泥に対抗するなら『炎』だろうと考えて、それに固定して鎖ドクロを振り回し『炎』の軌跡を大きくしていって、飛んで来る巨大泥玉を破壊する。


 しかし、その巨大泥玉による攻撃は、くらった時に泥がまとわり付いて、身動きが取れなくなりそうなのが恐い。


 ストーム大佐との戦いで学んだとおり、オレは、ダメージを受ける事よりも、身体を拘束されないように注意して戦わないといけないのだ。


 けれど、ジャングルの中から飛んで来る、巨大泥玉による攻撃は、ぜんぜん途切れる気配がないので、オレは音速で走り続けながら、アオ先輩に文句を言う。


「先輩! こうやって、敵の遠距離攻撃をかわしているだけじゃあ、いつまで経っても戦いが終わらない! でも、こっちからジャングルの中に入れば、あの巨大泥玉で身体を拘束されそうで危険だ! だから、なんかオレにも使える遠距離攻撃はないのかよ!」


 するとアオ先輩は、待ってましたとばかりに、それに答える。


「いい質問だ、ユキ! そのための良い技がある! 鎖ドクロを連続で振って、攻撃が強力になっている時に、別の属性に切り替えると、その瞬間だけ二つの属性が重なった攻撃が出るんだ! 今、お前は『炎』を強力にしているから、そこで属性を『風』に切り替えれば『火炎竜巻』が発生する! それなら、遠距離の敵を攻撃できるはずだ!」


「ちょっと待て、先輩! そういう事は、先に全部説明しろよ!」


「なにを言っているんだ、ユキ! こういう事は、時間をあけて順番に説明しないと、忘れてしまうじゃないか! お前の世界にあるゲームのチュートリアルだって、そうだろ?」


「くそ! オレは、今、あんたのために、この世界を滅亡から救うおうと戦っているんだから、オレの言うとおりにしてくれ! まだ他にも何かあるなら、すぐに説明しろ!」


 オレが音速で走りながら『火炎竜巻』を発生させて、ジャングルの中にいる半魚人忍者に攻撃しながら、そう言うと、アオ先輩は、さらに別の能力の説明を始める。


「あと、敵に攻撃が当たってダメージを与えると、その分だけお前の身体の中に力が溜まる! それがある程度まで溜まったら…………」


 ところが、その瞬間に、コハクの心の声が、オレの頭の中に聞こえてくる。


「ユキ、聞いて!」


 うわ! 今、オレは戦闘中だ! いきなり話しかけんじゃねえ!


「なによ! 相手は誰?」


 アマゾン川の半魚人忍者だ! まだ、その姿は見てないけど……。


「ああ、あんなの簡単に倒せるでしょう? 一応、絶滅危惧種で、殺しちゃいけない事になっていたから、戦った事はないけど、私なら瞬殺できるわ」


 そんなに簡単に言うなら、お前が戦えよ!


「いやよ。私はもうこっちの世界の住人なんだから」


 あっ、そんな事より、オレのチ〇コはどうなったんだ! まさか腐ったりしてないだろうな!


「大丈夫よ。あの後ちゃんと射精できて、勃起がおさまったから」


 そうか、良かった…………。ところで、その事を、オレの母さんには言ってないだろうな?


「心配しないで。あなたが、あんまり嫌がるから、お母様には相談しなかったわ」


 ふう、助かった……。それじゃあ、お前一人で解決したんだな……。


「いいえ、学校の保健室の先生に相談したわ」


 なんだとおおお! お前、二十四才でモデル体型でフランス人とのハーフの、あの先生に、射精ができなくなって、三時間も勃起したままで、腐ったらどうしようって相談したのかああああああああああああああああ!


「ええ、そしたら先生が、射精を手伝ってくれるって言って……」


 なんだ、そのAVみたいな、あり得ない展開はああああああああああああああああ!


「だから、もうこの身体は童貞じゃないわ」


 なんで、オレが童貞だって、知ってるんだよおおおおおおおおおおおおおおおお!


「あら、やっぱりそうだったの」


 しまったああああああああああああああああ!


 それで完全に動揺してしまったオレは、半魚人忍者の巨大泥玉に当たって、水しぶきを上げながらアマゾン川の底に沈んでしまう。


 水中では鎖ドクロを振り回せない上に、半魚人忍者の泥が身体にまとわりついて、うまく動けないから、絶体絶命のピンチだ。


 そうやって水中に沈んだオレに向かって、水の上を走るアオ先輩が、大声で何かを伝えようとしているのが、かすかに聞こえるが、その内容までは分からない。


 だがオレは、こんな事ぐらいではあきらめたりしない。


 なぜなら、オレは、知らない間に勝手に童貞を卒業された自分のチ〇コを取り戻すために、滅亡寸前のこの世界を救わないといけないのだ!

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