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風の音色  作者: 結城 朱煉
2/14

目覚めたところは…

「ん…」


ゴソゴソと動き、初めに目を覚ましたのは海斗だった

ムクリと起き上がり、辺りを見回す


「…」


隣には未だに寝ている弟の陸斗

そして、2人持っていた荷物

ただそれだけが、唯一見慣れたものだった


「森か?」


高々と伸びた木々が空を隠す

だからと言って暗いわけではない

木々の隙間から差し込む日の光で十分に明るい


「陸斗」


ひとまず、海斗は陸斗を揺さぶり、起こしにかかる

しかし、揺さぶられている陸斗…全く起きる気配が無い


「…はぁ…」


揺さぶるのを諦め、海斗は再び景色を見る

今の陸斗を起こすのは不可能なのだ

それこそ、命の危機にでも陥らない限り…


「何処の森なんだろう…」


見たところ、大きな森らしく出口のようなところは見えない

海斗は立ち上がり汚れを払う

と言っても、地面は草に覆われていて、ほとんど汚れていなかった


「陸斗、いい加減起きなよ」


ゲシッと蹴ってみるが反応は無い

海斗はため息をひとつついて、カバンの中を漁る


「あったあった」


カバンの中から、携帯電話を取り出す


(ひとまず連絡しないと)


そう思いながら、海斗はパカッと携帯を開く


「え?」


画面の上には『圏外』の2文字


(…森だからか?

それよりも、何で急に森なんかに?)


ぼんやり考えていると、横で動くものが…


「ん~~…むにゃむにゃ…もう食えねぇ~よ~」


至極幸せそうな顔をしながら寝言を言う弟の姿があった


(この状況を知る時には、そんなこと言えないだろうな…)


現状が把握出来ないまま、動くこともできない海斗

このままでは嫌なので、草の茂みの向こう側にある小川から水を汲んでくる

そして、陸斗の顔にかける


パチャン


「うおっ!!!?」


陸斗は勢いよく飛び起きた


「やっと起きた?寝すぎ…」

「悪い…って、ココ何処?」

「知らない」

「…」


海斗の即答に、何も言えない陸斗

何とも言えない空気が2人を包んだ


「ホントに分からねぇの!?」


何とも形容しがたい顔になっている陸斗

一方の海斗は、今さらなので表情は変わらない

元からあまり表情に出にくいが…


「あぁ~~!どーすんだよ~~」


海斗の無言を肯定にとり、慌てだす陸斗

誰だってそんな反応になるだろう


バコッ!


「いってー!!!」


陸斗は痛みのあまり、頭を抱えて座り込む

叩いた主。海斗はカバンを持って立っていた


「いつまでもグダグダ言ってたって仕方ないでしょ

とりあえず、この森から出ないと…」


そう言うとスタスタと歩いて行く


「ちょ…おい、待てよ!」


陸斗は慌ててカバンをひっ掴むと、海斗の後を追う


「早く森から出て電話しないと」


急ぎ足で進む海斗…の後に続く陸斗


「「あ…」」


出口らしき光が見えた

2人は急いでそこに向かう


「「え゛?」」


目の前に広がる光景に、目が点になる2人


「ここ何処?」


目の前に広がるのは、ひたすら草原だった

そして、その草原を周りから囲うように山がある

スーッと通りすぎる風が、草原の草を揺らした


「…とにかく、携帯で電話を…」


海斗は素早く携帯を取り出す

一方、陸斗は呆然と立ち尽くしている


「え…ココも圏外…」

「え!!?」


陸斗の意識は海斗の一言で呼び戻され、海斗の携帯をのぞきこむ


「マジで?」

「うん、圏外ってなってる」


海斗の携帯には圏外の2文字


「お、俺のも見てみる!」


ゴソゴソとカバンを漁り、携帯を取り出す

そして、パカッと開く


「・・・」


陸斗は無言になる

結果は見えているが、一応のぞきこんでみる海斗


「やっぱり圏外だね」


海斗の一言にショックを受け、ズーンとした雰囲気を出す陸斗


「それより、ココって何処なんだろう…」


落ち込む陸斗を気にせず、考え込む海斗だった

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