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風の音色  作者: 結城 朱煉
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強化と命名

「…いや、それが…ねぇんだ」

「「は!?」」


時空の管理人の言葉に、二人は言葉を失う

てっきり、元の世界に返してもらえるとばかり思っていたから



「ちょ、それってどーゆうことだよ!?」

「悪いけど、まだ方法が見つかって無いんだ」

「俺達がこっちに来た時みたいに歪を作ればいいだろ!!?」


陸斗が言いたいことは分かる

確かに、来た時と同じようにすれば帰ることが出来ると考えるのは当然なのだ

海斗も特に口を挟まず聞いている


「もし、君たちが来た時同様に歪を作ったとしよう

オレの世界は問題無い

何故なら他の人を巻き込まずに歪を作れる場所はいくらでもあるから…

しかし、兄貴の世界…君たちがいた世界はそうじゃない

他の人を巻き込まないような場所は何処にある?」


時空の管理人に聞かれ2人は一瞬止まる


「…えっと…マンションの一室とか?」


陸斗の答えに、時空の管理人はため息をつく


「そんな狭いところじゃ歪を作れないよ」


陸斗はガックリとうな垂れる


「…なるほど、そうなると僕らが帰るために作られる出口は

山の山頂や、森の奥深く…になるってわけだね」


海斗の言葉に同意するように、時空の管理人は頷く


「そう、例え帰せたとしても

命の保証ができない場所になる

それでも、良いの?」


時空の管理人の言葉にゴクリと唾を飲む陸斗

帰れても出たその場で死んでしまうようなことはご免こうむりたい


「だから、しばらくはこっちにいてもらうよ」


2人は頷く以外に返答は無かった


「まぁ、何も無しにこの世界に放りだすつもりは無いよ」


時空の管理人は、そう言うと紙を2人に渡す


「何これ?」


陸斗は、紙を表と裏に返して眺める


「それはただの紙じゃない

呪符だ」

「じゅふ?」

「あぁ、陰陽師が使うような物だ」

「「あぁ~」」


海斗と陸斗が同時に理解した


「ココに意味する文字を書くんだね」


海斗はさっさとカバンからマジックを出すと、文字を書く

その紙をシュッと投げると、鳥が現れた

鳥はピイピイと鳴きながら海斗の肩にとまる


「なるほどね」


海斗は鳥を撫でながら納得した


「わぁ!スゲースゲー」


一方の陸斗は興奮中


「でも、これって1枚だけ?」

「いや、そのポケットから出てくる」


時空の管理人が指差す先は、陸斗のズボンのポケット


「マジで!?わ~スゲー!」


よほど嬉しいらしい

陸斗の様子を海斗はただ眺めていた


「あと、体力や脚力など、運動機能を強化しといたよ

この世界…まだ何があるか分からないからね」

「ふ~ん、僕達に力をくれるのは、探索もかねて…ってことだね?」

「そうだよ」


海斗の問いに何のためらいもなく、頷く時空の管理人


「え?俺達実験台!!?」

「いや、それとは違う」


陸斗のズレた発言に、海斗はしっかり否定する


「力をあげるから、この世界を探索してもらって、不明な部分を解明していこうってことさ」

「その通り

別に、君たちにも悪い話じゃないでしょ?

ココで無駄に時間つぶすよりは」


確かに、この暗い空間で帰る手段が見つかるまでいるのは、退屈すぎる


「良いよ、僕も楽しみたいからね」

「よく分からねぇーけど

楽しめるなら俺は良い!」


陸斗の発言に呆れるのは、勿論海斗


「じゃ、さっきの草原に君たちを戻すよ」

「なぁなぁ、その前に」


2人を戻そうとした時空の管理人に陸斗が待つように言う


「なに?」

「お前の名前…なんてーの?」


まさか、名前を聞かれるなんて思っていなかったのだろう

時空の管理人は驚きに目を見開いている


「…オレに名前は無いよ」


そもそも必要が無い

兄貴がいる…と言っても、関わることなどほとんど無いのだから


「えぇ!マジで!!?

会うたんびに『時空の管理人』じゃ呼びにくいよ」


陸斗が言うことはもっともだ


「じゃ、俺が名前つけて良い?」


陸斗の言葉に、時空の管理人はただ頷いた


「ん~と

リートってのはどう?」

「…どう?…も何も、お前の名前から「く」取っただけじゃん」

「う…」


そう、陸斗は自分の名前から「く」を取り、代わりに「-」を入れただけなのだ


「ハハ、俺は『リート』でも構わない」

「じゃ決まり!」


自分の考えた名前が採用され、ご機嫌な陸斗


「じゃ、俺達も帰る方法探すから

君たちも頑張れ」


リートがそう言うと景色がグニャッと歪み

気がつくと、草原にいた

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